低殺傷火器(ローリーサルウェポン) 86
『当たり前だろ?さもなきゃなんでこんな奴と・・・』
『要ちゃんひどい!こんな奴なんて!』
アイシャの声だけが端末に響く。思わず誠も苦笑しながらラーナを見てみた。彼女はと言えば相変わらず自分の端末を叩いて作業を続けていた。
「で・・・結果は?」
『焦るなっての。そんなに簡単に行くわけ無いだろ?とりあえずラーナのデータは正確だったってことはよく分かったよ』
「有難うございます」
ラーナはついでのように答えた。それが気に入らないと言うように要はかっぱ巻きを口の放り込む。
『アタシも豊川の街をこうして回るのは初めてだが・・・まあ予想以上に複雑だわ、この国も』
「実のところ本当の意味で東和が大国になったのは先の大戦のあとの復興景気以降だからな。それを考えて見ればこういう地方都市の矛盾と言うものも見えてくる」
『難しいこと言うじゃねえか。まあそんなことはどうでもいいとして・・・今回の事件。誰が犯人でもおかしくない気がしてきたよ。法術適正のあるというだけで揉めている自治会とかもあるみたいでさ』
何気ない要の一言。誠はすぐにラーナに目を向ける。誠もラーナも法術適正のある法術師である。恐らく同じように部屋を探したりアパートに暮らしたりすれば同じように差別や嫌がらせを受けることはすぐに想像が付く。そしてそんな世の中にした法術の存在の顕現化を行なったのは他でもない『近藤事件』での誠の法術による敵アサルト・モジュールの撃墜だった。
「西園寺。そこらへんは後で話す」
誠の動揺がカウラに見透かされていたようでカウラはすばやく話を変えると端末を消した。
「気にするな・・・と言っても無理か」
そう言うとカウラはハンバーガーショップの駐車場に車を入れた。そしてそのまま車をドライブするーの場所に移動させる。
「食べていかないんですか?」
訪ねてくる誠にカウラは疲れたような笑みを浮かべるだけだった。




