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クレイジーレズと呼ばれた少女、自分が戦闘あり乙女ゲーの大ボス悪役令嬢だと気付いたので開き直って今世で推しのサブキャラメイドを愛でる  作者: エスツー
第二章 学園編

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第67話 ただのぶっ壊れ技じゃないですか!

「ごめんね、シャロちゃん。今そこでロゼと戦ってるロゼもどきに邪魔されたせいでそいつをフリーにさせちゃったわ」


 申し訳なさそうに私に謝ってくるアクアル先輩。


 先程まで彼女は【魔王リリアーゼの影】と互角に戦えていた事ですし、そこに【四天王(補欠)ロゼ・バレスチカの影】が奇襲をかけた事で均衡が崩れたという事でしょう。


 幸い、ロゼさんとロゼ・バレスチカの影の戦いは私のかけた【強化(ブースト)】がまだ続いているロゼさんの方が優勢のようです。


 ならここでアクアル先輩にも【強化(ブースト)】をかける事ができれば戦況は一気に好転するハズ!


「アクアル先輩!援護を––––」

「【水癒(アクアヒール)】」


 駆け寄ろうとした私を手で制した先輩は自身の治癒魔法で負傷を治してしまいました。

 彼女はバレスチカ家四天王の中で唯一の治癒魔法を使える存在なのです。


「私は問題ないからシャロちゃんはそのまま自分の身を守る事に集中して。……大丈夫よ。このリリアーゼもどきの動きはもう見切ってるし、それに––––」


 優しさを携えながらも、どこか不敵な笑みを浮かべるアクアル先輩。

 その表情に、先輩もやっぱりリリ様のお姉さんなんだなぁというある種の納得感を感じます。


「私だって偶には恋人の前でいいところを見せたいしね」


「先輩……」


 薙刀を構え直すアクアル先輩。

 その切っ先の真紅の刀身には特殊な魔力が宿っているのか、実際に炎を纏って荒々しく燃え盛っていました。


「……!」


 一方、リリアーゼの影は再び対峙したアクアル先輩に脅威を感じたのか、己の身に真っ黒なオーラを纏います。


 アレは……。


「気を付けてください!【葬黒(そうこく)】が来ます!」


葬黒(そうこく)】。

 闇属性混じりの風属性の魔力を全身に纏う事で己の速度を極限まで引き上げるリリ様最大の必殺技。


 スピードだけでなく、攻撃する度に竜巻が発生し敵を切り刻む為、防御も回避も難しいあの技は現実で使われたら脅威である事は想像だに難しくありません。



 ドン!!!



 地を蹴り、恐ろしさすら感じる程の速度でアクアル先輩に向けて飛びかかるリリアーゼの影。


 つい目を逸らしてしまいそうになった私を他所に、アクアル先輩の持つ赤く燃え盛る薙刀の刀身を、彼女自身の闇属性混じりの水属性の魔力が包み込み、真っ白な光を放ったのが見えました。



「【氷炎(アイスファイア)】」



 瞬間、無造作に振り抜かれた先輩の薙刀がリリアーゼの影の右腕……否、右肩に至るまでを消し飛ばし、消滅させました。


 アクアル先輩はそのまま返す刀でリリアーゼの影の左肩から先を跡形も残さず消し飛ばしてしまいます。



 炎と水属性の魔力を合わせた、近距離のみで使えるあの技は……。


「クラスト様の必殺技だ!」



氷炎(アイスファイア)】。

 炎と水の魔術を同時に扱う奇跡の魔術師、クラスト・ペンデュラム様最大の必殺技(ネタ技)です。


 おそらくアクアル先輩は自身の水の魔力と武器に宿る炎の魔力を完璧にコントロールする事であの技を再現する事ができたのでしょう。


 炎属性と水属性。

氷炎(アイスファイア)】は対立する属性を合わせた時に発生する莫大なエネルギーを使い、命中した敵を消滅させるという某国民的有名RPGを題材にした少年漫画で見た事あるようなトンデモ技なのですが、それが封印安定のネタ技扱いされているのにはもちろん理由があります。


 というのもあの技は魔力のコントロールが難しすぎて射程が短く接敵して当てるしかないのですが、使い手であるクラスト様は身体能力が一般の成人男性レベルなので命中率が極端に低く設定されてるんですよね。


 耐性がない上に弱点が二つあり、必殺技が封印安定扱いされてるせいでユーザーからネタキャラ扱いされてしまっていたクラスト様ですが、それでも【氷炎(アイスファイア)】の威力自体は飛び抜けていて、RTA動画では無理矢理アイテムで技の命中率を上げて敵の回避率を下げる事で確率50%程度の運ゲーに持ち込み時間短縮するという荒技がよく使われていました。


 なので辛うじて死に技ではないのですが、大半のユーザーにとっては見向きすらされない代物であった事も事実です。



 ですが、それはクラスト様の身体能力が(プレイアブル基準で)低かったからこそ起きた悲劇。


 もしクラスト様と違い、身体能力に優れた者が【氷炎(アイスファイア)】を使う事が出来たら?



 おそらくアクアル先輩の身体能力はレベルカンストしたディラン様より上でしょうし、魔力量もクラスト様を上回っているでしょう。


 身体能力の高さにより問題だった命中率が克服された上に連続で放つだけの魔力があるアクアル先輩が【氷炎(アイスファイア)】を使ったらそんなの––––



「ただのぶっ壊れ技じゃないですか!」



 2度に渡る【氷炎(アイスファイア)】によってリリアーゼの影を追い詰めたアクアル先輩は薙刀を地面に突き刺し、次なる大技の準備を始めました。


 それはおそらく、アクアル先輩本来の必殺技––––



「【永久氷結エターナル・アイス・ブリザード】!」



永久氷結エターナル・アイス・ブリザード】。

 一瞬で相手の周囲の大気ごと氷結させる。

 相手は◯ぬ。



 ざっくり説明すれば3割程の確率で相手を即死させる技です。


 ゲームでは確率による即死でしたが両肩が消滅して動きが鈍ったリリアーゼの影にこれを躱す手段など当然なく。


 一瞬で氷漬けにされて絶命した影はその存在を維持できなくなり、最後は塵となって消え去りました。



「アクアル先輩!」


 リリアーゼの影が消滅したのを確認した私は居ても立っても居られなくなって、アクアル先輩の下に駆け寄り抱きつきました。


 ふんわりとした柔らかいお胸の感触と暖かい体温に触発されたかのように、私の目尻からポロポロと涙が溢れていきます。


「わ、私……あいつがこっちに来た時、先輩がやられちゃったんじゃないかって不安で不安で……」


「私はこんなとこで死なないわよ。だって––––」


 にっこりと微笑んだ先輩は水色のハンカチを取り出すと、私の顔を優しく拭ってくれました。


「こんなに可愛い彼女を残して逝くなんて、あまりにも勿体無さすぎるじゃない」


「先輩〜〜っ!」


 もう私はダメです。

 アクアル先輩が居なくなってしまったら、生きていける気がしません。



「さて、シャロちゃんが落ち着く為にもまずはこの状況を何とかしましょうか」


 まだ泣き足りない私を優しく引き離した先輩は地面をトンッ、と蹴ると再び戦場へと駆けていきました。


 その先にあるのはロゼさんとロゼ・バレスチカの影が激闘を繰り広げている場所。

 薙刀を振り上げた彼女はそのままロゼ・バレスチカの影の背へと斬りかかります。


「はぁッ!」


 元よりロゼさんが優勢に勝負を進めていたこの戦い。


 当然、ロゼ・バレスチカの影にこの不意打ちを対応できる筈もなく、背中を斬り裂かれたと同時にロゼさんの持つ黒色の刀身をした短剣によって首を刎ね飛ばされ、その身体はあえなく消滅しました。



 こうして二つの戦闘に決着がついた頃、グレン先輩と【聖王レイライトの影】の戦いも終盤に差し掛かっていました。


 アクアル先輩ほど圧倒的ではありませんが、グレン先輩も真っ赤に燃える刀身のレイピアによる刺突でレイライトの影が操る結界魔法を貫き、徐々に追い詰めていきます。


「はぁ……敵とはいえ妹の姿をした物を倒すのは気が滅入ってくるね。とはいえ––––」


 闇属性混じりの––––蒼の炎がレイライトの影の周りを取り囲むようにして揺らめきます。


「本物の妹に勝る者はない。––––【破滅の焔(ルインズ・フレイム)】!」


 そのまま垂直へと燃え盛る巨大な蒼の炎はレイライトの影を完膚なきまでに焼き尽くしました。



 ……そう言えばグレン先輩って原作ではアクアル先輩に対して凄まじいシスコンぶりを見せてましたよね。


 彼がいい人だって事は前に私がバレスチカ家に招待された時に分かってはいるのですが、念の為にちょっとだけ警戒をしておいた方がいいのかもしれません。


 いえ、もちろんいくらアクアル先輩が美人で魅力的だからといって、実の家族を◯的に襲うような頭がおかしい人なんているわけない事は分かってますよ?


 あくまでも念の為です。



 そして最後に【四天王アクアルの影】、【四天王グレンの影】、【四天王グラントの影】を一人で相手にしていたグラント子爵。


 こちらは流石に苦戦していました。


 まぁ、3体相手にしてるんだから当然と言えば当然なんですが。

 むしろ一人で3人を抑えている彼が一番おかしいまであります。


 グラント子爵は幻竜王の牙を素材にした大剣を自身の並外れた筋力を用いて物凄い速さで振り回し続け、それと同時に地面から岩の槍を突き出す魔法、【地槍(アーススピア)】を放ち続ける事で数の不利を補っていました。


 攻撃の一撃一撃に確かな殺意が込められており、ゲームではなく現実で彼と対峙したら、恐怖で震えてまともに動ける気がしないです。



 そんな感じで残る3体を食い止めていたグラント子爵でしたが、終わりはあっさりと訪れました。


「【水弾(アクアバレット)】」

「【炎弾(フレアバレット)】」

「えいっ!」


 アクアル先輩と水属性の魔法にグレン先輩の放った炎属性の魔法、そしてロゼさんの投擲したミスリル製の短剣がそれぞれ3体の影に命中したのです。


 当然、その隙を常時戦場をモットーとするグラント子爵が見逃す筈もありません。


「【岩鉄の処女(グランド・メイデン)】」


 地面から岩で出来た2つの巨大な壁が突き出て、そのまま3体の影を押し潰し、消滅させます。



 この後の事ですがネームドボス6体が消滅した今、残りの強化された雑魚である影達など敵ではなく、アクアル先輩達は30秒もかからず殲滅してしまいました。



 戦闘終了です。



 ……いや、この人達強すぎませんか?


 原作では一族総出で王家を滅ぼしていたバレスチカ家ですが、現実だと四天王(ロゼさん除く)である彼らのうち一人でもいれば、1時間もかけずに軽々と実行できてしまいそうです。



 あ、そう言えば私、戦闘が始まってからロゼさんに一回【強化(ブースト)】をかけたきりで何もしていませんでした。


 ……うん、終わった事は仕方ないので私は治療の方を頑張る事にしましょう。



 元々その為に呼ばれた事ですしね!





 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 総合的な強さ

 アクアル>グレン>グラント>>シャルロット≧ロゼ

 ◯し合い

 アクアル>グラント>グレン>>ロゼ>シャルロット


 メ◯ロ……【氷炎(アイスファイア)】が強すぎるので互いに事前情報なしだとアクアルのみリリアーゼとレイライトに対してワンチャンあります。

 ここまで読んで頂きありがとうございました。

 もし宜しければブックマーク、評価、レビュー、ご感想、リアクション等をして頂けると作者のやる気が爆上がりしますので、少しでも面白い、続きが読みたいと思った方は宜しくお願い致します。

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