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不幸な観測者Sheet2:シュレディンガーの猫

「神は妥協しない…か」

育美が誰に言うとなく呟いた。

「アインシュタインは『神はサイコロをふらない』って言ったけどね」

薔薇筆が言う。

「それどういう意味だっけ?」

うろ覚えのアキラが聞くのはエルも知りたいだろうと察しての事だ。

「彼は量子力学の不確定性に納得出来てなかったんです。有名な思考実験に『シュレディンガーの猫』というのがあるんですが、量子力学では放射線を検知して毒ガスが出る箱の中にいる猫が死んでいるか生きているかは、観測者が箱を開けた時に決まるというものです。"分かる"ではなく"決まる"です。それまでは死んでいると生きているの状態が同時に存在してるという…」


「その猫の話たまに耳にするけど、どう考えても納得いかねぇんだよな」

黙って聞いていた川口が口を挟む。

「箱を開ける奴がいてもいなくても猫はその前に生きてるか死んでるかどっちかだろ?なぁ石森」

川口は連れてきたゲストの石森に同意を求めた。

石森からは意外な返答が返ってきた。

「ちょっと皆さんに聞いて欲しい事があるんですが…」


「皆さんのチーム、IT関連の困りごとを解決すると川口から聞いてます。これから話すことはあくまで仮定の話、そうですね私の思考実験と思って聞いてください」

「ずいぶん勿体ぶった語り出しだな、まさか…あ、いや、ちゃんと聞こう。皆んなもいいかな?」

川口が同意を求める。頷く皆。

「密室で人が亡くなった話です。」

仮定の話と前置きがあったが、それでも皆一様に緊張した面持ちになった。


「事件と事故の両面で捜査…が続いているものと仮定してください。故人…仮にAとしますが、Aは30代の独身男性でワンルームの賃貸マンションに住んでました。ある日彼が自宅で遺体となって発見されます。第一発見者は二人居てB,Cとしますが、二人ともAと同じ会社の同僚で休日も連れ立って遊ぶほど仲が良かったようです。その日も日曜でしたが、Aに呼ばれて自宅を訪ねます。」

「呼ばれたのは電話かメールですか?」

育美が尋ねる。

「LINEです。三人のグループラインでやり取りしてたみたいです」

ドリンクを一口飲むと石森は続けた。

「二人は最寄り駅で待ち合わせ、約束の六時数分前に着いたそうです。インターホンを鳴らしても返事が無く、試しにドアノブを回してみたものの鍵が掛かってたそうです。トイレにでも居るのかとしばらく待ってるとカチリと解錠の音が聞こえたのでドアを開け中に入ったそうです」

「そこで遺体を発見したと」

アキラが言う。

「ええ。もちろん部屋には遺体となったAの他に誰もいませんでした」


「あの…今さら言うの何ですが、僕はチームの一員じゃないですけど、大丈夫でしょうか?」

薔薇筆がバツが悪そうに尋ねた。

一瞬虚を突かれた様になった石森だったが、

「彼なら大丈夫だ。続けて」

と、川口に促された。

「分かりました。では続けますが、ここまではよろしかったでしょうか?」

「お許し頂いたついでに質問ですが、ITに関わる困りごとというのは玄関ドアにその手の装置が付いてたという話でしょうか」

薔薇筆が指摘する。

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