低殺傷火器(ローリーサルウェポン) 52
「それよりクラウゼ。お願いはどーした?」
ようやく話を戻そうとしたラン。しばらくアイシャは話を振られたことを気づかないように突っ立っていた。
「早く話せよ。くだらねー話ならぶん殴ってやるから」
指を鳴らしながら小さなランがすごんで見せる。誠から見てもその光景はかなり滑稽だった。小学生がプロスポーツ選手を脅迫しているようにしか見えない。つい笑いがこみ上げてくる。
「私達を派遣してくれませんか?豊川署に」
『は?』
時が止まったようだった。誰もがアイシャの言葉の意味を理解できずにいた。ただ一人吉田は納得したように頷いている。
「あれか。法術関係捜査の実績はあるからな。その経験を生かしての助っ人と言うことなら・・・受け入れてくれるかもしれないねえ」
吉田の言葉にようやく全員がアイシャの意図に気づく。そしてその視線は自然と法術特捜の全権を握る茜へと向けられた。
茜は襟元に手をやりしばらく考えていた。
「実績ならありますよ。厚生局事件の報告書は豊川署でも閲覧できるはずですから」
アイシャの言葉に小首をかしげて考えにふける茜。
「アタシは無理だが・・・クラウゼにベルガーに西園寺に・・・神前。これで十分だな」
「え?島田君達は?」
そんなアイシャの言葉に首を振るラン。彼女も一応この部隊の主である技術部部長、許明華大佐の部下に隊を離れる命令は出せないことは誰にも分かっていた。
「お前等経由なら色々情報も豊川署に流してやれるし・・・あちらも所轄の膨大な資料を扱っているんだ。俺等の知らないことも知ってるはずだしな」
なんとも他人事のように吉田はそう言うと立ち上がった。




