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クレイジーレズと呼ばれた少女、自分が戦闘あり乙女ゲーの大ボス悪役令嬢だと気付いたので開き直って今世で推しのサブキャラメイドを愛でる  作者: エスツー
第二章 学園編

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第33話 ゲーム開始前に失恋するなんて!

「アーゼちゃん!聖女様に何をやってるんですか!」


 始業式が閉幕すると同時にこちらに向かってロゼ色の髪と瞳を持つ丈の短いスカートのメイド服に加えてリリ様と同じく黒タイツを着用した可愛らしい少女が怒りの感情を顕にしながら駆け付けてきました。


 この子、見た目からしてロゼさんですよね?


 従者を連れて来れない筈の学園に無理矢理連れて来られた上に生徒達の前でリリ様の椅子にされていたマゾヒストの……。


 あのマゾヒストのロゼさんが、主人であるリリ様に苦情を言ったの?


「ただそこに太腿があるから撫でただけですわ」


 ロゼさんからの苦情に悪びれもせずしれっと答えるリリ様。

 何なんですかその『ただそこに山があるから登った』みたいな謎理論は。


 言っても無駄だと悟ったのか、ロゼさんはリリ様の相手をやめて私の方に視線を向けました。


「アーゼちゃんがご迷惑をおかけして申し訳ありません、聖女様。あたしはロゼ・バレスチカと申します。同じ特Aクラスの生徒として義姉のアーゼちゃんともどもどうぞ宜しくお願いします」


 短いスカートを摘み、カーテシーの姿勢を取りながら挨拶をしてくれたロゼさん。

 下着が見えてしまいそう、と一瞬心配になりましたが、それ以上に聞き逃せない発言がありました。


 ––––ロゼ・バレスチカ?

 確かその名は原作だと戦闘エンドコンテンツである『スパイラルアビス』で出てくるロゼさんの強化形態の敵キャラクターで、本編シナリオだとバレスチカ家当主であるグラント・バレスチカが先に死んだ彼女を悼んで送った名前だった筈……。


 それに私と同じ特Aクラスで、さらにリリ様が義姉ってどういう事!?


「ご丁寧にありがとうございます、ロゼさん。シャルロット・アンサムです。……えっと、不躾な質問をして申し訳ないのですが、ロゼさんはリリ様の従者ではないのですか?」


「リリ様……ですか?」


「うふふ、わたくしとシャロ様は愛称で呼び合う仲なのですわよ。すなわちもはや親友と言っても過言ではありませんの」


「そ、そんな……」


 私とリリ様が愛称で呼び合う仲だと聞いてリリ様が自分に興味がなくなったとでも思ったのでしょうか。

 ロゼさんは私の質問に答える余裕もないのか、この世の終わりだとでも言うような表情で愕然としてしまいました。


 一方リリ様はそんなロゼさんを、口角を釣り上げてにやにやと見下すように観察しています。


 ロゼさんはある意味では私にとって一番のライバルですし、これが原作でもよく見られた二人のSMプレイの一環だというのも分かってはいるのですが、彼女が余りにも絶望した表情を浮かべている物だから流石に不憫––––


「なーんて、冗談ですわ。シャロ様は先程出会ったばかりの、ほぼ知り合い同然の新しいお友達ですの」


「……!」


 リリ様は先程の発言をあっさりと翻すと優しい目でロゼさんを見守るように見つめます。

 彼女の発言を聞いたロゼさんはぱぁっ、と表情を輝かせました。


 ……リリ様?


「わたくしが愛しているのはロゼ、あなただけですわ」


「あたしもアーゼちゃんを愛してます!!」


 ロゼさんは尻尾を振って喜ぶ子犬のような勢いでリリ様の胸に飛び込みました。

 リリ様はそんなロゼさんを受け止めて抱きしめると、愛おしい者を慈しむかのように優しく彼女の頭を撫でつけます。


 ……。


 え?

 私、当て馬にされた上に失恋した……?


「あぁ、そうですわ。ロゼへの質問にはわたくしが代わりに答えますわね。この子、ロゼ・バレスチカは元はわたくしの専属メイドだったのですけれど、今はバレスチカ家の養女であり、そして––––」


 リリ様は頬を染めながらロゼさんの腰に手を回して自分の方へとその身体を引き寄せました。


「わたくしの最愛の人、つまり恋人ですわ。シャロ様もこの子と仲良くして頂ければ幸いですの」



 あ……これもうダメだ。



 原作でリリ様が私、シャルロットを手籠にするバッドエンド、通称クレイジーレズルートはロゼさんを亡くした彼女がシャルロットをその代わりに添えようとする事で展開される物でした。


 つまり、リリ様が貴族としてのプライドに拘らず、既にロゼさんと恋人になっているのなら、私がそこに割り込む余地なんてないんです。



 ––––私の初恋は、学園(ゲーム)が始まる前に終わってたんだ。



「えぇ、ロゼさんもこれから3年間宜しくお願いしますね。……あ、そろそろホームルームが始まっちゃう。私、先に行ってますね」


 泣き出したい気持ちを何とか堪えると、私は逃げ出すようにこの場を立ち去りました。



 △△(side:リリアーゼ)



「凄い綺麗な方でしたね、聖女様。その……アーゼちゃんは本当に聖女様とはお友達になっただけなんですよね?」


 オドオドとした様子でシャルロットとの関係を尋ねてくる、わたくしの最愛の少女ロゼ。


 シャルロットは可愛い系と美人系という違いはあれど、わたくしと同等レベルの美少女ですものね。

 わたくしを取られるのではないかと彼女が警戒する気持ちも分からなくはないですわ。


 ですけれど––––


「あの女は友達なんかじゃありませんわ。むしろこの学園で一番の警戒対象ですの」


「え?でもさっき聖女様のお身体を––––」

「わたくしが無意識のうちに太腿を撫でるよう誘導してくるとは……なんて恐ろしく卑しい女ですの!?」


 まったく、油断も隙もあった物ではありませんわ!


「えぇ……勝手に触っておいて流石にそれはあんまりな言い分だと思いますよ、アーゼちゃん」


 わたくしの発言に対して露骨に引いてるロゼですけれど––––甘いのですわ!

 ハチミツをぶっかけたパンケーキにチョコシロップをふんだんに塗りたくったカロリー爆弾より甘い!


 あの女、原作である『ふぉーみら』の主人公、シャルロット・アンサムはユーザーからエ◯担当だの性女だのと呼ばれ、男性からも女性からもオカズにされまくった淫◯女なのですわ!

 呆けていたらあっという間に籠絡されてしまいますわよ?


「わたくしがシャルロットと交友を持とうとしたのは単にアクアルお姉様との約束を果たす下地作りにすぎませんの。ロゼ、あなたも彼女と仲良くするフリをするのは構いませんけれど、心を許すような事はあってはなりませんわよ」


「人が良さそうな方に見えましたけど、アーゼちゃんがそう言うなら。……それにしてもアクアル様との約束、ちゃんと覚えていたんですね」


 まぁ、実際のところシャルロットが単にエッッッなだけの女ならわたくしのおかずのバリエーションになるだけなのでさほど警戒する必要もないのですわ。

 ですが、これから彼女と関わりを持っていく上でどうしても無視できない要素がありますの。


 その理由は––––



 あの女、シャルロット・アンサムはわたくしと同じ【転生者】なのですわ。




―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 原作シャルロットがユーザーからエロ担当扱いされてるのは大体リリアーゼのせいです。

 ここまで読んで頂きありがとうございました。

 もし宜しければブックマーク、評価、レビュー、ご感想、リアクション等をして頂けると作者のやる気が爆上がりしますので、少しでも面白い、続きが読みたいと思った方は宜しくお願い致します。

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