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第3話 ギフト

「えっ? 僕がやりたいことを全てできるって。どういうことですか?」


「実はな、お前さんは死ぬ直前に莫大な徳を詰んだのじゃ」


「徳ですか?」


「ああ。徳とは、お前さんがいた国では善因とも言われるものだ。まぁわかりやすく言うと、世界や周りの人間にいい影響を与えたらたまるポイントのようなものだ」


「なるほど」


「お前さんがあの時助けた小学生は、お前の死に影響を受けて将来医者になる。そして、世界中の人間を救う大きな発見をいくつもするのだ」


「まじすか?」


「ああ、あの子は元々、あの場で死んでしまう予定だった。しかし、お前さんの行動が未来を変えた。それにより世界にとって素晴らしい影響を与えることになったのだ」


「なるほど、だから徳をたくさん貰えたのですね」


「そうだ。そこでじゃ、とんでもない量の徳を得たお前にいい話がある。実はな……」


 神様はわかりやすく俺の今後について話してくれた。


 聞いた話をまとめると、俺は今までの記憶や二十歳のこの体のまま、異世界に転生することができるらしい。しかも、とんでもなく素晴らしいギフトと呼ばれる特典までもらうことができるらしい。


 いま、目の前に座っている神様は空中に浮かんだ紙に指で何か文字を書いていた。俺はワクワクした気持ちで神様を待っている。


「よし終わったぞ。これがお前が選ぶことができるギフトと契約書だ。どれも素晴らしい特典だぞ! さあ選べ!」


 神様が渡してきた紙にはこう書かれていた。



①『SS級魔物であるフェンリルとフェニックスを使役することができる』


②『世界最高の剣術の才能を得られる』


③『異世界の貨幣である1000億リルを得ることができる。(リルは日本円と価値はほぼ同じ)』


④『絶世の美女三人に愛され、最高のハーレムを築くことができる』


⑤『チート魔眼能力が得られる』



「すごいですね!! 5種類も特典があるんですね! うーん。どれにしようかな!」


 思っていた以上にすごい特典で俺は悩んでしまう。


(世界最高の剣の才能と、フェンリルとフェニックスの使役はめちゃくちゃ魅力的だな。どちらもめちゃくちゃ楽しそうだ。フェンリルってあれだよな。白いフワフワの体毛に覆われた巨大な狼みたいなやつだよな。モフモフあこがれるなぁ。フェニックスはもしかしたら背中に乗って空を飛べるかもしれないし。うーん本当に魅力的だ)


(うーん。1000億リルの選択肢はないかな。1000億リルが日本円と同じ価値なのであればものすごい価値があるのはわかるが。他の能力はお金には代えられないからな。うん。この選択肢は無いな)


 俺は3番の選択肢にペンで×を描いた。


 お金の必要性は前の人生で痛い程身に染みていたが、しかし俺は金が全てではないと思っている。幸せをつかむための要因の一つにはなりえるが、幸せの最終目標にはならない気がした。


(となるとやっぱり、モフモフ……。いや待てよ……)


 男であるが故にどうしてもハーレムが目に入ってしまう。見るな見るなと自分に言いかけてもどうしてもそこに眼が言ってしまう。


(絶世の美女三人かぁーー。やっぱりこれかな。仕方ないよな。うん。男だからな……)


 何かに操られているかのように手が不思議とハーレムに導かれていく。


「いやいやいや。あっぶね! 本当にいいのかそれで!!」


 ペンが3番の側に付き、いざ〇を書こうとしたタイミングで何とか手を止めた。


(くそっ! 最高の美女のハーレムは男だったら喉から手が出るほど欲しい。でも、そうじゃないだろ! 最高の女性は自分の力でみつけなきゃだめだろ! 神様に頼って、最高の美女に好かれて、本当に俺はそれでいいのか? ……うん、だめだ! この選択肢は無しだ!)

 悩みに悩んだ挙句俺は泣く泣く、4番に×を付けた。


「モフモフか世界最高の剣の才能か……。んっ? 待てよ。この一番下のやつ……」


 俺は1番下の文章に目を移す。


「チート魔眼スキルを得られる。これってどんな能力なんですか……」


 俺はここにきてようやく、一番下のギフトが気になり始めた。


「おっ? 一番下の奴か。詳しくは言えないが、それはかなりおすすめだぞ。少なくとも選んで後悔するものではない」


「そうなんですか。どうしよう……」


(この能力だけ、内容が不透明だよな。チート魔眼って言ったって、それだけじゃ正直言ってどんな能力か全く想像がつかないし……。でも神様がおすすめって言うぐらいだからな)


 俺はだんだんとチート魔眼のギフトに惹かれ始めてきていた。俺はふと気になったことを尋ねる。


「これだけ教えてください。この能力を使っている時、眼は光るんですか?」


「ああ、光る」


「これにします!!」


 目が光るとなったら流石にカッコ良すぎる。ビジュアル的にも最高だろう。どんな能力かは分からないが、これ以上に厨二心をくすぐるものは他に無かった。


「よし! 決まりだな! お前さんはこれにすると思っていたよ! 安心していい。このギフトで使える能力は一つや二つではない。きっと満足することじゃろう!」


(まじかよ。使える能力が一つだけじゃないのか。もうこれが絶対正解だろ!! そもそも、一つだけチートって書いてあるしな!)


「ありがとうございます!! 神様! こんなによくしてもらっちゃって……」


「なぁに、これはお前さんの人徳じゃよ。あの小学生を助けたことによるな」


(ありがとう!! あの時の小学生! まじで!!)


「ふふ。ずいぶん嬉しそうじゃのう! そんなお前さんに朗報じゃ! 実はギフトとは別にもう一つ、お前さんにはいい特典を用意してあるぞ!」


「えっ? まだあるんですか?」


「ああ。さっきのギフトは少女を助けた分だ。もう一つは、お前さんが母親の介護を頑張った分だ。異世界に行ったらステータスを確認してみろ。わしからのプレゼントが見れるはずだ」


「ありがとうございます!! 神様! 何から何まで」


「良いってことよ」


「あの、最後に一つ質問してもいいですか? 異世界に行くにあたってなにかミッションみたいなものってあるんですか? 魔王を倒す、みたいな」


「そんなものはないぞ。さっきも説明したがこれは特典だ。得た力を使って異世界を思い切り楽しめばいい! 前の人生で苦労した分も思い切りな!」


「わかりました。ありがとうございます! 神様! 全力で楽しんできます!」


 俺はその後、少しだけ今から行く異世界についてアドバイスを受けた。


 話が終わると、俺の身体の周りが光り始めた。どうやら異世界への転送が始まったらしい。俺は大きな期待を胸に瞳を閉じた。



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