第14話 ご機嫌な夕食なのですわ
「はい、アーゼちゃん」
「いただきますわ」
ロゼがよそってくれたホワイトシチューの入った木の器を受け取りますの。
机の上にある火で軽く炙って温めた香ばしい匂いのするやっすい黒パン、そしてやっすい原価のコーヒーも相まってご機嫌な夕食ですわ。
夕食の準備はつつなく終わりましたわ。
野営では基本的に具材を煮込むだけでできるシチューが定番ですの。
味付けを変えれば早々飽きもこない事ですし、収納鞄に入れておけば野菜やお肉も日持ちがするのでもってこいという訳ですわね。
ちなみに料理の担当はそれぞれわたくしが野菜の皮剥き、アクアルお姉様がその野菜を切って、ロゼが煮込みと味付け。
本当はわたくしとお姉様の作業は逆だったのですけれど、力の有り余ったわたくしが気合いを入れて野菜を微塵切りにしていたらお姉様が『それじゃあシチューの具じゃなくて汁じゃない!』とか抜かしやがったせいで担当を交代させられたのですわ。
まったく、お姉様のくせに生意気ですわね!
ま、過ぎた事はもういいとして早速味見ですわ。
木製のスプーンでシチューを掬い、口まで運ぶ。
するとあっという間に濃厚なクリームの味わいに味覚を支配されてしまいましたわ。
よく煮込まれたお肉(豚肉)は口の中で程よくとろけ、野菜も食べやすい柔らかさで良きですの。
「んっ……悪くないですわね」
「いい味付けね。私とリリアーゼじゃこうはいかないわ」
「ありがとうございます。アクアル様とアーゼちゃんが手伝ってくださったおかげですよ」
むぅ……お姉様が素直にロゼを褒めたせいでわたくしが一人憎まれ口を叩いたみたいになってしまいましたわ。
ロゼが専属メイドだった時はとにかく圧をかけて辱め、依存させて支配しようとしていたわたくしですけれど、こうして彼女がバレスチカ家の養女になった以上、接し方を変えていく必要があるかもしれませんわね。
◇
食事を終え、片付けをしたわたくしはそのままテントの外で持ち込んだ本を読んで暇を潰しつつ、見張りをしていましたわ。
セーフティエリアに魔物は現れない。
なら何に対しての見張りなのかと言えば、それは当然同業の冒険者達に対してなのですわ。
冒険者達が固まるこの場所では必然的にトラブル……盗みや殺人、性的暴行などの事件が起きやすいというのが通説ですの。
まぁ今回ここにいるのはその辺りをちゃんとわきまえた冒険者のようで、今のところはそう言ったトラブルが起こる気配がないのは幸いですわね。
もっとも起こったら起こったで遠慮なくぶち◯すだけなのでわたくしとしては一向に構わないのですけれど。
さて、時計を見るとちょうど4時間が経過したようですし、そろそろお姉様と交代してもらう事にしますの。
わたくしとお姉様で4時間ずつ交代で取る睡眠。
脳を休めるには些か少ない時間ですけれど、明日からはレベルが上がったロゼも見張りに参加させる手筈となってますし、探索中も適度に休憩は入れるから問題ありませんわ。
◇
テント内ではよほど疲れていたのかロゼとお姉様が仰向けになってグッスリでしたわ。
ちなみにダンジョン内では不測の事態に備えて服を着たまま寝るのが一般的な事もあって、二人はそれぞれミニスカメイド服と蒼を基調としたドレスのままですの。
お姉様が汗や汚れを落とす水属性魔法、【清浄】を使える事もあって、衛生面での心配がないのはいいですわね。
ああ、そうですわ。
そもそもなんでダンジョン内にいるのにメイド服やドレスを着ているのかという疑問もお有りでしょうけれど、これらの服には防護魔法がかけられているのでちゃんと身を守る手段として機能していますのよ?
前世の知識で例えるなら何故かソシャゲの水着キャラが強いみたいな物だと思ってくれればいいですわ。
「お姉様、交代の時間ですわよ。早く起きてわたくしにその場所を譲りなさい」
「んう……もう時間なの?仕方ないわね」
お姉様の身体を揺さぶって覚醒を促しますの。
彼女には今日色々としてやられた事もあり、ちょっと腹が立ったからその無駄にデカい乳房でも揉みしだいてやろうかと思いましたけれど、後でロゼにある事ない事を吹き込まれそうな気がしましたから我慢しましたわ。
半年程前、ロゼに見せつけるようにして彼女の純潔を奪っておきながら今更何をという話ではありますけれども、これ以上ロゼの好感度を下げ続けるとわたくしがロゼに切り捨てられるような気がして来ましたの。
現在、ロゼはバレスチカ家の養女。
これはつまりわたくしだけでなく、グレンお兄様、アクアルお姉様、あと家にはいないけれどグラントお父様、この十分な武力を持ち合わせた3人の庇護下にいるとも言えますわ。
付き合いの長さを考慮しなければ、ロゼが嫌っているわたくしと、別に嫌ってる訳ではないあの3人ならば、後者に守ってもらいたいと考えるのは当然の事ですもの。
……ロゼが死亡する運命を変える為に行動しているというのに、彼女が他人の庇護下に入るのを面白く感じないのはダブスタ味があってちょっと気持ち悪いですわね。
ま、細けぇことはいいのですわ。
邪魔なお姉様は既にテントの外に出た事ですし、ここにはスヤスヤと穏やかな寝息を立てているロゼがいますの。
しゃがみ込んで彼女の頬に手を触れると、もちっとした触り心地のいい感触が伝わってきましたわ。
うふふ、やはり欲は定期的に発散するに限りますの。
ロゼ、あなたが呑気に寝ている間に使わせてもらいますわね?
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早速致そうとしてるリリアーゼですが、普通にすぐ傍にお姉様います(止めるとは言ってない)。
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