低殺傷火器(ローリーサルウェポン) 49
法術適正があるが何の能力も無い。そんな思い込みが次第に変わっていくのを水島は感じていた。
街を歩けば能力を持ち腐れさせている多数の法術師に出会う。そしてその能力を使ってやるのが義務ではないかと思い始めていた。パイロキネシストがいれば近くのごみ置き場に火をつけてやった。空間干渉能力があれば近くの立ち木を切断して見せてやった。
『みんな色々できるんだぜ・・・俺達を見限った連中に一泡吹かせるくらい楽なもんだ』
にやける頬を引き締めながら水島はいつも思っていた。
この世界は力の無いのと力のあるものがいるというのは不完全な認識だと彼は考え始めた。
『力があっても使わなければ意味が無い』
そう言う訳で司法大学院の勉強の傍ら町を徘徊して彼等の力を使った。小さな小火で十分だった。ちょっとした車のタイヤを割ることで納得できた。
この世界が法術師を生んだのならそれにふさわしい待遇が必要になるはずだ。能力の上に眠るものに何の権利も無い。そう思いながら日々散歩を繰り返していた。
ただ最近は警察の目が気になり始めていたところだった。司法試験を目指すだけあって警察が単純に能力者の摘発だけをしているうちは安心できた。
テレパシー能力のある暇そうな警邏隊員の思考を読み取ってみれば段々自分の能力が特定されてきていることを感じていた。だが同時に今のささやかな楽しみと化している通行人の能力解放はとめることができなかった。
幸い水島は豊川市の司法大学院に入学することができた。これで田舎の自分の力を知らない連中だけを相手にすれば言いとなると気が楽だった。
『さて、次は何をしようか』
部屋の中で大の字に寝転び天井を見上げながら湧き出す笑顔に耐え続ける。
『そう言えば豊川といえば保安隊・・・法術を最初に使った空気の読めない馬鹿がいたな・・・』
そんなことを思い出すと近くに寄ってみたいというような酔狂な気分になる水島だった。




