低殺傷火器(ローリーサルウェポン) 100
腰を抜かした水島に一歩一歩向かってくる。
「ど・・・どうするつもりだ・・・」
動揺する水島の様子に満足げな少年。仕方なく水島は静かに座りなおした。
「靴で上がるのは感心しないな」
「おっと・・・大使館の私室からなので・・・失敬!」
そう言うとすばやく靴を脱いだ少年はそのまま腰を下ろす。
「アメリカ大使館で暮らしている・・・信じろと言われても・・・」
「よく覚えていたね・・・なんだか難しい本が一杯」
少年はそのまま四足で歩いてくると水島の机の上を覗き込む。
「一応法律家を目指しているからな」
「おじさんが?」
そう言って笑う少年の頬には悪意が見て取れて水島はそのまま黙り込んだ。
「それより僕についてくれば厚遇してもらえると思うのにな・・・」
「モルモットとしてだろ」
水島のつぶやきににんまりと笑う少年。そして彼はそのまま腕の通信端末を開いた。
「見てごらんよ。おじさんが能力暴走を引き起こした人。死んじゃったよ」
少年の言葉に水島は彼の端末も開いた。しかしそのような情報は何度検索しても出てこない。
「おじさんのじゃ駄目だよ。僕のは一応ネットしている範囲が広いからね。警察や病院を検索すれば出てくるんだ。便利でしょ?」
淡々と語る少年。水島は少しばかり諦めたように肩を落として少年の端末に移る箇条書きの被害者の死を知らせる文書を眺めていた。




