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低殺傷火器(ローリーサルウェポン) 84

「これで何件目・・・」 


「カウラさん始めたばかりじゃないですか」 


 いつもの運転席に乗り込むカウラの顔は疲れていた。


 初日。すぐに動き出したカウラ、誠、ラーナ。とりあえず防犯の呼びかけのポスターを手に五件のマンションを回ったが、捜査よりも戦闘のために作られた人造人間であるカウラの忍耐力はすでに限界を迎えていた。


「午前中はこんなもんでしょう。これからお昼。いかがですか?」 


 後部座席で腕組みをしているラーナは静かにそう言うと幼くも見えるようなおかっぱの髪を掻き上げた。


「午前中・・・か・・・」 


 カウラの声がかすれるのも無理は無かった。すでに三時を過ぎようとしている。住宅街の食べ物屋は多くが準備中になっている時間帯。


「訪問がこんなに疲れるものだとは・・・」 


 そう言いながらカウラは赤いスポーツカーを動かす。狭い路地を縫うようにして車は進んだ。


「まあ・・・こういう地道な積み重ねが大事ですから。それと市民と向かい合う時はいつも笑顔で。ベルガー大尉はまだ今ひとつですね」 


「はあ」 


 ラーナに駄目だしされて少しばかりカウラは肩を落としながら狭い道を進む。両脇に続く家並みはすべて平屋。二十年前の第二次遼州大戦の時の特需以前の貧しさを感じるような家々が続く。


「でも・・・もしかしたら僕達が回った家の中にすでに犯人の家もあるんじゃないですか?」 


 思わず誠はそう言っていた。不機嫌になるだろうと振り向いた誠をまっすぐにラーナは見つめている。


「それで良いんですよ」 


「良いのか?」 


 カウラはようやく大通りに出る入り口の信号で車を止めながら驚いたように静かにつぶやいた。



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