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クレイジーレズと呼ばれた少女、自分が戦闘あり乙女ゲーの大ボス悪役令嬢だと気付いたので開き直って今世で推しのサブキャラメイドを愛でる  作者: エスツー
第二章 学園編

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第45話 先輩なんて全然パッとしない人じゃないですか!

「ふあぁ……」


 ここは学園女子寮の、昨日から使わせて頂いている私の部屋。

 授業を終えて部屋に帰ってきた私ことシャルロット・アンサムはおろしたてのシーツを敷いたベッドの上で、下着姿になり仰向けの状態で寝転がっていました。


「可愛かったなぁ、アクアル先輩」


 脳裏に浮かぶのは食堂での一幕。

 頬を染めて、瞳に涙を浮かべながらも健気に想いを伝えてくるアクアル先輩の姿。


 なんだか胸がいっぱいで、頭がほわほわして幸せな気分です。


 リリ様がアクアル先輩の恋の応援をしてた事から、私はそもそも彼女からお付き合いする対象として見られてなかった(性的な目では見られてるけど)という事が明らかになってしまいましたが、不思議と悲しいとか悔しいとかそういった気持ちは湧いてきませんでした。


 なんと言えばいいんでしょうか……私がリリ様を好きだという想いは、前世の私がリリ様のファンだったという記憶に引っ張られていた部分が大きかったように感じるんです。


 その証拠に、もし仮にリリ様と恋人になれたとしても、私が彼女とお付き合いしている姿が全く想像できないといいますか。

 ……リリ様にセクハラされてる自分の姿は容易に想像できるのが悲しいところですけど。



 その点、アクアル先輩だったらこれからお互いどうお付き合いしていくのか、割とすんなりイメージできるんですよね。

 あの人は絶対私の事を大事にしてくれるでしょうし、それにいっぱい甘えさせてくれそうです。


 いいですよね、優しい年上のお姉さん。

 うん、凄くいい。


「アクアル先輩はなんでもしてくれるって言ってたけど……お願いしたらまた触らせてくれたりするのかな?」


 上の下着の中に手を滑り込ませて、軽く掴むようにして触れてみます。


「んっ……」


 ……なんか違いますね。

 私の胸はアクアル先輩程ではないにしろ、同年代の女の子達と比べればかなり大きい方ではあるのですが、先輩のお胸のように指が沈み込むような感触にはなりませんでした。



「––––ってこれじゃアクアル先輩を想って致してるみたいじゃない!」


 あれ?

 でも、アクアル先輩も私を想って致してるって言ってた気がします。


 それはリリ様が勝手に言ってるだけでしたっけ?


 うーん、なんだか頭がピンク色に染まっちゃってる気がしますね。


「……もう寝よ」


 仰向けのままお布団をかぶって目を閉じました。


 こういう時は一度寝て頭をスッキリさせるのが一番です。

 明日の事は明日考えればいいんです。


 アクアル先輩は私に好きになってもらえるよう頑張るって言ってくれましたし、私も彼女に見限られないよう頑張っていきましょう。



 ……。



 バチン!



 ……。



 なんだろう。

 目を閉じたら一瞬頭の中に火花が走ったように感じて、しばらくしたら心の中にモヤモヤした物が生まれてきたような気がしてきました。


 目を開けようとするものの、不思議と瞼が重く感じて上がりません。



 あぁ––––



 胃の中がムカムカして、なんだか無性にイライラします。



 ––––これも全部あの人のせいだ。



 ◇



 私が前世の記憶を取り戻したのは今から約2年ほど前、当時の枢機卿が何者かに殺害され、聖女として尊敬していたレイライト先輩が失踪された事によるショックが原因でした。


 記憶という名の原作情報を取り戻したのはいいものの、バレスチカ家と王家の血みどろの戦いが起きるキッカケとなる学園生活(シナリオ)が始まるまでたったの2年。

 時間にそう余裕はありません。


 私はシナリオ終盤で聖女認定を受ける地である高難度ダンジョン『聖者へと至る道』に籠り続ける事で、神殿から新たな聖女として認められ、同ダンジョン内にある

最強武器『聖杖ミストルティン』を手にし、そしてボスの【神女フルドリス】を何度も倒し続け、レベルを(おそらく)カンストさせました。


 それも全てはいらぬ犠牲者を出さない為。

 私はリリ様も、ロゼさんも、レイライト先輩も、戦いの中で犠牲になる王家やバレスチカ家の人達の誰も死なせるつもりはありません。


 そしてそれが叶った暁には私が前世から想っていたあの人と––––



 そう思って修行を頑張ってきたというのにリリ様……リリアーゼ・バレスチカは私の純情を踏み躙ったんです!



 初めて顔合わせしたリリ様は友人になれた事を喜ぶ私をよそに、己の性欲を満たす為に人前で私の太腿を撫で回してきました。


 それだけならまだしも、彼女はこの世界の主人公たる私の許可も取らず勝手にロゼさんを恋人にして、私などただの性欲の捌け口でしかないと暗に示したのです。


 酷い侮辱です!

 性的搾取です!


 そしてトドメは今日の出来事。

 リリ様は自分の姉であるアクアル先輩を私にあてがってきたんです。


 どれだけ私を馬鹿にすれば気がすむんですか!

『あなた如きに大ボス悪役令嬢たるわたくしのパートナーが務まるはずありませんわ』『せいぜい中ボスにすぎないお姉様で妥協するのがお似合いですの』……とでも言いたいんですか!


 アクアル先輩なんてお胸が大きくて、美人で、優しくて、頭が良くて、Sランク冒険者で武芸に長けていて、家族想いで、生徒会長で権力があって、人望もあり慕われていて、500年続く由緒正しい家柄のお嬢様で、そしてお胸が大きいぐらいしか取り柄のない、全然パッとしない人じゃないですか!



 これだけ主人公たる私が侮辱されたんです。

 リリ様には痛烈にやり返してやらないと気が済みません。


 幸い私には厳しい修行によって身につけた、リリ様もレイライト先輩をも凌駕できる圧倒的な力があります。

 この力でリリ様を捩じ伏せて、私の物にしてやればいいんです!



「……チョロいなぁ」



 不意に、耳元にどこかで聞いた事のある声が届いたような気がしました。


 その後、私の額の上に掌のような物が乗せられ、それが私の頭を優しく撫でていきます。

 ひんやりとした冷たい掌が、熱くなっていた頭を冷やしてくれて気持ちいい。



「おやすみ、後輩ちゃん」



 優しい感触と、どこか懐かしい気持ちに包まれて、私は意識を手放しました。




 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 シャルロットはリリアーゼより半年ほど早く記憶を取り戻してます。


 ここまで読んで頂きありがとうございました。

 もし宜しければブックマーク、評価、レビュー、ご感想、リアクション等をして頂けると作者のやる気が爆上がりしますので、少しでも面白い、続きが読みたいと思った方は宜しくお願い致します。

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