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クレイジーレズと呼ばれた少女、自分が戦闘あり乙女ゲーの大ボス悪役令嬢だと気付いたので開き直って今世で推しのサブキャラメイドを愛でる  作者: エスツー
第二章 学園編

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第32話 お友達税、頂戴致しますわ!

 お待たせしました!第2章です。

 書き溜めがほぼないので途中から更新が不定期になる事をご了承ください。

 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――




「あー、あー、ようやく静かになりましたね。皆さんが静かになるまで3分32秒かかりました。名誉あるフォーチュン学園第72回生として入学された皆さん、おはようございます。学園長の––––」


 ここは王都シュトーにある王立フォーチュン学園。

 新入生として入学したわたくしは朝礼台の上でしょうもない小芝居から長々とどうでもいいトークを展開する学園長の話を聞きながしつつ、その近くに備え付けられたやっすいパイプ椅子に腰掛けてましたわ。


 ちなみにこの始業式で新入生はわたくしと隣にいるもう一人以外の生徒は全員直立してますの。


 他の生徒が立ちぼうけな中、何故わたくし(ともう一人)がこうして座る事を許されているのかと言いますと––––ふ、ふふふっ!



 このわたくし、リリアーゼ・バレスチカは新入生代表として挨拶をする立場––––つまりこの300人を超えるフォーチュン学園第72回生、その首席となったのですわぁっ!!



 あーやってやりましたわ、こんちくしょうめ!ですの!


 原作である乙女ゲーム『ふぉーちゅん⭐︎みらくるっ!』においてリリアーゼの成績は上から4番目に甘んじていたものの、わたくしはその壁を超えて、頂点を勝ち取ってやったのですわ!


 お姉様と現役学生だった頃のお兄様が常に首席だったにも関わらず、わたくしが4位止まりになるかもしれないという未来、実はかなーりプライドを傷付けられてましたの。

 具体的には原作で『生徒会長(アクアルお姉様)は首席なのに』みたいな事を特Aクラス(わたくしや攻略対象達が所属する上位20人のクラス)ですらない有象無象のモブ令嬢に陰口叩かれた時は、ついイラッときてぶち◯してしまったぐらいには効いていましたわ。


 ちなみにIQ2万を超える超天才であるわたくしが原作で首席を取れなかった理由についてなのですけど、それは文系でありがちな『〜の気持ちを答えなさい』的な凡人の感性を問われる問題がどうにも理解し難かったせいですの。


 ですが現実のわたくしは前世(凡人)の記憶を取り戻している。


 つまりこのような凡人専門の問題も凡人になりきる事で解く事が可能となったのですわ!



 ま、ひとつ気に入らない事があるとすれば今年度の首席はわたくしだけでなく、もう一人いるという事ぐらいですわね。


 わたくしが隣に目を向けると、そこに居たのは枝毛の一つもない鮮やかな金色の髪をツーサイドアップにセットした、同色のパッチリと開いた大きな瞳を持ち、黒をベースにした修道服を学生服に仕立て上げたような装いに加えて清楚な白タイツを履いた、わたくしに勝りはしないものの劣りもしない超絶美少女。


 原作主人公、シャルロット・アンサムがわたくしの美しい顔をガン見していたのですわ。



 △△(side:シャルロット)



 はあぁ……ほんとに綺麗だなぁ、リリ様。

 腰まで伸ばした綺麗な黒髪、吸い込まれそうな程に大きく綺麗な黒の瞳、スッと通った鼻筋に形のいい桜色の唇、そして前世で言う制服に近い形状のゴシックドレス、そして黒タイツに包まれた引き締まったおみ足。


 隣に座る少女のあまりの美しさについ感嘆の溜息が漏れてしまいます。

 少し前に四天王––––彼女のお姉さんであるアクアル先輩と交流する機会があって、その時も『こんな大きい人––––じゃなくて、綺麗な人いるんだなぁ』と感心したものですが、リリ様はもはや美人の枠組みを超えて芸術品の域に達しているようにすら感じます。



 第72回生の首席として選ばれた私ことシャルロット・アンサムは同じく同率で首席となった大ボス悪役令嬢リリアーゼ・バレスチカ、通称クレイジーレズもといリリ様と一緒に朝礼台の側にある椅子に座り待機していました。


 原作では入学時、上から10番目の成績に甘んじていた私ですが、ちょっとしたキッカケで前世の記憶を取り戻し、課題だった実技面を厳しい修行の末克服した事でこの度めでたく首席の立場を頂く事になりました。

 何故か私だけでなくリリ様も同率で首席になっていたのですが、せっかくの機会なので彼女の美しいお顔をこの目に焼き付けておかないと。


 と、私が憧れのリリ様の横顔を眺めていたら、彼女が突然こちらを振り向き、ニヤニヤと見下したような笑みをしながら話かけてきたのです。


「先程からずっとこちらに意識を向けられているようですけど、何かわたくしの顔についているのかしら、聖女様?」


 うわああっ!?

 ずっと見てた事がバレてるっ!?


「も、申し訳ありません。リリ様の横顔がとても美しかったのでつい……」


「リリ様?」


「リリアーゼ・バレスチカ様でした!重ね重ね申し訳ありません」


 怪訝な顔をするリリ様に私は慌てて訂正を行います。


 リリ様というのは前世でリリアーゼ様の事を純粋にキャラクターとして愛している同好の士が好んで使う呼び名でした。

 当然原作では私が彼女の事をリリ様と呼ぶシーンなんてありません。


「そのリリ様、とやらで構いませんわ。わたくしがこれまで呼ばれていたクレイジーレズ令嬢とかいう下品な渾名よりずっとマシですもの」

「ぶふっ!?」


 リリ様から出た衝撃的な発言につい吹き出してしまいます。


 えっ、この人ゲームの外じゃなくて中でもクレイジーレズって呼ばれているの!?


「聖女様、はしたないですわよ?」


「ごめんなさい。……あの、リリ様?もし宜しければ私の事は聖女ではなくシャルロットと呼んでは頂けないでしょうか?」


 いっぱい頑張った結果、フォーチュン学園入学前にSランク冒険者の称号に加えて聖女候補ではなく聖女認定まで受けた私ですが、やっぱり憧れの人からは名前で呼ばれたい欲求があります。


「ふむ、そうですわね。それならわたくしへの呼び名である『リリ様』と同じように、わたくしも聖女様の事は縮めて『シャロ様』と呼ばせて頂きますわ。……ふふっ、お互い愛称で呼び合うだなんてもうわたくし達、お友達みたいな物ですわね?」


「私とリリ様がお友達……」


 原作ゲームである『ふぉーちゅん⭐︎みらくるっ!』において女性ユーザーからも男性ユーザー(乙女ゲームだけど)からも絶大な人気を誇るリリ様。

 そんな彼女とこうして並んで楽しくお喋りしながら、愛称で呼び合い、その上お友達にまでなれるなんて……前世の記憶を思い出す事ができて本当に良かった!


 だってもし前世の私がリリ様の熱狂的なファンとかそういうのじゃなかったら、きっと同じ女の子に対して魅力的だとかお付き合いしたいとか、そういう感性を抱く事もなかったもの!



 幸せな気持ちで頭がいっぱいになっている最中、不意に私の下半身、太腿の辺りからゾワリとした感触が伝わってきました。


「ひゃあっ!?」


 思わず声を上げてしまう私。

 視線を下に向けると、そこには私の白タイツに包まれた太腿を優しく、そしていやらしい手付きで撫で続ける傷一つない綺麗な掌。


 ––––って!リリ様に太腿を撫でられてる!?


「あの……んっ、リリ様?あんっ……一体何を……」


「何って、お友達税を頂戴してるだけですわ」


 お友達税!?


 にちゃあ……という擬音が聞こえてきそうな満面の笑みを浮かべてリリ様は私の太腿を撫で続けました。


「わたくし、視覚的に引き締め効果のある黒タイツこそ至高だと思ってましたけど、こうして見ると白タイツもなかなかよきですわね。白タイツ越しにシャロ様の綺麗な肌色がうっすらと透けて見えて大変エッッッで眼福ですわ」


 何言ってるの、この人!?


「しかしわたくしだけが貰ってばかりというのもあまりお友達らしくありませんわね。……そうですわ!お近付きの証としてシャロ様にはわたくしのおかずのバリエーションとなる権利をプレゼントしますの」


「おかず?……ひうっ!そ、それは私をお食事に誘って頂いてるという事ですか?」


「うふふ、シャロ様は焦らすのがお上手なのですわね?」


 ???


「わたくし、致す時は基本的にロゼの事を想ってしていますけど、あの子は肉付き自体は悪くないものの若干控えめな体型ですから。なのでちょっと肉肉しい物を接種したくなった時はおかずをアクアルお姉様に切り替えて致してますの」


 想って致す?


 ……それってもしかしなくても自◯の事ですよね!?


 しかもリリ様はロゼさんだけでなく、自分の実のお姉さんであるアクアル先輩を想ってしているの!?


「シャロ様はお胸の方もなかなかご立派な物をお持ちですけど、それじゃあお姉様と被ってしまいますものね?ですのでお姉様はお胸担当、シャロ様は太腿担当に任命致しますわ。白タイツ越しのボリュームのある太腿がとてもわたくし好みでしたの。光栄に思ってくださいな」


 勝手に太腿担当とかいう意味分からない物に任命された!?

 しかもプレゼントって話だったのに、私結局何も貰ってないどころか提供する側にしかなってない!



 原作のリリ様はいつも凛とした佇まいで綺麗でカッコよくて、心無いユーザーからはクレイジーレズなんて呼ばれてたけど、貴族としてのプライドを建前に大好きなロゼさんにも手を出せないような奥ゆかしい一面も持ってる方で。

 令嬢達に百合乱暴(控えめな表現)する際もあくまで懲罰として(楽しんではいたけど)であり、それも悪戯に彼女達の身体を傷付けるような真似は絶対にしませんでした。


 少なくともこんな自らの欲望の赴くまま、出会ったばかりの女の子にセクハラしてくるような人じゃなかったのに。


「こんなの私の知ってるリリ様じゃないよぉ……」



 私の頭の中にあった理想のリリ様像が粉々に砕け散り、その上延々とセクハラをされ続けた事で精神肉体両面に多大なダメージを負いながらも、この後何とかリリ様と一緒に新入生代表の挨拶を終えました。


 入学早々に聖女様がクレイジーレズ令嬢に手籠にされたという噂が流れているのを私が知るのはもう少し先の話になります。





―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 原作主人公、シャルロット・アンサムのイメージ(AI絵)です。

 活動報告にちょっとした設定が載せてます。

挿絵(By みてみん)

 ここまで読んで頂きありがとうございました。

 もし宜しければブックマーク、評価、レビュー、ご感想、リアクション等をして頂けると作者のやる気が爆上がりしますので、少しでも面白い、続きが読みたいと思った方は宜しくお願い致します。

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