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クレイジーレズと呼ばれた少女、自分が戦闘あり乙女ゲーの大ボス悪役令嬢だと気付いたので開き直って今世で推しのサブキャラメイドを愛でる  作者: エスツー
第一章 覚醒編

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第10話 ならず者への対処なんてどこの世界でも一緒ですわ!

「ん〜!ようやく着きましたわね」


 掌を重ね、上に向けて押し上げるようにしてグッと背筋を伸ばしますの。


 バレスチカ領から馬車を出し、揺れに揺られて三時間。

 現在わたくしはロゼ、そしてアクアルお姉様と一緒に高難易度ダンジョン『最果ての回廊』、原作の乙女ゲームでは大ボス悪役令嬢であるリリアーゼとの最終決戦の舞台でもある場所に来ましたわ。


 ダンジョンに挑戦する目的としては第1にロゼの強化。

 少なくとも単独で攻略対象達を軽く蹴散らせるぐらいにはなってもらわねばわたくしとしては安心できませんもの。


 第2にわたくし自身の強化。

 シャルロットや攻略対象達とは一応友好的な関係を結びたいとは思ってるものの、結局は圧倒的な暴力に優るものなしですわ。


 どの道、ラスボスとは敵対する事になるでしょうし、一方的に蹂躙できる程度にはレベルを上げておきたいですわね。


 あとは……資金調達かしら。

 自分で自由に使える金があった方が融通が効きますもの。


「アーゼちゃん、手をお貸しします」


 先に馬車を降りたロゼがわたくしに手を差し出し、エスコートしてくれましたわ。

 取った手からしっとりとした柔らかい感触が伝わってきますの。


 よくできたメイド……じゃなくて妹ですわね。

 姉として鼻が高いですわ。


「アクアル様、手をお貸しします」


「ありがとう、ロゼ。()()の新しい妹はよく気が効く子みたいね」


 ロゼは続いてお姉様に手を差し伸べると、お姉様は礼を言いながらわたくしの方を見てニヤリと笑い、ロゼにエスコートされましたわ。

 なんかちょっとムカつきますわね。


 わたくしの専属メイドだったのが、わたくしとお姉様お兄様の妹という共有財産みたいな扱いになるのはいただけませんわ。

 ロゼが自主的にやる分には止めはしなくとも、お姉様が彼女に対して要求してくる場合は全力でイチャモンを付けてやりませんと。



 ……さて、これから挑む『最果ての回廊』ですけれど、その全容は巨大な岩山その物で、ぽっかりと開いた大きなトンネルがその入り口となっており、所謂冒険者達は岩山の内部に入り、中にある階段を使って上へ上へと上がっていく事になりますの。


 入り口の近くにはダンジョンの管理を任されている兵士が控えており、近くには100人以上の人間が入れる程巨大な黄色のテントが立っていて、冒険者達はそこでダンジョンに挑戦する為の受付をする事になっていますわ。

 原作ゲームではなかった、というより省略されている要素ですわね。


 ちなみに受付の場所が建物ではなくテントなのは魔物達の暴走(スタンピート)時にすぐ逃げられるよう配慮しての事だそうですわよ?

 単にケチってるだけな気もしますけれどね。


 ◇


「3名様ですね。冒険者カードの提示をお願いします」


 受付でわたくし達はそれぞれ自分の持っている冒険者カードを掲示しましたわ。

 ダンジョンに入るには冒険者としての身分が必要であり、高難易度ダンジョンである『最果ての回廊』に挑む為には最低でもBランク以上の引率が必要になりますの。


 ちなみにわたくしの冒険者カードは白金製でSランク、アクアルお姉様は金製でAランク、ロゼは鉄製でDランクですわ。


 冒険者稼業のみの収入で生計を立てられるとされているのがCランクである事を鑑みればわたくしのSランクという称号がどれほど偉大であるか分かるしょう。

 なお、魔王の末裔とされているバレスチカ家の中でも冒険者ランクがSに至った者はわたくしとグラントお父様、そして既に亡くなられたご先祖が数名のみ。


 要はわたくしTUEEEEEE!って事ですわ!



 受付を終えて3人分の入場料、6万ゼニン(日本円換算だとたぶん6万円ぐらいのボッタクリ価格)を支払い、ダンジョンの入り口へと向かう最中、わたくし達に近づいてくる者達がいましたわ。

 人数は2名で風貌は筋骨隆々の大男、髪型はどちらもご立派なモヒカンでトゲトゲの肩パット装備といういかにもヒャッハー!とか言い出しそうなコワモテ系の顔ですの。


 これは……アレですわね。

 前世で言う投稿系小説サイトでよくある定番中の定番な展開、新人冒険者をカモにしようとする冒険者崩れのならず者共に絡まれるシーンですわ!


 まぁロゼはともかくわたくしとお姉様は高ランク冒険者なので普通ならそういうやからが寄ってくる筈もないのですけれど、このダンジョンには頻繁に来てる訳でもありませんものね。

 無知なならず者共からすれば、わたくしを筆頭に初心な美少女冒険者が一度に3人も来たと勘違いして舌舐めずりでもしてるのでしょう。


 で、案の定わたくし達の前に来たモヒカンの一人がそのくっさそうなデカい口を開きやがりましたわ。


「ねねねねね!お嬢さん達かわいいねぇ!!良かったら俺達と一緒にお茶しなーい?俺らぼちぼち金持ってるし、おごっからさ!俺おごっからさ!!」


 いや、軽っ!?

 ちょっと、コワモテで下品な顔面をしてるくせに言動がチャラすぎるのではなくて!?


 大体このあたりでお茶する場所なんてあそこの受付をしたテント内の飲食スペースしかありませんことよ?

 むっさい冒険者達の溜まり場の中でやっすい茶をしばくとか、貴族のレディを相手にどんな感性してるんですの?


 わたくしがため息を付きながらモヒカン共の股間を蹴り抜いて潰してやろうと考えたその時、先んじて前に出た者がいましたの。


「……ロゼ?」





―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 『最果ての回廊』の管理(もとい入場料の搾取)は王都が行っていますが、スタンピードが起きた際はダンジョンから近い位置にあるバレスチカ家が対応する手はずになっています。

 ここまで読んで頂きありがとうございました。

 もし宜しければブックマーク、評価、レビュー、ご感想、リアクション等をして頂けると作者のやる気が爆上がりしますので、少しでも面白い、続きが読みたいと思った方は宜しくお願い致します。

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