第47話 転生主人公の中身はブラックボックスですの
△△(side:リリアーゼ)
新学期が始まって3日目。
わたくしは特Aクラスの教室でロゼと一緒に次の講義、校庭で行われる実技訓練の為の身支度を整えていましたわ。
既に原作とは状況が大きく変化しているとはいえ、今日はシャルロットとわたくし、そして3人目の攻略対象が関わるかなり重要なイベントが起こる日ですの。
既にアレイスターとクラストとはある程度友好的な関係を築けている事ですし、ここを乗り越えさえすれば攻略対象対象共と敵対する要素を限りなく0にできる事を考えれば、絶対に失敗は許されないのですわ。
––––と噂をすれば、見た目だけは金髪の超絶美少年なアホ王子もといアレイスター殿下、そのすぐ後ろに緑髪でオッドアイのメガネもといクラストがわたくしの前を横切っていきましたわね。
殿下は一昨日わたくしとロゼでけちょんけちょんにしてやったにも関わらず、満面の笑みを浮かべながらスキップしていて、相変わらず何を考えているのか分からず不気味ですの。
ま、わたくしに用がある訳でもないようなのでどうでもいいのですわ。
殿下が立ち止まったのはわたくしから少し離れた位置に座っているシャルロットの前でしたわ。
ああいった特殊な性癖があるとはいえ、おそらく殿下は普通に令嬢が好きなのでしょうし、もしかしたら婚約者のマーズを放置して彼女より顔面レベルの高いシャルロットを口説きにでも来たのかもしれませんわね。
「シャルロット嬢、聞いたよ!生徒会長のアクアル先輩とお付き合いする事になったそうだね!」
えぇ、アホ王子はいつものアホ王子でしたわ。
新たなオカズを前に鼻息を荒くする様は直視困難なレベルで気持ち悪いですの。
「王族全て、そしてキングダム王国の民の代表として尊い君達の愛を心から祝福させてもらうよ!本当におめでとう!!」
「殿下、勝手に王族と民の代表を名乗らないでください」
額を抑えながら、後ろからチクリと刺すクラスト。
あのアホ王子のお守りをしなきゃいけないとか、彼も殿下の婚約者であるマーズに負けず劣らず、相当な業を背負ってますわね。
無駄に声の大きい殿下の発言を聞いて、教室内ではまだシャルロットとアクアルお姉様が付き合う?事になったのを知らない生徒も多かったのか、そこかしこで黄色い声が飛んでましたわ。
「……アレイスター殿下、何か勘違いをされているようですが」
ですけれど殿下から下世話な話を振られ、教室内で一身に注目を浴びるシャルロットの様子は落ち着いており、スンと澄ました表情をしておりましたの。
……昨日、お姉様からの告白にたじろいで身動きすらロクにできなくなっていた彼女とはだいぶイメージが違いますわね。
「私とアクアル先輩はお付き合いしてません。お友達になっただけですよ」
「あぁ、分かっているとも!まずは親しい友人として始まり、そこから徐々に距離を詰めていくんだろう?もちろんこのアレイスター、矮小な身ながらも王太子として君達の事は微力ながら応援––––」
「いえ、アクアル先輩はただのお友達です。今後彼女と恋人としてお付き合いするだとか、そういった予定は一切ないです」
淡々と当たり前な事のように告げるシャルロットに、殿下は凄まじいショックを受けたかのように立ち尽くしてしまいましたわ。
「……なん……だって?それは本当なのかい?」
「はい。私はアクアル先輩の事をそういう対象として見てないです」
「そ、そうか。……はは、僕とした事が早まってしまったようだね。うん、ここは出直させてもらうよ」
肩を落としてすごすごと引き下がる殿下。
新しいオカズがおじゃんになった事でよほどの精神的ダメージを受けたのか、クラストの肩を借りて足を引きずるようにして去っていきましたわ。
「アクアル様……」
1日も経たないうちに自分の知らない場所で捨てられてしまったお姉様を慮って、隣でロゼがしんみりしてますけれど、そんな彼女を他所にわたくしの超頭脳はこの状況を的確に整理して、今後取るべきプランを一瞬のうちに2つも弾きだしていましたの。
まずプランA。
これはシャルロットが乙女ゲー転生主人公にありがちなド畜生だったパターンですわね。
この場合シャルロットはお姉様をぬか喜びさせて弄び、こっ酷く振って愉悦するアバズレという事になりますの。
その際わたくしが取るべき行動は、まず傷心のお姉様を適当に慰めたあとに美味しく頂き、次に何かしらの企みを仕掛けてくるであろうシャルロットを撃退してぶち◯し、こちらも美味しく頂くのが最適解になりますわ。
次にプランB。
これはシャルロットが原作通りの優しく清廉な少女だったパターンですの。
わたくしの予測だとこちらのプランの方が本命になりますわね。
だって、昨日のお姉様の告白劇の際にシャルロットが見せた反応はあきらかに生娘のそれでしたもの。
うふふ……このプランBの場合はお姉様を頂く事はできなくなりますけれど、上手くいけばアバズレなシャルロットではなく、清廉なシャルロットをお姉様より先に頂く事ができるかもしれませんわ!
NTR成分(もちろん寝取る方ですわ)も補給できて脳汁ドバドバですの!
「アーゼちゃん、涎を垂らしてる場合じゃないですよ!このままじゃアクアル様に何て伝えたらいいか……」
「ロゼ。この超貴族たるわたくしは、ちゃあんとお姉様へのアフターフォローもバッチリ考えてますわ。心配など不要ですことよ?」
さて、兎にも角にもまずは今日のイベントを乗り切るのが先決ですの。
わたくしはロゼを引きつれて校庭へと向かいましたわ。
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どちらのプランでもかわいそうな目にあいそうな系乙女ゲー主人公。
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