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低殺傷火器(ローリーサルウェポン) 10

「でもそうするとあの容疑者扱いで捕まった娘は……」 

「一応彼女の能力を誰かが利用していることがはっきりしない限り釈放はできないだろうな。しばらくは拘留だろう」 

 カウラの言葉に誠は肩をおろした。パイロキネシス能力は誠やカウラには身近な力だった。カウラが第二小隊の隊長を務めるまでは『保安隊の良心』と言われた穏やかな西モスレム出身のアブドゥール・シャー・シン大尉が彼等の指導に当たっていた。その後、彼は部隊の管理部門の責任者を経て故郷で設立される遼州同盟の軍事機構のアグレッサー部隊への転属が決まっていて現在の管理部門の責任者である高梨渉参事と話し合っている姿をよく見かけていたのを思い出させる。

 そんなシンが持つ力は発火能力『パイロキネシス』だった。愛煙家だがライターもマッチも持ち歩かずに灰皿を見つけるとタバコだけを持って一服するシンを二人は何度となく目撃していた。

「でも……」 

「演操術師と言えば先日の通り魔の時にも出てきた。今回も同じ人物が訓練気分で実行したのかもしれない……」 

「訓練気分でやることですか?あんなことを……」 

「やる奴はやるだろ?」 

 突然のハスキーな女性の声に誠は握っていた湯飲みから視線を上げた。当然のように冬だと言うのにタンクトップと半ズボンと言う姿の要がそこに立っていた。

「寒くないのか?西園寺は」 

 呆れたようにカウラがつぶやく。

「鍛え方が違うんだよ」 

 そう言いながら遠慮もせずに誠の部屋に入ろうとした要を何かが引っ張った。

「鍛えたも何もテメーの体は特注品の軍用義体じゃねーか」 

 小さな女の子が要のズボンのベルトを引っ張っていた。その後ろにはにんまりと笑うアイシャの姿もある。

「クバルカ中佐」 

 保安隊副長のクバルカ・ランの登場にカウラは座りなおして敬礼をした。




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