第28話 休む間もなく出張とか、それもはや社畜なのですわ
「あの子、私の身体が綺麗だったって––––」
「アクアル……」
レイライトの境遇を聞いて一筋の涙を流したアクアルお姉様の頭をお兄様がそっと撫でましたわ。
彼女の涙を見るのは半年前にわたくしが彼女の純潔をこの2本の指でぶち抜いて以来の事ですの。
お姉様のお気持ちはよく分かりますわ。
わたくしのような超絶美少女に百合乱暴(控えめな表現)されるならともかく、汚い汚っさん達に◯されまくるとかマジで洒落になりませんわよね。
どおりで原作の『ふぉーみら』でレイライトのそういったシーンがない訳ですわ。
むしろ描写したらそれはもはやエ◯あり乙女ゲーではなく、ただの美少女◯教◯辱エ◯ゲーですの。
「お父様。レイライトに危害を加えたのは枢機卿だけではないですのよね?他のカス共はどうしてますの?」
「調査の後、枢機卿の周辺と関わった者達は全て我が族滅した。またその後、もし神殿の関係者が再度聖女を害するような事があれば、我らバレスチカ家総出で神殿に属する者を一人残らず家族と従者に至るまで殲滅すると通達してある」
あぁ、そう言えばレイライトが失踪した後、神殿の上層部の者達とその家族が揃って暗殺されたというニュースを聞いた事がありましたわ。
あれはグラントお父様の仕業でしたのね。
……これじゃ、わたくしが◯るところが残ってないじゃねぇですの。
『ざまぁ』は実際にカス共を痛めつけてぶち◯すところまで描写しないとスッキリ出来ませんわよ?
「ともかくレイライトが生きていると分かった以上、アレは我が連れ戻す。貴様達も情報を得たら我に––––」
「待って、父さん。一つ確認しておきたい事があるの」
お父様が話を締め括ろうとしたところに涙を拭ったお姉様が割り込んできましたわ。
「さっき父さんが言っていた、『私と父さんの間にそれほど力の差はない』って言葉。あれはお世辞ではないのよね?」
「うむ、相違ない」
「なら父さんじゃレイライトには勝てないわ。あの子と1対1でやりあって勝てる可能性があるのはリリアーゼだけよ」
「なに……?」
お姉様からのご指摘に目を丸くするお父様。
実際、お姉様の言ってる事は間違ってはいませんわ。
原作ゲーム中のステータスは中ボスであるお父様よりラスボスであるレイライトの方が上ですし、そもそも戦闘難易度的には単体でボスをやってるお父様よりも、倍近い手数で攻めてくるお兄様&お姉様コンビの方が難しかったという声が多いですものね?
まぁ今はそんな事よりお姉様の話に耳を傾けて情報収集する時ですわ。
「あの子に会った時の事から話すわね」
そうしてお姉様が語ったのは失踪したレイライトが長期間にわたってわたくし達を監視し、羨んでいたという事。
聖女ならではの魔法を悪用し、感情を怒りの方向へと誘導する事でわたくしとお姉様を仲違いさせ争うよう仕向けた事。
そしてレイライト自身がお姉様が勝ち目がないと悟る程の実力者であり、状況からして第9階層のボスである【幻竜王シャーク・ドレイク】、第14階層のボスである【処刑者キルリス】(ちなみにお姉様達はキルリスを第10階層以降のボスとしか認識していませんわ)を単独で倒しているという推測、及びこの2体の魔物を嗾けてきたという事実でしたの。
話を聞いて正直、背筋がゾッとしましたわ。
これってつまり、原作ラスボスであるレイライトはいつでもわたくし達を◯せていたっつう事じゃねぇですの!?
いや、別にわたくしがレイライトとタイマンしたら負けるかもとか、そういう腑抜けた事を考えてる訳じゃあないんですのよ?
ただ、発動中は動けないとはいえ透明になれる魔法に加えて人の感情を怒りの方へと導く魔法を使え、その上おそらく魔物を操る事すらできる者が相手になるとか、警戒するにしても限度があるのですわ!
というか、レイライトの方が原作ゲーム中に魔王と表記されてるわたくしよりよっぽど魔王らしい事やってるじゃねぇですの!?
「お父様!レイライトの魔法を封じる方法とかありませんの!?このまま何も対策を打たなければ暗◯され放題ですわ!」
主にレイライトに逆恨みされてそうなわたくしが!
「王宮にはスパイ対策として、アレが使う透明化のような複雑な魔力操作を要する魔法を妨害する為に、微弱な魔力をランダムで流し続ける魔道具が設置されている。明日にでも宮廷魔導士に依頼して調整まで行い、バレスチカ家の屋敷内に複数設置する」
「その魔道具、学園に通うようになった時の為にもわたくしとロゼ、ついでにお姉様が個人で使える分も用意して下さりませんこと?費用に関しては今回のダンジョン探索で入手したドロップ品を売れば腐るほど用意できますわ」
「うむ。宮廷魔導士に貴様ら個人の分も依頼しておこう」
「一応私の事も気遣ってくれるのね」
ふぅ……とりあえず一安心ですわね。
まったく、あぶねーったらないですわ。
超絶無敵パーフェクト令嬢であるこのわたくしが暗◯されて終わりになるシナリオとか、原作ゲームでやったら大炎上物ですわよ?
「そうと決まれば茶など飲んでる暇はあるまい。リリアーゼ、ロゼ、すぐに出るぞ」
「はぁ?出るってどこにですの?」
「王都シュトーだ」
???
何を言ってますの?
このキ〇おや––––お父様は?
「お父様?わたくしもロゼも一週間のダンジョン探索でくっそ疲れてるのですけれど?」
バレスチカ子爵領から王都シュトーまでは馬車を全力で飛ばして片道5時間。
今の時刻が朝10時なので向こうでの用事をすませるのにかかる時間を3時間として、かかる時間は往復分を加えて13時間。
既にクタクタだというのに、戻ってきたらもう深夜とか洒落にならねーのですわ?
「我とマリアはこのままシュトーに戻る。ロゼは当家の養女として役所に顔合わせをする必要があり、リリアーゼ、貴様にはおそらく『最果ての回廊』で前人未踏の第10階層以降のボスを倒した功績に対しての褒章が出る。用事を済ませている間にレイライト対策の魔道具も調整が終わっているだろう。貴様達はそれを受け取ってそのまま馬車で帰るがいい」
くっ……このキ〇お父様、めちゃくちゃ言ってるように見えてその内容自体は割と理に叶ってるのがやりずらいですわね!
でも、わたくしとてそんな事は些事なレベルで疲れているのですわ!
「顔合わせも褒章の受け取りも別に今日やらなくてもいいのではなくて?というか魔道具は馬車の業者に渡して持ち帰らせればいいと思うのですわ」
ふっ、見事なカウンターで返してやりましたわ。
調子に乗ってるからこうして痛い目に遭うのですわ。
「貴様は己とロゼの命綱たる魔道具の輸送を武力を持たない業者に丸投げするのか?貴様にとってロゼを当家の養女にする事は後回しにしても構わない程に優先順位が低いのか?」
「なっ!?」
「つまり貴様のロゼへの想いはその程度という事だ。わざわざソレを養女にしろというから何事かと思えば、ただの気まぐれだったという訳か」
ふ……ふっ……!
「ふざけてんじゃないですわよ!お父様!!誰もそんな事言ってないでしょうがおらあああああああっ!!ですわ!!!」
なに露骨にロゼからわたくしへの好感度を下げようとしてるんですのこのキ◯親––––お父様は!?
そっちがその気ならたとえ実の親だとしても容赦はしませんわよ!
「フン、その言葉に嘘偽りがないと言うのなら貴様も王都まで付いて来るがいい」
ぐっ……こんなの断りようがないじゃねぇですの!
「上等ですわ!わたくしのロゼへの愛の重さを舐めるんじゃねぇですわよ!」
「アーゼちゃん……!ありがとうございます」
こうしてまんまと挑発に乗せられたわたくしは帰って休む間もなく、ロゼと共に王都シュトーまで直行する事になったのですわ。
––––なんか勢いに任せていらない事を口走ってしまったような気もしますけれど、気のせいですわよね?
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リリアーゼは無防備な時(防護魔法がかかってるドレスを着てない等)に暗殺されると普通にお陀仏になります。
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