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クレイジーレズと呼ばれた少女、自分が戦闘あり乙女ゲーの大ボス悪役令嬢だと気付いたので開き直って今世で推しのサブキャラメイドを愛でる  作者: エスツー
第二章 学園編

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第63話 一日一回感謝の壁ドンですわ

 △△(side:レイライト)


「ママぁ……」


 レイがバレスチカ家に連れてこられてから4日目。

 時刻は深夜。


 明かりの消された部屋のベッドの上で、白をベースにしたパジャマに着替えたレイは同じく黄色ベースのパジャマに着替えたマリア(ママ)に抱きついて惰眠を貪っていた。


 ママの大きいお胸はふかふかで柔らかくて気持ちいい。


「大丈夫ですよぉ。お母さんはちゃんとレイちゃんの側にいますからねぇ」


 そんなレイの頭をママは優しく包み込むように撫でてくれる。



 ここに来てからレイの生活は一変した。


 ダンジョンやフォーチュン学園の屋上で野宿してた時は当然として、規則正しい生活が求められる神殿にいた時よりずっと美味しい食べ物が食べられるし、《《したくない事》》をさせられる事もない。


 ママは優しいし、アクアル(お姉ちゃん)も何かとレイに声をかけてくれるし、ちょっと苦手意識はあるけどグラント(パパ)グレン(お兄ちゃん)もレイを気遣ってくれてるのが分かる。

 それにまだほとんど話せてないけど、可愛いメイドちゃん(1年ぐらい前に義理の娘になったらしい)もいる。


 端的に言えばここはレイにとって天国だった。



 ––––だけど。



「ママはどうしてリリアーゼのママをやってるの?リリアーゼは悪い子なのに」


 唯一の不満がこれだった。


 リリアーゼはズルい。

 いい子なレイは今までずっと嫌な気分で過ごしてきたのに、リリアーゼはずっと優しいママに頼りになるお姉ちゃん、そして可愛いメイドちゃんに大切にされてきた。


 ズルいズルい!


「確かにリリちゃんは悪い子だけど、それでもお母さんにとっては大切な娘ですからねぇ。……レイちゃんはリリちゃんの事が嫌いなんですか?」


「……キライ」


 何故か身体が熱くなって、一瞬言い淀んじゃった。

 その事が気に食わなくて更にイライラする。


「ママ、リリアーゼはほんとに悪い子なんだよ?レイはあいつに毒を飲まされてから、ずっと体調がおかしいの。治癒魔法を使ってるのに全然治らないし」


「毒?」


 顎に指を当ててキョトンとした表情になるママ。


 残念だけど、優しいママはあいつの悪どさを全然理解できてないし、気付いてもいないみたい。


 だったら、レイが教えてあげないと。



 あいつがいかに悪い子で、レイに何をしたかって事を。



 ◇



 ドン!!



「うふふ、一日一回感謝の壁ドンですわ」


「……何するのよ」


 お昼を食べてお手洗いを済ませたその帰り道、レイは待ち伏せしていたリリアーゼに壁に押し付けられるようにして動きを拘束されていた。

 リリアーゼの後ろにはメイドちゃんもいるけれど、止めるつもりはないみたい。



 こういった事は今日が初めてじゃない。

 リリアーゼはレイがママから離れて行動した時を見計らって、毎日のようにレイに絡んできた。


 この女も後輩ちゃんと同じ、ママの前では酷い性格を隠していい子ぶってる猫被りだ。


「さてさて。まずはいつもの味見……ではなく触診ですわ」


 人形のように端正な顔立ちをしたリリアーゼがぐっと身を乗り出して、レイに顔を近づけてくる。

 その瞬間、レイの身体がカッと熱くなって、睨み返す事もできず咄嗟にリリアーゼから目を逸らしてしまう。


 まただ。

 学園の屋上でリリアーゼに襲われ、口付けを通して毒を飲まされてから、レイは彼女をまともに直視できなくなっていた。


 一体、レイの身体はどうなってしまったんだろう。


「血色は良くなってきてますわね。髪もちゃんと手入れするようになって、いい事ですわ」


 無遠慮にレイの真っ白な髪に触れるリリアーゼ。

 彼女の吐息がレイの顔にかかる度に、心臓がバクバクして身動きが取れなくなる。


「ですけれど、こっちはまだまだですわね」


「んっ……」


 つーっ、とレイの二の腕を指先で撫でられる。

 それだけなのに、背筋がゾワリとして撫でられたところが熱を持ってるように感じられた。


「もっとお肉を付けなさいな。さもないと、我慢できなくなって実らないうちに食べてしまうかもしれませんわ」


 ちゅっ。


「っ!?」


 ほっぺたに口付けされた!?


 動揺した事で脚に力が入らなくなったレイは、そのままペタンと尻餅を付いてしまう。


「ロゼ、送ってあげなさいな」


 用事は済んだとばかりにレイに背を向けて歩み出すリリアーゼ。

 そんな彼女と入れ替わるようにしてメイドちゃんがレイの前までやってきて手を差し伸べる。


「失礼致します、レイライト様」



 メイドちゃんは小柄な見た目に反して思ったより力があるようで、しっかりとレイの肩を抱いて支えながらママの部屋の前まで連れてきてくれた。


 そして別れ際に、どことなくねっとりとした視線をレイに向けながら声を掛けてくる。


「あまりアーゼちゃんの事を悪く思わないであげてください。アーゼちゃんは……それにあたしもレイライト様と仲良くしたいんです」


 嘘だ、と思った。


 リリアーゼはレイに特殊な毒を飲ませて、意のままに操ろうと企んでるし、メイドちゃんもレイじゃなくてリリアーゼの味方だ。

 これはきっと、レイを油断させて支配しようと考えるリリアーゼに策略に決まってる。


「それではまた明日」


 踵を返して去っていくメイドちゃん。


 去り際に『清楚な白アーゼちゃん』というよく分からない単語が聞こえたような気がした。



 ◇



「だからリリアーゼは悪い子なの。ママもあいつに騙されないで」


 こうしてレイはママに、リリアーゼがいかに悪どい女であるかを、あいつがレイにした事を詳細に語りつつ教えてあげた。

 ここまで言えばきっとママはリリアーゼのママをやめてくれるに違いない。



「やっぱり双子は似る物なのかもしれませんねぇ」


 だけどママはレイの言い分には賛同する事はなく、代わりによく分からない事を言い始めた。



「レイちゃん。その気持ちは毒なんかじゃなくて、もっと大切にした方がいい物だとお母さんは思います。本当に好きだったら女の子同士でも、お母さんは反対したりはしませんからね?リリちゃんに続いて、なんだかんだでアルちゃんもそうでしたし」


「……どういう事なの?」


「いつかレイちゃんにも分かる時が来ると思います。……さ、もうそろそろ寝ましょう。レイちゃんはいい子だからゆっくり身体を休めて明日は今日より元気になれるよう頑張りましょうね」



 どこか釈然としない気持ちになりながらも、ママの柔らかいお胸に包まれてレイは眠りについた。





 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 攻め力 リリアーゼ≒ロゼ>>>>アクアル>>レイライト≒シャルロット

 レイライトはシャルロット並に受け専門で、ロゼはリリアーゼのプライドを傷つけないように普段は少し抑えてます。


 ここまで読んで頂きありがとうございました。

 もし宜しければブックマーク、評価、レビュー、ご感想、リアクション等をして頂けると作者のやる気が爆上がりしますので、少しでも面白い、続きが読みたいと思った方は宜しくお願い致します。

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