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クレイジーレズと呼ばれた少女、自分が戦闘あり乙女ゲーの大ボス悪役令嬢だと気付いたので開き直って今世で推しのサブキャラメイドを愛でる  作者: エスツー
第一章 覚醒編

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第23話 ファーストキスを台無しにされた代償、払って頂きますわ! 

 △△(side:リリアーゼ)


 んん……くっさ。

 なんなんですの、この酷い臭いは。


 血を流しすぎたせいか、意識が朦朧としていたわたくしは先程から鼻先を掠め続ける腐った生ゴミみたいな臭いに辟易していましたわ。

 それにさっきから唇に生温い水らしき物が触れてきやがりますし、とんでもなく不快ですの。


 この不快さから逃れる為に目を開けたいのに瞼が上がらない、そんなもどかしい状況が続く最中、不意に唇に柔らかくて温かい感触が伝わってきましたわ。

 不思議な触感を持つそれはわたくしの口内へと侵入し、何かを渡そうとしているように感じられましたの。


 わたくしはその正体を確かめるべく、重い瞼を開いて––––。



 ……ロゼ?



 目覚めたらロゼ色の瞳と髪の少女、わたくしの最愛のメイドであり義妹でもあるロゼと唇を合わせている事に気付きましたの。


 あぁ、これは夢ですわね。

 だってあまりにもわたくしに都合が良すぎますもの。


 ロゼの可愛らしい顔がどこか苦痛に歪んでいるように見えるのはおそらく、この夢がわたくしが彼女に百合乱暴(控えめな表現)しているシチュエーションなのだからでしょう。


 だいぶ溜まってますわね。

 でもどうせ夢なのだから楽しまなければ損ですわ。


 わたくしは夢の中の彼女の口内を蹂躙しようとして––––



 流れ込んできた液体のあまりのまずさ、苦さ、そしてヘドロみたいな臭いに盛大に咳き込みましたわ。



「ぶええええぇっ!?くっさ!!?まっず!!??なんなんですの、これは!!!」


「アーゼちゃん!良かった……」


 意識を取り戻したわたくしに抱きついてきたロゼをなるべく乱暴にならないよう優しく押し戻しましたわ。


 いえ、普段なら喜んで受け入れるし、ついでにどさくさに紛れて太腿やらお尻やらを撫でてるところですけれど、ロゼからさきほどわたくしが感じたヘドロのような臭いがするので流石にそんな気分にはなれませんの。


 むしろ突き飛ばして罵倒しなかっただけ偉いと褒めて欲しいぐらいですわ。



 ……あら?

 ちょっと時間を置いた事でぼんやりした頭が回ってきて、そのせいでわたくしは気付きたくなかった事に気付いてしまいましたわ。



 ……もしかして今のでわたくしのファーストキス、しかも待ちに待ったロゼとの交わりは終わりなんですの?



「……ロゼ、状況を説明なさい」


 ふううううぅうう。

 落ち着くのですわ、リリアーゼ。


 ここでロゼ相手にキレ散らかしたところで、ただでさえ0に等しい好感度がマイナスまで振り切れるだけですの。


「は、はい!えっと、アーゼちゃんが幻竜王を倒した直後に新しい魔物が現れてアーゼちゃんを背後から刃物で刺したんです。今その魔物はアクアル様が受け持ってくれてて、あたしはハイポーションと気付け薬でアーゼちゃんの治療をさせて頂いてました!」


 なるほど。

 IQ180の名探偵も真っ青になる程の超頭脳を持つわたくしは状況を爆速で理解しましたわ。


 つまりわたくしのファーストキスを気付け薬(ヘドロ)味にしてくださりやがったのはその魔物とやらのせいですのね。



 激しい剣戟の音がする方に目をやれば、そこにはロゼの言う通り、アクアルお姉様と真鍮でできた瞳を持つ全身が紫色の刃で覆われた不気味な姿の魔物が争っていましたわ。


 あれは……【処刑者(しょけいしゃ)キルリス】。

 原作ではリリアーゼとの戦闘前に前哨戦で闘う、本来なら第14階層にいる小ボスですわね。


 キルリスは確かわたくし達バレスチカ家の者のような闇属性と他属性の複合ではなく、純粋な闇属性のみの珍しい存在であり、高い攻撃力と敏率性に加えて回避力をも併せ持つ、言ってしまえば強化版ロゼのような性能の魔物だった筈ですわ。


 というか本編クリア後に挑戦できる戦闘コンテンツである【アビススパイラル】、そこで出てくる【四天王(補欠)ロゼ・バレスチカ】がまんまキルリスのステータスを底上げただけの手抜き仕様で出てきた事を考えると、キルリスは『もし最終決戦にロゼが参加していたら』のIFを再現した敵と言っても過言ではありませんの。


 ……似てるのは性能だけとはいえ、仮にもロゼを模した存在がわたくしをぶち◯そうとしたと考えればなおさらムカっ腹が立ちますわね。


 幻竜王シャーク・ドレイクに続き、何でアレがこのセーフティエリアに現れたかも分かりませんけれど、わたくしのファーストキスを台無しにしてくださりやがったお礼はキッチリしてやりますわ。



 このわたくし。

 ––––魔王リリアーゼ・バレスチカの名にかけて。



 △△(side:アクアル)



「……っ!?【水癒(アクアヒール)】!」


 突如現れた魔物が放った無数の暗器によって守護魔法がかけられたドレスごと太腿が切り裂かれ、激しい痛みが襲う。

 私は悲鳴をあげたいのを堪えて即座に治癒魔法を唱えて傷を癒したわ。


 リリアーゼが背後から刺し貫かれ、私がこの魔物と戦闘を開始してからおよそ3分程の時間が経過しようとしていた。

 戦況は……残念な事に絶賛超不利な状況ね。


激流加速(アクアブースト)】で体術の速度を上昇させて、傷を負ったら【水癒(アクアヒール)】で治す。

 この戦術で何とか戦いにはなっているけれど。


「……攻撃が当たらない」


 斬り合いにはなってるものの、まだ私の薙刀による技は一度もこの魔物の身体を捉える事が出来てない。

 距離を取って遠距離戦に持ち込みたいところだけど、ずっとしつこく張り付いてくるせいでそれも叶わない。


 このままじゃ––––



「死にたくないわね」



 魔法の度重なる連続使用による疲労と負わされた切り傷からの出血によって、足下がおぼつかなくなってきたわね。

 でも、だからといって諦めるつもりはない。


 今回の遠征で私は自分が掴み取るべき道を見つけたの。


 その最もたる物がリリアーゼとロゼ。

 彼女達は互いがとんでもない執着心で結ばれて、そして想いあっている。



 私だって、私だって!



「あんな素敵な恋がした––––

「令嬢キィーック!!!」


 ボゴン!!!



「……え?」



 突如間抜けな技名が聞こえたかと思えば、私と対峙していた魔物は乱入してきた人物の飛び蹴りによって刃物で出来た顔面を大きくヘコませながら吹き飛び、壁に深くめり込んだわ。


 隣に目をやればそこには先程背後から刺され、戦闘不能になっていた筈のリリアーゼがいて、彼女は憤怒の形相で壁にめり込んだ魔物を睨みつけていた。



 身体から膨大な黒の魔力を放出し続ける上半身下着姿の少女は表情を激しい怒りに染めているにも関わらず、その横顔は凛として美しく、どこか品性を感じる物で––––



 そして刺激臭が酷いからもう少し離れて欲しかった。





 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 刺激臭がする主人公とヒロイン。


 ここまで読んで頂きありがとうございました。

 もし宜しければブックマーク、評価、レビュー、ご感想、リアクション等をして頂けると作者のやる気が爆上がりしますので、少しでも面白い、続きが読みたいと思った方は宜しくお願い致します。

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