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第4話 事実陳列罪で訴えますわよ!

 で、ここからどうやってリリアーゼが破滅していくかについてですけれど、簡単に説明すれば要は悪事が白日の下に晒された訳ですわね。


 そのキッカケとして、先程述べた嫌がらせとは別件でとある公爵令嬢(公式人気投票6位)をぶち◯す機会があったのですけれど、この公爵令嬢は正義感が強く自らの市場価値が暴落する事も厭わずにわたくしにされた事を曝け出し、シャルロットや攻略対象達と協力してわたくしを追い落とそうとしますの。


 嫁入り前に純潔を汚されたなんて事が明るみになれば社交界でも爪弾きにされるでしょうに、それでも己の正義を貫くその強さ、敵ながら天晴れですわ。

 心をへし折って屈服させ、ひぃひぃ言わせてやりたくなってしまいますわね。


 ま、そんなこんなで芋蔓式に悪事を暴露され、シャルロット達との激しい戦闘の後にリリアーゼは投獄された訳ですけれど、事態はここから急転直下する事になりますの。


 まず事の顛末を知ったバレスチカ子爵家が一族総出でリリアーゼの救出に向かい、成功するものの、その際にリリアーゼの専属メイドであるロゼが大怪我を負って死亡。

 この出来事によってリリアーゼの精神は崩壊(元々壊れてたとかは言わない約束ですわ)し、王家とシャルロットや攻略対象達を全力で殺しにかかるようになる訳ですわね。


 たかが子爵家のくせに王家とやり合えるバレスチカ家強すぎではなくて?などと思うかもしれませんけれど、とりあえずバレスチカはそういう家系なのだと理解してくれればいいですわ。

 というか、そうでもなければ子爵令嬢であるリリアーゼが王太子の婚約者候補などになれる筈ありませんもの。


 さて、その後の過程は省略しますが最終的に王家は王太子を残して全滅し、リリアーゼとシャルロット達による最後の決戦となりますわ。


 この際、戦闘前にリリアーゼが自分に仕えていたロゼに対しての想いの丈をくっそ長い長文で語るシーンがあるのですけれど、これが声優の名演もあってSNSで大バズりしてましたわね。


 この演説やこれまでの行いも相まってリリアーゼはネット上で『クレイジーレズ』などという不名誉な渾名を付けられる事になりましたの。

 事実陳列罪で訴えてやりたいですわ。


 っと、話が少し逸れましたわね。

 それでシャルロット達がリリアーゼとの最終決戦に勝利すると彼女は死亡して、そのままラスボス戦に突入、攻略対象とハッピーエンドを迎えるのですけれど、敗北した場合バッドエンド、通称『クレイジーレズエンド』を迎える訳ですの。


 内容としては戦いに勝利して攻略対象達をぶち◯したリリアーゼが死んだロゼの代わりを求めてシャルロットを監禁して◯し、◯ませるという行き着くとこまで行ってしまうという物になってますわ。


 これによってシャルロットは身籠る事になるのですけれど、当時はシャルロットを男に抱かせたのかと一部過激な百合界隈でリリアーゼが叩かれたりもしてましたわね。

 のちに発売される18禁版ではちゃんとリリアーゼ本人がシャルロットを◯ませた事が分かってからは界隈はにっこにこになりましたけれど。


 とはいえ心を病んでいたリリアーゼは結局最後は自ら死を選ぶ事になりますわ。

 ロゼが死んだ時点で既にリリアーゼの未来は絶たれていたという事ですわね。



 以上を踏まえてわたくしが幸せを掴む為には自分とロゼが生き残るルートを探す必要があるのですけれど。


 ……これ、わたくしがある程度品行方正にしてればそれだけでラスボス関連以外はどうにでもなりそうな気がしますわね。


 性格その物が変わった訳ではないとはいえ前世の記憶によって一般人の感性をある程度理解できた今のわたくしなら周囲からそこまで浮かずに過ごす事も可能だと思いますわ。


 であるならこれからやる事は『もしも』に備えて己とロゼの戦闘力を上げる事。

 そして––––


 わたくしは記述していたノートを閉じて立ち上がります。


「ロゼ、行きますわよ!」


「あっ、待ってください。アーゼちゃん」


 ◇


「失礼しますわよ、グレンお兄様!」


「し、失礼致します。グレン様」


 ノックもそこそこに執務室の扉を開け放ち、入室しますの。

 そこには仕事机に向かい、のんびりとしたペースで書類を進める黒髪黒目、暗めの赤を基調としたタキシードに身を包む青年、グレンお兄様の姿がありましたわ。

 その傍には家令である壮年の男性、スバセも控えてますわね。


「おや、どうしたんだい二人とも。お茶受けでも切れたのかな?」


「何を呑気な事をいってるのですか、お兄様。張り倒しますわよ?」


 大事な妹の危機だと言うのに何を寝ぼけた事を。

 まぁお兄様はバレスチカ家の者としては珍しく穏やかな気質である事もあって、お父様も安心して彼に当主代理としての仕事を投げているのかも知れませんが、今は栓なき事ですわ。


「お兄様。わたくしは1年後に入学する事になるフォーチュン学園にロゼを()()()()()ねじ込む事にしましたわ」


「アーゼちゃん!?」


 寝耳に水といった感じでロゼから悲鳴が上がります。

 でも関係ないですわ。

 もう決めてしまいましたもの。


「つきましてはロゼを我がバレスチカ子爵家の養子にして頂きたく存じますの。……ほら、早く手続きなさい」


 ロゼを本来学園では付き従う事が認められていない令嬢の従者としてではなく、生徒として正式に入学させる。

 これによって学園の生徒達から上がるわたくしへの反感を避けると共に彼女をサブキャラクターからメインキャラクターへと昇華させるのがわたくしの考えた作戦ですの。

そもそもの話––––


 ()()()()()ロゼが雑に死ぬサブキャラクター扱いされるだなんて事、許されていい筈がないのですわ!





―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 何故か百合過激派が出張ってくる謎の乙女ゲーム。 


 ここまで読んで頂きありがとうございました。

 もし宜しければブックマーク、評価、レビュー、ご感想、リアクション等をして頂けると作者のやる気が爆上がりしますので、少しでも面白い、続きが読みたいと思った方は宜しくお願い致します。

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