低殺傷火器(ローリーサルウェポン) 91
「皆さん、やはり法術使いの犯行のようです。近隣のアストラルゲージのデータを本部に転送してもらうことで話が付きましたから」
ラーナはそう言うとそのままカウラの赤いスポーツカーに向かって歩き始める。
「おいおい、もうお帰りか?何しにきたんだよ、アタシ等は」
そんな要の皮肉にすぐに振り返りむっとした表情を浮かべたラーナ。だが相手が要だけに下手に行ってもごねるだけとわかって少し言葉を選びながら話し始めた。
「繁華街でのアストラルゲージ設置のお話は・・・」
「知ってるよ。法術の違法使用を防ぐ目的であっという間に広がったからな。元々民間企業にまで法術の噂が広がってたとか言ってマスコミが大騒ぎしたあれだろ?」
「ええ、そのあれです」
そう言うとラーナは街灯を指差す。LEDの電灯の下に小さな見慣れない箱が誠にも見えた。
「この反応のデータを転送するならわざわざこんなところに来なくても・・・」
「西園寺大尉。捜査の基本は現場を見ること。これは覚えていてくださいね。すべてにおいて・・・」
「分かったよ!つまりアタシ等にここを見せたかったんだろ?雨がきついんだから帰るぞ」
そう言うとまだ不満そうに要は自分の銀色の車に向かう。アイシャも同じく納得できないと言う表情でそのまま要についていった。
「もしかして僕が来るのが重要だったんじゃないですか?」
年下のラーナに誠がそう言うと彼女は驚いたような表情で彼を見上げていた。
「法術使用の場合、アストラル系の変動の残滓が残るらしいからな。神前ならそれを見分けられると踏んだのか。見たところ無駄だったようだが」
カウラはそう言うと赤い車に向かう。ラーナは今度はカウラにも驚いたような表情でその後に続いた。
「鋭いですね。今回はこれまでよりも大事ですから。波動の残滓が残っていれば最低でも能力発動を引き起こした人物の特定くらいはできるかなあと思って・・・」
「なら無駄にならないように神前の感想を聞こうか」
「特に・・・すいません。役に立たなくて」
体を折り曲げながら助手席に滑り込む誠の言葉にラーナは少しばかり残念そうに頷くとそのまま助手席を起こしてそこに体を押し込んだ。




