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クレイジーレズと呼ばれた少女、自分が戦闘あり乙女ゲーの大ボス悪役令嬢だと気付いたので開き直って今世で推しのサブキャラメイドを愛でる  作者: エスツー
第二章 学園編

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第49話 わたくし達、お友達ですものね?

「おい、どういうつもりだ?まさかバレスチカ嬢から虐められてんのか?」


 うふふ、案の定面食らってますわ。


 別に原作と同じようにわたくしが相手をしてやる事も考えはしましたけれど、誓約書の下での戦いとはいえわたくしが令嬢ですらないディランを相手にしたらついやり過ぎてしまうかもしれませんものね。


 だからここはロゼに投げるのが最善手なのですわ。


「どういうつもりとはどういう事なのでしょうか?あたしはロゼ・バレスチカ。貴方がご指名されたバレスチカ嬢ですよ?」


 困惑するディランにロゼはわざとらしくすっとぼけたような返答をしましたわ。

 この辺の話術はわたくしが予めロゼに仕込んでありますのよ?


「いや、だから俺が呼んだのはバレ……リリアーゼ嬢だっつーの!お前みたいな華奢で可愛い女の子を叩きのめしたところで恥かくのはこっちなんだよ!」


 こいつ、間接的にこの美しいわたくしが華奢でもなく、可愛くもないゴリラ令嬢だとでも言いたげな暴言を吐きやがりましたわね。


 普段のわたくしならお腹に拳を叩き込んでいるところですけれど、今はイベントの処理中だから軽率な事はできませんの。

 命拾いしましたわね、イキリボーイ。


「ほら見ろ、俺はAランク冒険者だ。リリアーゼ嬢ならともかくお前じゃ相手になんねーんだよ」


 そう言って懐から取り出した金製のカードを見せびらかすディラン。

 Aランクの冒険者カードを見た事がない者も多いのか、物珍しそうにしてる令息令嬢達が目立ちますわね。


「あ、それでしたらあたしも同じのを持ってますよ。3ヶ月程前に冒険者ギルドからAランク冒険者に認定して頂いたんです」


 メイド服のポケットから同じように金製のカードを取り出すロゼ。

 これにはディランも、その他の令息令嬢も予想外だったのか大きくざわつき始めましたわ。


「それにディラン様は当然知っておられるとは思いますが、アーゼちゃんはSランク冒険者です。ですので貴方があたしと戦って勝ったら、アーゼちゃんに挑む権利を得るというのはどうでしょうか?」


「……いいぜ。同業の、それも同じAランクっつうなら相手に不足はねぇ。だがやるからにはお前みたいな可愛い女の子が相手でも手加減はしねぇからな!」


 ようやく勝負を了承しましたわね。


 にしてもこの不人気生き恥イキリ雑魚、ちょくちょくロゼを可愛いと言っていますけれど、まさかわたくしのロゼに気がある訳じゃあないですわよね?

 見る目がある事だけは認めてやってもいいですけれど、つまらない勘違いをするようなら股間を潰しますわよ?



「ようし、話は纏まったなー!んじゃ、二人とも誓約書にサインしてくれー」


 ロゼとディランが誓約書にサインをすると、二人の身体を薄い白色の魔力でできたオーラのような物が包みましたわ。

 あのオーラは攻撃を受ける度に霧散していき、先にオーラが尽きた方が敗北するという扱いですの。


 ちなみに誓約書にサインした瞬間からオーラがあるなしに関わらず、30分の間はあらゆる物体に対してダメージを与えられない制約が課せられますわ。


「んじゃ試合開始だー!仲良く喧嘩しろー!」


 収納鞄からディランはミスリル製の大剣を、ロゼは刀身が真っ黒な二振りの短剣を取り出し、真っ向からぶつかっていきましたわ。



 ◇



「リリ様。お隣いいですか?」


 ロゼとディランの戦い、と言える程でもない見せ物が始まってすぐ、わたくしの近くにツーサイドアップに整えた金髪に金眼、修道服を制服に仕立て直したような装いの絶世の美少女、シャルロット・アンサムがやってきましたわ。


 わざわざわたくしに触られに来るとは中々に殊勝な心掛けですの。


「もちろんですわ、シャロ様。わたくし達、お友達ですものね?」


 そう答えつつ、わたくしは白タイツに包まれた美味しそうな太腿に手を伸ばしましたわ。



 パシッ!



「なっ!?」


 この女、わたくしの腕を掴んで止めやがりましたわ!?

 このわたくしが触ってやろうというのにそれを阻むとは、なんて生意気な女ですの!?



「強いですね、ロゼさん」


 驚愕するわたくしをよそに二人の戦いの感想を述べるシャルロット。


 前の方ではブンブンと全力で大剣を振り続けるディランの攻撃をロゼが片手に持った短剣で易々と受け続けていましたわ。


「えぇ、わたくしの自慢の恋人ですもの。あれぐらいできて当然ですわ」


 止められた動揺を表面に出さないよう、わたくしは声音を変えずに答えましたわ。


 高難度ダンジョン『最果ての回廊』を使ったレベル上げはお姉様の春休みの時だけでなく、夏休みの時にもしっかり決行しておりますの。


 今のロゼはバッチリ戦闘経験も積んだ上におそらくレベルもカンストしており、もはや実力自体は完全にSランク冒険者の域に入っているのですわ。


「やっぱりリリ様がロゼさんを鍛えたんですか?」


 つまらなさそうな表情をしつつも、探るようにわたくしに問いかけてくるシャルロット。


 腹の探り合いにしろレスバにしろ負けるつもりはありませんけれど、こうして相手のペースに付き合ってやるのは面白くないですわね。


 ––––少しぶっ込んでやりますわ。


「だとしたらなんだと言いますの?転生主人公さん?」


「……!」


 唐突にわたくしから自身の正体を指摘された事でシャルロットから息を呑む音が聞こえましたわ。


 そしてちょうどその時、前の方でも動きがありましたの。



「剣が駄目ならこっちはどうだ!【地弾丸(アースバレット)】ォ!!」


 地属性魔法で作り上げた1m程の巨大な土塊をロゼへと向けて飛ばすディラン。

 一方ロゼは普通なら危機的な状況であるにも関わらず動揺する事もなく、飛んで来た土塊に向けて二振りの短剣をクロスさせるように振り下ろしましたわ。


「はぁっ!」


「なにぃっ!?」


 切り裂かれた瞬間、塵となって掻き消える土塊。


 ロゼが振るう『影月』と名付けられた黒い刀身の二振りの短剣。

 アレは1年ほど前にわたくしが【処刑者(しょけいしゃ)キルリス】を倒した際にドロップした金属を使って創られた、相手の魔法を斬る事で消滅させる力を持つ特殊な武器なのですわ。


「行きます!」


 対内魔法を駆使した圧倒的な身体能力を発揮し、超高速でディランの真横を通過しながら首筋に短剣を走らせるロゼ。


 首を切り裂かれたと同時にディランの纏っていた白のオーラが掻き消え、彼はそのまま持っているミスリル製の大剣を取り落としましたわ。



「そこまで!今回はロゼの勝ちだなー」


 ノッキンの間延びした声と共に試合終了の宣言が告げられ、ギャラリーの令息令嬢達がワッと湧き立ちましたわ。


 戦いが終わり、ぜぇぜぇと肩で息をしているディランとは対照的にロゼは息一つ切らさず涼しい顔をして『影月』を収納鞄に納めましたの。


 うふふ、わたくしのロゼのファンが増えてしまうかもしれませんわね。

 姉として、そして恋人として鼻が高いのですわ。



「完敗だ。なんつーか、師匠に稽古を付けられてるみたいな感覚だったぜ」


 ディランは汗を袖で拭いつつも、どこかスッキリした顔で敗北を認めましたわ。

 いつでも瞬殺できたにも関わらずそれをせず、相手の戦術を全て吐き出させたロゼの戦い方が功を奏したようですわね。


「対戦ありがとうございました。ディラン様は素晴らしい剣技の才能をお持ちですし、もっとダンジョンのボスや大量の魔物を相手に戦いを続けて地力を上げていけば、伸びる余地は多分にあると思います」


「お、おう……」


 ロゼからのアドバイスにディランが顔を青くしてドン引きしてますわね。

 おそらくあそこまで効率に振り切ったレベル上げをしてるのは、この世界でもわたくし達だけだと思いますわ。



「なぁ、ロゼ嬢。この学園にお前より強いやつっているのか?」


「少なくともアーゼちゃんとアクアル様はあたしより強いですよ。それと――」


 ディランからの問いかけに、ロゼはわたくしの隣へと視線をやりましたわ。


「たぶん、もう一人」



 ◇



「はぁ……そっか。リリ様も転生前の記憶持ちだったんですね。ひどいなぁ、私の繊細な気持ちを知ってて弄んでたんですね」


 ロゼが言った『もう一人』がわたくしの隣で絶賛ヒスリ中ですわね。

 あなたの気持ちなんて知ったこっちゃねーですわよ。


「でも、それならもう遠慮する必要もないかな。……うん、決めました」


 わたくしの美しい顔を、その大きな金色の瞳でギロリと睨みつけるシャルロット。

 その瞳の奥には抑えきれない怒りの感情が籠っていましたわ。



「リリ様。あなたにデュエルを申し込みます」





―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 次回から大ボス戦スタートです。

 ここまで読んで頂きありがとうございました。

 もし宜しければブックマーク、評価、レビュー、ご感想、リアクション等をして頂けると作者のやる気が爆上がりしますので、少しでも面白い、続きが読みたいと思った方は宜しくお願い致します。

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