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クレイジーレズと呼ばれた少女、自分が戦闘あり乙女ゲーの大ボス悪役令嬢だと気付いたので開き直って今世で推しのサブキャラメイドを愛でる  作者: エスツー
第一章 覚醒編

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第31話 あなたは!わたくしに!◯されるべきなのですわ!!

 第1章ラスボス戦&第1章完結です。

 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――




 ここはバレスチカ家、わたくしの自室のベッドの上。

 時刻は深夜2時。


「すぅ……すぅ……」


「……寝てますわよね?」


 枕元に置いてある炎属性の魔石を動力源にする光源を調整して眩しくない程度の灯りをつけますの。

 すると可愛らしい桃色の下着を身につけて穏やかな寝息を立てるロゼの愛らしいお顔がよく見えるようになりましたわ。


「ふ、ふふ……」


 今まではロゼを軽く抱きしめて、それをおかずにして致すまでが限界でしたけれど、今日のわたくしは一味違いますの。



 これからロゼの唇を奪ってやるのですわ!!!



 ……。


 だって、あの時(第23話参照)は処刑者(しょけいしゃ)キルリスとかいうカスとレイライトとかいうグレた家出少女のせいでわたくしのファーストキスが気付け薬(ヘドロ)味になってしまったんですもの!

 一刻も早く本当のファーストキスをして上書きする必要があるのですわ!


 それに今日はダンジョンから帰ったばかりにも関わらず休む暇もなく、王都で延々と手続きをさせられたんですもの。

 いっぱい頑張ったわたくしにはご褒美をもらう権利があるのですわ!



 ……よし。

 言い訳もしっかりした事ですし、早速やりますの。


 今ならロゼにキスをしても脳が焼き切れるような事はない気がしてきましたわ。


 わたくしは勢いのままロゼの頬に手を添えて、唇を近付けて––––



 ちゅっ。



「……ふぅ」



 ……。



 ほわああああああぁああっ!

 ついに!ついにやりましたわ!!


 ロゼの唇、すっごい柔らかかったですわ!

 わたくしの大勝利ですわ!


「ふ、ふふふ……」


 一拍置いて落ち着いてからもう一度、呑気に寝入ってるロゼの顔を見つめ直していたら、心の奥底からムクムクと嗜虐心が鎌首をもたげて来ましたわ。


 ねぇ、ロゼ。

 今どんな気持ちですの?


 出会ってから3年もの長期間、自分をいいように扱き使い貶めてきた大嫌いな女に、それも自分の知らない間にファーストキスまで奪われて。


 うふふ、どんな気持ちなんですの?

 ねぇ?どんな気持ちなの?ねぇ?


「あなたの初めてのお相手はアクアルお姉様でもアレイスター殿下でもないっ! このわたくし、リリアーゼなのですわぁっ!!」



 ……ふぅ。


 さて、この感触を忘れる前に早速致すとしますの。

 今のわたくしなら5回、いえ7回は連続でイケ––––


 むくり。


「え?」


 早速わたくしが自◯にふけろうとしたその時、先程まで寝入っていた筈の少女がスッ、と背筋を伸ばして起きあがりましたの。


 ロゼ?

 なんで起きて――


「やっと手を出してくれましたね、アーゼちゃん」


 わたくしの最愛の少女が言葉を発した瞬間、背筋が凍りつきましたわ。


「……だ、誰なんですの?あなた?」


 そこにいたのはいつものはにかんだような笑みを浮かべる控えめな性格の少女ではなく、舌舐めずりしながら獲物を見定める煽情的な女、いえメスの姿でしたの。


「きゃっ!」


 ロゼは戸惑うわたくしの手を引いてを抱き寄せると––––


「んんんんっ––––!?」


 そのままわたくしの頭を押さえ付けるように唇を荒々しく奪い、口内に舌を入れてきやがりましたの!


 ロゼの柔らかいヌメヌメとした舌がわたくしの舌を、歯を、歯茎を舐め回すように蹂躙して、わたくしの頭の中は未知の快楽で真っ白になっていきましたわ。


「はぁっ、はぁっ––––」


 数十秒後、長いキスから解放されたものの、着用してる黒の下着姿のまま押し倒されてしまったわたくしは彼女の恍惚とした、睨め付けるような視線に晒されましたの。


「ねぇ、アーゼちゃん。覚えていますか?」


「何……を?」


「あの魔物……キルリスって言うんでしたっけ?アレにアーゼちゃんが送った格言を」


 キルリス?格言?

 何でこの状況でそんな話が出てくるのか戸惑いながらも、確かになんか適当な格言(第24話参照)を送ったような気がしましたわ。


「あの時、アーゼちゃんは言ってました。『犯していいのは、犯される覚悟がある者だけですわ』って」


「『犯していいのは、犯される覚悟がある者だけ』?」


 わたくしは霞がかった頭で、それでも何とか思い出そうと必死に記憶を漁りましたわ。



 ––––言ってない。



 いや、惚けてるとかではなくマジで言ってませんわ!


 確かわたくしがキルリスに送った格言は『殺していいのは、殺される覚悟がある者だけ』みたいなニュアンスだった筈ですわ!



「アーゼちゃんはあたしに手を出しました。それはつまり!あたしに犯される覚悟があるという事です!!」


 そう言ってロゼはわたくしの下着に手をかけてきましたわ。

 言ってない事をさも言ったかのように誤認させて迫ってくるとか、なんて狡猾な女ですの!?



「優しく……しますから」



 いつもの真剣な、でも少し困ったような笑顔でわたくしに微笑みかけてくるロゼ。

 一方わたくしは驚きと混乱、そして多幸感でふわふわとした頭でぼんやりと彼女の行動を見守っていましたわ。


 あぁ……予定とは違いますけれど、これもまた良しなのかもしれませんわね。

 受け攻めは変わってしまったとはいえ、原作ゲームでは結ばれる事のなかったロゼと一つになれるんですもの。


 これからはわたくしも傲慢だった性格を反省して矯正し、良き妻としてロゼを支え––––


「––––る訳ありませんわおらあああああぁっ!ですわ!!」


「きゃんっ!?」


 腹筋に力を入れて勢いよくブリッジする事で、上から押さえつけていたロゼの身体を跳ね飛ばしてやりましたわ。



 ふーっ、あぶねーとこでしたの。

 わたくしはパチン、と自分の両頬を叩いて気合いを入れましたわ。


 しっかりなさい、リリアーゼ!

 あなたは今、ロゼから下剋上を仕掛けられてるんですのよ!?


 彼女……いえ、この卑しい雌犬はずっと憎いわたくしに復讐する機会を伺っていたのですわ!

 従順なフリをして、わたくしの発言を歪める事で既成事実を作る伏線を張り、そして今日この場でわたくしを手籠にしてバレスチカ家を牛耳るつもりなのですわ!


 かーっ!

 なんて卑しい女ですの!!

 なんて卑しい女ですの!!!


 ですがそうは問屋が卸しませんわ!

 超貴族たるこのわたくし、リリアーゼ・バレスチカは元メイド如きに屈する器ではなくってよ!



 △△(side:アクアル)



 深夜に響く騒音で目が覚めた私は苦情を言いに行くという名目でリリアーゼの部屋の前まで来ていたわ。


 ……まぁ、本当の目的は中で起きているであろう情事を見届ける事なのだけれど。


 だってあの2人、というよりロゼがリリアーゼに対してアレだけで終わるとは思えなかったものね。



 ロゼ・バレスチカ。

 旧名、ローズ・スカーライト。


 スカーライト公爵家の前公爵がメイドにお手付きして生まれたローズは公爵令嬢としては認められず、母親以外の本来家族になる筈だった人間や使用人から『スカーライト家の恥』として扱われ、メイド以下の下働き同然の扱いを受けてきた。


 生まれた時から何一つ与えられて来なかったローズ。

 そんな彼女がちょっとしたキッカケでリリアーゼに拾われ、つい最近当家の義妹となり、その上あと少し手を伸ばせば欲しい物(リリアーゼ)を手に入れられる環境へと身を置く事になった。



 今のあの子はリリアーゼを手に入れる為なら、どこまでも自分に都合が良いよう物事を解釈して突き進んでいく、そんな精神状態になっている。

 だからこそ、きっと私の知らない未知の世界を見せてくれるに違いない。


 あぁ、この扉の先は一体どんな光景が広がっているのかしら?

 ドキドキするわね。


 私が扉に手をかけたその時––––


「アクアル!無事かい!?」


 暗めの赤色を基調としたパジャマに身を包んだグレン兄さんが息を切らしながら走ってきたわ。


「衣服は……良かった!今度こそ間に合った!」


 涙ぐんで私の無事を喜ぶ兄さん。


 どうやら私がリリアーゼに襲われてるんじゃないかと思って心配して見に来てくれたみたい。

 本当にこの人は優しい……というか、マリア母さんの子なんだなと思う。


 ただ、だからこそここから先は––––


「!?それじゃあロゼが……!」


 たぶん逆だと思うわ、兄さん。



「リリアーゼ!やめるんだ!」


 バタン!と大きな音を立てながら扉を開け放つ兄さん。

 その先の光景は純情な彼にとってあまりにも刺激の強すぎる物だったわ。


「ぐぬぬぬぬ!」

「むむむむむ!」


「えっ!あっ、これは––––」


 そこで繰り広げられていたのは顔を真っ赤にしたリリアーゼとロゼが下着姿のまま、恋人握り––––ではなく手四つの体勢で組み合い争う姿だったわ。


「ロゼ!いい加減に諦めなさいな!」


「アーゼちゃんこそ、早く降参してください!」


 2人とも怪我をしたりはしていないようだから、対内魔法で自己強化をしたりはせず、素の力のみで絡み合––––組み合っているようね。

 体格は身長の高いリリアーゼが勝っているものの、普段から力仕事をする事が多いロゼの方が筋力自体はあるようで、奇跡的なバランスで均衡が取れていたわ。


 というか、あっという間にロゼに手籠にされるイメージしかなかったのに互角まで持ち込むとか、リリアーゼも結構頑張ってるわね。


 これも超貴族と自称しているこの子のプライドの為せる技なのかしら。

 超貴族って何よ?


「あなたは!わたくしに!◯されるべきなのですわぁっ!!」


「違います!アーゼちゃんが!あたしに!犯されるべきなんです!!」


「人が諸々の方面への配慮でわざわざ伏せ字にしているというのに、なんてはしたない女ですの!」


 お互いがお互いに怪我をさせないよう気遣っているにも関わらず、本気で相手を精圧––––じゃなくて制圧しようとしているリリアーゼとロゼ。

 ……こういう痴話喧嘩もあるのね、勉強になるわ。


「ふ、2人とも喧嘩は––––」


「兄さん」


 私は2人の間に割って入ろうとした兄さんの肩を掴んで止める。


「ここは私が見ておくから、兄さんは部屋に戻った方がいいわ。その……これ以上兄さんがここにいると、また変な性癖を拗らせゃうかもしれないし」


 異常なシチュエーションを目の当たりにしたせいか、兄さんの兄さんが元気になってしまっていたわ。

 ……流石に実の兄が欲情しているのを指摘するのは気まずい物があるわね。


「あ……違う!違うんだアクアル!!う、うわああああああっ!!」


 私に指摘された兄さんは涙目で顔を真っ赤にしながら股間を抑えると、逃げるように走り去っていったわ。


 実妹義妹百合キャットファイトとか新しい性癖を開拓したりしないといいのだけれど。



 この後の事だけど、2人とも長期間のダンジョンでの修行に加えて王都シュトーでの手続きで疲れていたのか、5分もしないうちに力尽きて、抱き合うようにして眠ってしまったわ。

 私は2人が風邪を引かないように、ベッドの真ん中に並べて羽毛布団を掛け直してあげた。



 ––––昨日で長いようで短かった春休みは終わり、私は今日の早朝にはバレスチカ領を出て王都シュトーに戻り、フォーチュン学園で第2学年最初の日を迎える事になる。


 バレスチカ家に残る2人、リリアーゼとロゼが明日からどんな心情で顔を付き合わせるのか、それだけ気になりつつも、私は自分の部屋に戻って春休み最後の睡眠を貪るのだった。





 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 これにて第一章は完結です、ご拝読くださりありがとうございました!

 なるべく早めに第二章(おそらく最終章)の学園編を始められるよう頑張りますので、作品のブックマークと出来れば評価もしてくださると幸いです。


 ここまで読んで頂きありがとうございました。

 もし宜しければブックマーク、評価、レビュー、ご感想、リアクション等をして頂けると作者のやる気が爆上がりしますので、少しでも面白い、続きが読みたいと思った方は宜しくお願い致します。

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