低殺傷火器(ローリーサルウェポン) 96
「秘密を探るってのはさあ・・・わくわくしねえか?」
「貴様は子供か?」
「子供で結構!」
ノリの悪いカウラを馬鹿にするように要が手を振り回す。驚いた整備班員がかわそうとするがよけきれずにそのまま顔面にサイボーグの怪力でのパンチが入った。
「あ・・・」
よく見ればそれは部隊最年少の整備班員の西高志兵長だった。
「ごめんね・・・馬鹿が暴れて」
まるで誠意の感じられないアイシャの謝罪。周りの整備班員の駆けつけるのが遅いことには理由があった。
保安隊実働部隊。汎用人型兵器『アサルト・モジュール』を運用する部隊は全部で四つある。第一小隊は保安隊副長と小隊長を兼務するクバルカ・ラン中佐が仕切り彼女を遼南内戦のエース、ナンバルゲニア・シャムラード中尉と伝説の傭兵と呼ばれてきた吉田俊平少佐が支えている最強の布陣だった。当然第一小隊の評価が高いので他の人材には自由度があると内外でもささやかれていた。
結果が第三小隊と第四小隊の編成に現れた。第三小隊は嵯峨の次女である嵯峨楓少佐。胡州海軍での同性を巡るさまざまなスキャンダルのヒロインとして悪名を轟かし、お荷物として保安隊に配属されたと言うのが誠にもよく分かる人物だった。
そして第四小隊。こちらは政治的意図でアメリカ海軍からの出向者が三人配属されていた。そして彼等が運用する現用アメリカ海軍仕様のアサルト・モジュール『M10』の運用指導のために技術士官が特別に配属されていた。
それがレベッカ・シンプソン中尉。眼鏡と部隊最大で要に『おっぱいお化け』と呼ばれる美女でしかも彼女は西とは非情に仲がよくいつも行動を共にしている。
整備班員にとって女性隊員といえば技術部長の神と崇め奉られている許明華大佐の高圧的でサディスティックな扱いに慣れてきたところに現れた女神をあっさり若いのにさらわれたと言うことで腹の虫が収まらないのは当然で、誰もが西には思うところがあった。
「誰か助けてあげなさいよー」
明らかに助ける気の無いアイシャの言葉に呆れた笑顔を浮かべるとカウラは仕方なく倒れて目の所を押さえている西に手を差し出した。




