第25話 淑女にだっておぎゃりたい時ぐらいありますの
△△(side:リリアーゼ)
セーフティエリアに突如現れた【幻竜王シャーク・ドレイク】と【処刑者キルリス】をぶち〇して帰還。
そこで起きた異常事態をダンジョンの受付がある巨大テント内で説明(もちろん面倒なのでアクアルお姉様にやらせましたわ)し終えて、馬車にのり揺られる事3時間。
ようやくバレスチカ子爵家まで戻ってこれましたわ!
ダンジョン内ではお姉様の【清浄】があるから不快感はなかったとはいえ、やっとお風呂に入れますの!
食事も十分美味だったとはいえ、毎回シチューのバリエーションでは飽きがくる事ですし、やはり慣れ親しんだ我が家こそ覇権なのですわ!
行きと同じように馬車から先に降りたロゼの手を取ってエスコートしてもらったその時––––
屋敷の方から爆発音が聞こえたかと思うと凄まじい勢いで土煙を上げながらこちらに向かって爆走してくる者がおりましたの。
「アクアルゥ〜〜ッ!!!」
予想通り、その者は赤いタキシードを着た黒髪黒目のシスコン……ではなくグレンお兄様でしたわ。
こちらまで走ってきたお兄様は涙をぽろぽろと流しながら、馬車から降りたお姉様の手を取りましたの。
必死すぎてキモ……いえ、お姉様に抱きついてお胸に顔面ダイブをかましたりしないだけまだ分別がある方なのかもしれませんわね。
わたくしがお兄様の立場だったらロゼの全身をくまなく撫で回してるところですわ。
「よかった!僕は君が無事に戻ってきてくれるか心配で心配で……夜しか眠れなかったよ!」
夜眠れりゃそれで充分だろーがですわよ。
「もう、大げさなんだから兄さんは。ちょっと……それなりのトラブルはあったけど私達はそう簡単にくたばる程ヤワじゃないわ」
そう言うお姉様は呆れたセリフとは裏腹に、頬を赤らめていて満更でもなさそうでしたわ。
傍から見るには割と脈もありそうな気もしますけれど、お兄様はイエスシスターノータッチが信条ですし、そもそも婚約者(お姉様の親友)がいるからR18な事にはならなさそうですわね。
「ロゼもお疲れ様だったね。こうして立ち姿を見ただけでここを出る前より数段成長したのが感じ取れるよ。疲れてるだろうし、今日はゆっくり休みなさい」
「ありがとうございます、グレン様。アーゼちゃんとアクアル様のお力のおかげで何とか頑張れました!」
続いてお兄様はロゼに声掛けしましたわ。
こういった気遣いができる心配りがあるからこそ、お兄様はただのしょうもないシスコンではなく、次期当主として相応しいとお父様が判断されたのかもしれませんわね。
……と一瞬思ったものの、ロゼも当家の義妹になったのでしたわ。
やっぱりお兄様はただのしょうもないシスコンですの。
「リリアーゼはいつも通りだね。よかったよかった」
「おいィ?お姉様やロゼと比べてわたくしの扱いが雑すぎるんじゃありませんこと?」
このわたくしにくっそ適当な態度をとったお兄様の襟元を引っ掴んで上に持ち上げてやりましたわ。
「いやだって君はいつも問題に巻き込まれる方じゃなくて起こす方……あ、ギブギブ!暴力反対!!」
ちっ、このまま往復ビンタでもしてやろうかと思いましたけれど、お兄様の後ろからもう一人別の人物がやってきたからこのぐらいで勘弁して地面に下ろしてやりますの。
「久しぶりねぇ。リリちゃん、アルちゃん、それにロゼちゃん。元気そうでお母さん安心したわぁ」
お兄様に遅れてパタパタとゆっくり走ってやってきたのはウェーブヘアの茶髪に同色の瞳、黄色をベースにしたドレスに身を包んだ大きなお胸の妙齢の美女。
マリア・バレスチカ。
ふわふわした雰囲気のこの女性は元は名のある伯爵家のご令嬢で、今はバレスチカ子爵夫人。
つまりわたくし達の実のお母様なのですわ。
普段は王都シュトーにある王国騎士団、そこの団長を勤めているお父様と一緒にいらっしゃるのでこうしてお会いできるのは久しぶりですの。
「お母様!お兄様がこのわたくしにくっそ舐めた事を言っていじめてきやがりますの!」
「あらあら、かわいそうなリリちゃん。もう大丈夫ですからねぇ」
「えぇ……?」
その大きなお胸に飛び込んだわたくしをマリアお母様は優しく受け止めてくださいましたわ。
はぁ〜〜癒されますの。
お兄様がなんか物凄い不服そうにしてますけれど、当然無視ですわ。
「リリアーゼは甘えんぼさんねぇ?」
お姉様が後ろから茶々を入れてきやがりましたけれど、これも無視しましたわ。
話は変わりますけれどわたくし、女性のお胸の価値はどれだけ大きいかどうか、とかではなく、誰についてるかが一番重要だと思ってますの。
ですからお姉様の無駄に大きいお胸より、ロゼの控えめなお胸の方がわたくし好みであると胸を張って断言できますわ。
できます、けれど……。
完全無欠の完璧令嬢であるわたくしとて、母性ある大きいお胸に飛び込んでおぎゃりたくなる事だってあるのですわ!
だって、わたくしはまだまだ未成年の子供ですもの!
大きいお胸に包まれて、思う存分癒されたいと思うのは自然な摂理なのですわ!
極論、この欲はお姉様に頼めば発散させてくれそうな気もしますけれど、姉なのにわたくしに対してはメスガキ気質のあるお姉様の事ですから『よちよち〜リリアーゼちゃんはお姉様のおっぱいが大好きなんでちゅね〜』とか言って煽ってくるのが目に見えてますの。
その点、わたくしの事を揶揄ったりせず好きなだけ甘えさせてくれるお母様は神なのですわ。
やはり母は強しですの。
「ところで兄さん。ここに母さんがいるって事は当然父さんも屋敷に居るのよね?」
わたくしがお母様のお胸に頬擦りして思う存分堪能してる最中、深刻そうな表情でグラントお父様について訊ねるお姉様。
前世の記憶が戻ってから一度も会ってない事もあってか、すっかり頭から抜け落ちてましたわ。
「父上なら君達の帰還日に合わせて一日前に戻ってきてるよ。たぶんあの人も成長した君達の姿を一目見たかったんじゃないかな」
やっぱりお父様もいますのね。
わたくしは別に彼の事を嫌ってる訳ではないのですけれど、ちょっと頭が……というか倫理観がアレな人なのでそう積極的に関わりたい人物ではありませんの。
お前が言うな、ですって?
うるせーですわ。
「ちょっと父さんに……というかここにいる全員に話したい事があるの。帰ってきて早々慌ただしくて申し訳ないけど、付き合ってもらえるかしら?」
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サブキャラクター、マリア・バレスチカのイメージ(AI絵)です。
活動報告にちょっとした設定が載せてます。
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