第50話 太腿奴隷ってなんなんですか!?
△△(side:シャルロット)
突然ですが、前世において原作の『ふぉーちゅん⭐︎みらくるっ!』は戦闘RPG要素が強いだけあって、いわゆる最強議論がよく話題になっていました。
その中で最も最強として名をあげられる事が多かったのは、大ボス悪役令嬢である『魔王リリアーゼ』。
物語の序盤から最終盤にかけてシャルロットの壁として立ちはだかり、また相手が油断していたとはいえ、バッドエンドではラスボスである『聖王レイライト』をシャルロット達との戦いで消耗した状態にも関わらず返り討ちにする描写がある事からリリ様が最強扱いされるのはまさに納得の一言です。
続いて僅差でラスボスである『聖王レイライト』。
まぁラスボスですしね。
ゲーム的な仕様として若干ではありますが、『聖王レイライト』が『魔王リリアーゼ』よりステータスが高いのも説得力に拍車をかけています。
というかレイライト先輩がリリ様より強いという声が少ないのは単純にリリ様の人気が凄すぎる事と、レイライト先輩の描写が足りてないのが原因だと思っています。
そして、この二人からは随分引き離されてはいますが、最強議論の話になると必ず話題に出てくるもう一人の人物。
そう、それがこの私、シャルロット・アンサムなのです!
ユーザーからエロ担当扱いされてる上に敗北したらリリ様から散々百合乱暴(控えめな表現)される私が最強とか、ホラを吹くのもいい加減にしろと思われるかもしれませんが、この話にはちゃんとした根拠があります。
というのも『ふぉーみら』は基本的に4人パーティーなのですが、主人公である私以外はメンバーから外す事ができるんですよね。
そしてシャルロット一人のパーティーでリリ様やレイライト先輩に挑んだ場合、同行している攻略対象の3人やボスのお二人からのセリフが変わるのです。
これがどういう事かと言うと、制作スタッフ達は少なくともシャルロットが一人でリリ様やレイライト先輩を打ち破る事を想定しているという訳ですね。
まぁシャルロットがお二人を単騎で倒すには最強装備を揃えた上でレベルは最低80以上欲しいところではありますが今の私のレベルはおそらくカンスト(99)、つまりなんの問題もありません。
◇
「ロゼもディランもお疲れ様だったなー。あ、別にこの2人ほど強くなくても単位はバッチリ取れるから安心してなー。特にロゼは俺なんかより全然強いからなー」
ノッキン先生が試合を終えた二人を労いました。
原作ではリリ様がディラン様に大怪我をさせたところで授業は中断していましたが、今回はそのようなアクシデントは起きていません。
つまり授業はまだ続くし、これから私が起こす行為も自然な流れで受け入れられる筈。
「じゃ、まだまだ時間に余裕はあるし次行くぞー。誓約書を使いたいヤツは挙手を––––」
「ノッキン先生。お願いがあります!」
私は挙手をしながら前に出ました。
「先生には私とリリアーゼ様のデュエル、その立会人になって欲しいんです!」
◇
「聖女様がクレイジーレ––––リリアーゼ嬢とデュエルを?」
「いやいや、いくらなんでも無謀すぎるんじゃ……クレイ––––リリアーゼ嬢ってSランク冒険者なんだろ?」
「そもそも何であの二人は対立されているのですか?」
「きっと始業式の時に辱められた屈辱を晴らしたいのですわ」
当たり前ではありますが、私からの提案に周囲は騒然としていました。
私としても授業を遮るのは本意ではありませんでしたが、なるべく多くの人々に私の勝利の証言者となってもらいたいので致し方ないのです。
「んー、デュエルとは穏やかじゃないなー。そもそもリリアーゼはその申し出を承諾してるのかー?」
困惑するノッキン先生をよそに、私は制服風の修道服のポケットから自身がSランク冒険者である事を示す白金製のカードを取り出し、リリ様に視線を飛ばしました。
私のカードを見た令息令嬢達が一気に色めき立ちます。
「私もまたこの通りSランク冒険者です。リリ様、まさか魔王の末裔と言われるバレスチカ家の一員であるあなたともあろう者が、この挑戦を断ったりはしませんよね?」
先程まで静かに何かを考えるかのようにしていたリリ様ですが、私からの挑発を受けるとその大きな黒の瞳を細め、口角を釣り上げて見下すような笑みを浮かべました。
「そのデュエル、受けて差し上げますわ。せっかくのお友達からのお誘いですものね?」
優雅にゆっくりと歩みを進めながら前へと出て、私へと向き直るリリ様。
悔しいですけれど、正直私より様になっています。
「あー、立会人になるのはいいんだが、デュエルには何を賭けるんだー?言っておくが教師としてあまりに倫理から外れた物は認めないぞー」
デュエルとは立会人と誓約書の下で決闘を行い、勝った方が負けた方に事前に決めた取り決めを執行させるルールのような物です。
その賭けの対象は財産だったり、権利だったりと色々ですが、なるべく公平になるよう調整するのが望ましいとされています。
「私が勝ったらリリ様には私の恋人になって頂きます!」
大きな声でハッキリと皆に聞こえるように宣言しました。
ここでリリ様を完膚なきまでに叩きのめして、彼女を私の物にしてやるんです!
「なっ、何をふざけたこ––––」
「素晴らしい!素晴らしいよシャルロット嬢!!まさにこれこそ真実の愛だ!!!」
私に異議を唱えようとしたロゼさんをアレイスター殿下がそれを上回る大きな声で遮りました。
なんだかとても興奮されてるようですが、一体どうされたんでしょう?
「殿下!どうして邪魔をするんですか!?殿下はあたしとアーゼちゃんの仲を応援してくれるんじゃなかったんですか!?」
「もちろん応援しているとも!しかし真実の愛とは何も一つだけではないのだよロゼ嬢!!私は王太子としてシャルロット嬢の愛もまたリスペクトされるべき尊い物だと断言する!!!」
……何言ってるんだろう、この人。
まぁでも王太子である彼が味方についてくれるのはありがたい事です。
彼の婚約者であるマーズ様も真剣な表情はされていますが口出ししてくるつもりはないようなので、私も好きにやらせてもらいましょう。
「ふ、ふふっ。いいですわね。実はわたくし、ご令嬢から告白されたのは初めてなのですわ」
口元を抑えて優雅に微笑むリリ様。
ですがその直後、彼女は意地の悪い笑みを私に向けてきました。
「ですけれど、あなたの恋人になるという事はそれすなわち、わたくしの行動を長期間に渡って縛るという事に他なりませんわ。シャロ様、あなたはこれに釣り合うだけの要求を、当然受け入れる覚悟がおありですのね?」
「勝つのは私ですから。負けた時の要求はなんだって呑みますよ」
「宜しい。では––––」
「––––太腿奴隷」
「は?」
「シャロ様にはわたくしの太腿奴隷になって頂きますわ」
いや、ちょっと……。
「太腿奴隷ってなんなんですか!?」
聞いた事ないけど、絶対ロクでもないやつですよこれは!?
「太腿奴隷とはまずシャロ様が白タイツとショーツを脱いだ状態でわたくしの顔を太腿で挟み、そのあとわたくしが––––」
「やめてください!それ以上言わないで!?」
……え?
私、デュエルに勝ったらこんな人が恋人になるの!?
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
人前で太腿奴隷を実行した場合、リリアーゼもシャルロットも退学になります。
ここまで読んで頂きありがとうございました。
もし宜しければブックマーク、評価、レビュー、ご感想、リアクション等をして頂けると作者のやる気が爆上がりしますので、少しでも面白い、続きが読みたいと思った方は宜しくお願い致します。




