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クレイジーレズと呼ばれた少女、自分が戦闘あり乙女ゲーの大ボス悪役令嬢だと気付いたので開き直って今世で推しのサブキャラメイドを愛でる  作者: エスツー
第二章 学園編

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第60話 欲しがり系妹ですの!

 △△(side:ロゼ)



「んう……」


 ガタンゴトンと細かく揺れる馬車の中、対面で安らかに寝息を立てて気絶している真っ白な髪の超絶美少女が身じろぎします。

 そんな彼女、レイライト様の頭を隣にいるアクアル様が優しく撫でました。



 現在、あたしとアーゼちゃんとアクアル様、そして捕獲されたレイライト様の4人は馬車を使ってバレスチカ領へと向かう最中です。

 座っている場所はあたしの隣にアーゼちゃん、対面にレイライト様とアクアル様。


 最初はアーゼちゃんを真ん中にして、彼女の両隣をあたしと気絶しているレイライト様で挟む形で座らされていたのですが、アーゼちゃんが『お胸を揉んで大きくするのですわ!』と気を失っているレイライト様の乳房を激しく揉みしだくという暴挙に出た為、あたしとアクアル様の二人がかりで無理矢理引き離して今の席順になったのです。


 ちなみに引き剥がされたアーゼちゃんは『邪魔立てするならお姉様のお胸を揉ませろですわ!』と抵抗したのですが、アクアル様の『母さん(マリア様)に言いつけるわよ!』の一言で黙らされていました。


 さすがアーゼちゃんのお姉様です。



「……お姉ちゃん?」


 不意にアクアル様の肩に頭を乗せるようにして眠っていた(というか気絶していた)レイライト様がその真っ赤な瞳を見開いて弱々しく呟きました。


 見知らぬ場所で起きたばかりで不安そうにアクアル様の腕を掴む彼女の姿はどこか、借りてきた猫を連想させます。


「おはよう、レイライト。よく眠れ––––」

「ようやく起きましたわね、レイライト。待ちくたびれましたわ」


 レイライト様に声をかけようとしたアクアル様を遮るような形でアーゼちゃんがねっとりとした声で話しかけました。

 その視線はギラついていて、まるで今にも弱った獲物を捕食せんとする血に飢えた獣のようです。


「……っ!?リリアーゼ!」


 一方アーゼちゃんの存在を確認したレイライト様はキッと彼女の事を睨みつけたかと思えば、頬を真っ赤に染めてアーゼちゃんから目を逸らし、彼女から身を隠すようにしてアクアル様に抱きつきます。


 このやり取りだけであたしはアーゼちゃんとレイライト様の間にナニがあったのか察しました。

 それと同時に否が応でも理解させられてしまいます。



 あたしの役目が終わろうとしているのだと。



 対面にいるレイライト様は髪こそ気絶している間にアクアル様によって整えられていましたが、身につけているホワイトロリータのドレスはボロボロで、食生活が良くなかったのか身体も双子であるアーゼちゃんと比べて痩せ細っています。


 ですがそれでもなお際立つ美貌から、あたしは目を離す事ができませんでした。


 単純な美しさだけの話ならシャルロット様(聖女様呼びだとどっちの話か分かりにくいのでこれからは名前で呼びます)も負けてはいないのですが、レイライト様には容姿の良さだけでなく、不思議と人の視線を惹きつける魅力のような物を感じます。


 それはまるで、昔スカーライト家から逃げ出したあたしが貧民街で初めてアーゼちゃんと会った際、彼女の容姿に目を奪われた時のようでした。



 そして、アーゼちゃんもまたレイライト様に対して執着の念を抱いているように見えます。


 なんというか、アーゼちゃんはシャルロット様やアクアル様に対しては『太腿撫でたい』とか『お胸を揉みたい』ぐらいのその場その場の欲求を抱く程度だったのに比べて、レイライト様に対しては明らかに本気で自分の物にしようという強い欲望をヒシヒシと感じるのです。


 それをアーゼちゃんのあたしに対しての執着と同じような物だと言う事もできるのかもしれませんが、あたしとレイライト様ではスペックがあまりにも違いすぎます。


 ならアーゼちゃんがあたしかレイライト様、どっちを選ぶかなんて考えるまでもありませんでした。



「……メイドちゃん」


「え?」


 なんとなく刑を執行される前の全てを諦めた死刑囚のような気分になっていたあたしですが、何故かレイライト様から上目遣いで声を掛けられました。


 メイドちゃんってあたしの事ですよね?


「リリアーゼは悪い子だから側にいちゃダメだよ。レイの方がリリアーゼよりいい子だからメイドちゃんはレイの物になった方がいいよ」



 ???

 流石にナンパされてる訳じゃないですよね?



「こ、この女……!」


 一方、悪い子認定されて『ロゼを寄越せ(超意訳)』とレイライト様に言われたアーゼちゃんはワナワナと震えたかと思えば、何故か目をキラキラと輝かせて彼女を見つめました。


「欲しがり系妹ですの!」


「欲しがり系妹?」


「リリアーゼ、何よそれ?」


 聞き慣れない単語が出てきました。

 アーゼちゃんとシャルロット様には別の世界で生きた前世の記憶があるそうで、偶によく分からない事を言うのです。


「レイライトは優秀な姉であるわたくしに嫉妬して、わたくしの持つ大事な物が何でも欲しくなってしまう性悪な妹なのですわ!わたくしもこの目で実物を見るのは初めてですの!」


「あぁ、恋愛小説とかでよく出てくるアレね。というかリリアーゼ、あなた姉のつもりだったのね」


 アクアル様が納得したように頷きました。

 確かにそう言ったキャラクターはあたしもアクアル様からお借りした小説で見た覚えがあります。



「お姉ちゃん」


「どうしたの?レイライト」


 続いてレイライト様はアクアル様に対して上目遣いで、どこか甘えたような声で話しかけました。

 今度は何を言うつもりなんでしょう?


「お姉ちゃんはリリアーゼのお姉ちゃん辞めた方がいいよ。リリアーゼは悪い子だから。いい子なレイだけのお姉ちゃんになって?あと、後輩ちゃんとも別れた方がいいよ。あの子、悪い子じゃないけど猫被りだから」


 今度はアーゼちゃんだけでなく、シャルロット様とアクアル様の恋人関係にまで口を挟み始めたレイライト様。


 なんだろう?

 凄く荒れる予感がします。



「レイライト。確かにリリアーゼはあなたの言う通り悪い子よ。でもね……」


 額に青筋を立てたアクアル様がレイライト様の両頬をギュッと抓りました。


「本当にいい子はね!お姉ちゃんや後輩の子に変な魔法を掛けたりはしないの!私やシャロちゃんがあなたのせいでどんな目に遭ったか分かってるの!?……ほら、私の目を見てもう一度言ってみなさい!自分はいい子ですって!!」


「お姉ちゃん痛いよぉ!もうやらないから許して!!」


 余計な事を言った結果、涙目でアクアル様に許しを乞うハメになったレイライト様。



 バレスチカ家におけるアクアル様とレイライト様の力関係が明確になった瞬間でした。





 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 双子なだけあってレイライト(自分がレズな事を自覚してない)から見てロゼは割とストライクど真ん中だったりします。

 ここまで読んで頂きありがとうございました。

 もし宜しければブックマーク、評価、レビュー、ご感想、リアクション等をして頂けると作者のやる気が爆上がりしますので、少しでも面白い、続きが読みたいと思った方は宜しくお願い致します。

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