低殺傷火器(ローリーサルウェポン) 57
「本当にこうしていていいんですか?」
七草粥を食べ終えた誠の言葉に同調するように要も頷いている。勤務地が変わっても保安隊の寮の生活は変わらなかった。いつものように朝食を食べ、早出の技術部の隊員達がどたばたと階段を駆け下りるのをのんびり食堂で聞きながらお茶を飲む。その日常は以前のそれと変わりは無かった。
「東都警察も多少は経験を積んでるんだから。それに茜お嬢様からの資料じゃ分からないデータも手に入ったわよ」
アイシャはそう言うとおもむろに目の前のどんぶりを横にどけて腕の携帯端末の映像を拡大投影した。
「得意とする法術の種類か・・・」
「茜もまだまだだな。関与の疑いのある事例を見つければそれなりに資料としてまとまるじゃねえか」
カウラと要はアイシャの作った東都警察の違法法術能力発動事件に関わるデータを眺めて感心した。
「パイロキネシスが半数。空間干渉や空間制御が続いて・・・当たり前だけど体再生機能発動は無し」
「やっぱり放火魔みたいな奴なんだろうな。火事はなんとなくすきっとするからな!」
「要ちゃん。あなたが犯人なんじゃないの?」
「ちげえよ!」
要が軽くアイシャの頭をはたく。誠が回りを見れば二人の人物が誠達の行動を監視していることに気がついた。
一人はカウラのファンクラブ『ヒンヌー教』の教祖を名乗る菰田邦弘主計曹長。回りにアイシャから『キモイ』と呼ばれている隊員達を引き連れながら真剣に画面を見るカウラに萌えていた。そしてもう一人。
「今回は俺の出番は無いんですかね・・・」
明らかに不満そうに声をかけてきたのは技術部特機整備班長の島田正人准尉だった。
「なにか?死なないって言うだけで捜査に参加できると思うなよ」
要の一言に明らかにカチンと来た様に頬を膨らませる島田。彼は純血に近い遼州人であり、意識で体細胞の再生を行なうことができる再生系の法術適正の持ち主だった。




