低殺傷火器(ローリーサルウェポン) 104
「・・・でデータ照合はできた。後は・・・」
すでに夕方だった。要は食事もとらずに検索を続け、ラーナは何とかパンをかじりながら端末で地味な照合作業を続けた。そして東都の一連の法術暴走事件が一人の法術師によって引き起こされたこと、その人物は豊川で死者を出す法術使用を行なったことがわかった。
「本人を見つければ簡単に話は済むがな・・・どうやって見つける?」
カウラの言葉に全員が呆然としていた。法術適正のある遼州人は全人口の一割程度。近隣の都市を含めれば対象となる人物の数はとても誠達では手がおえない。
「これは資料を豊川署の面子にたたきつけるのが精一杯か・・・」
そううなだれたカウラ。突然全員の端末のモニターが消えた。
『俺の仕事になりそうだな!』
聞き慣れた叫び声がすべてのスピーカーから響いた。
「吉田の馬鹿か・・・」
『馬鹿?それなら手を引くぜ俺は。豊川署の署長はそいつを有効に使ってくれるか・・・微妙なんだけどな・・・』
「いえ!すみません!調子に乗っていました・・・馬鹿少佐」
相変わらずの減らず口の要。画面が戻るとそこには額タオルを巻いている姿の吉田俊平少佐が映っていた。
「農作業?」
『仕方ないだろ?シャムがやるって聞かないんだから。今のうちに土と肥料をなじませないと来年の実りは保障されないんだそうな』
背後に耕運機のエンジン音が響く。思い切り脱力しながら誠達は画面を覗き込んだ。
「今更出てきて何するつもりだよ」
要の言葉は冷たい。確かに以前から何度と無く協力を頼んでは断られていただけに誠も吉田の真意が図りかねた。
『法術師のアストラルパターンデータにはうちはフリーパスで入れるからな。照合するデータの件数は俺クラスじゃないと扱えない規模になるだろうからな』
「いつそんな特権ができたんだ?」
『同盟厚生局とやりあったときに貸しを作ってくれたのはお前等だろ?そのとりたてとしてみれば安いものさ』
要の問いに答えながら吉田はいい顔で額の泥をぬぐっていた。




