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第52話 悪役令嬢、悪役の道 ※イザベラ視点

 パーティー会場に戻ろうと思ったが、私の足は動こうとしなかった。


 目の前まで来ても足が動かず、会場裏で立ち尽くしている。


 正直ダミアンにはあんなことを言ってしまったが、内心はとても嬉しかった。


 殿下から好意を向けられているとは、幼い頃から一度も思わなかった。


 それは私も好意を寄せていないから仕方ない。


 私がずっと守りたかったのはダミアンの笑顔だからね。


 だから、殿下がダミアンに興味を持った時は守ることに必死だった。


 ダミアンって誰よりも優しいし、家族思いの優しい子だ。


 家族である私が一番知っていたのに、あんな風に言ってしまった自分を情けなく感じる。


「でもあんな大勢の前で婚約破棄されるとはね……」


 どこかで婚約破棄されると思っていたが、あんな人前でしなくてもよかったのではないだろうか。


 きっと殿下は人の嫌がる顔が好きだから、無意識にあの選択をしたのだろう。


 それにあの場で婚約宣言をしたら、普通の人であれば逃げられない。


 本当に執着心の塊だが、ダミアンはあっさりと姉の私を連れ出した。


 あの時の驚いて苦痛な顔を浮かべる殿下の顔は面白かったわ。


「私もびっくりしましたわ」


 そこにいたのはフラワー子爵家のカメリア令嬢だ。


「また私にいじめられたいのかしら?」


「そんなこと言ってイザベラ様は優しいじゃないですか。出会った当初も弟のダミアン様が眉間に皺を寄せたら、綺麗な顔が台無しだって言われて気をつけ――」


 私は彼女の口を急いで手で塞ぐ。


 この人といると、自然と公爵令嬢とは思えないほど話してしまう。


 この柔らかい優しい顔に、いつのまにか絆されたのだろう。


「それによかったんじゃないですか? 殿下ってイザベラ様に対して愛情の欠片もなかった――」


 そんなこと言われなくても私が一番わかっている。


 ダミアンの前では強い姉を演じたが、今はそんな余裕もない。


「うっ……」


「ああああああ、イザベラ様すみません」


 カナリア令嬢は地面に膝をついて、頭を何度も下げた。


 本当に出会った時から、この人は変わらないわね。


「ふふふ」


 嘘泣きなのにそれに気づかないカナリア令嬢につい笑みが溢れてしまう。


「やっぱりイザベラ様は笑った顔が可愛いですよ。殿下より私の方がよっぽどイザベラ様のこと好きですからね」


「なっ……」


「ほら、そうやってすぐに顔が赤くなるところとか可愛いです」


 令嬢に可愛いと言われているのに、どこか恥ずかしくなってしまう。


「それにしても今後どうなりますかね?」


「今後ですか?」


「ギュフフフ、だってダミアン様を狙っての争奪戦ですよ。あの騎士ぽい子が誰かわからないけど、中々捨てがたいカップリングですね」


 時折カナリア令嬢は令嬢らしからな顔をする。


 よだれが垂れないようにしている姿が、エサを目の前に出された犬のようだ。


 同性で恋愛なんか考えたこともなかったが、カナリア令嬢は肯定派だった。


 むしろ誰よりも好きなぐらいだ。


「そんなに同性同士って良いんですか?」


「当たり前ですわ! BLはロマン溢れる神の嗜好よ」


 カナリア令嬢は私の手を強く握ってきた。


 急な行動に私も戸惑ってしまう。


「決めたわ! イザベラ様、私と貴腐人の道を突き進むわよ」


「貴婦人ですか?」


「ええ、これからもよろしくお願いしますわ」


――貴婦人の道を突き進む


 それは一緒に今後も過ごしたいってことだろうか。


「えっ……えー!」


 どうやら婚約破棄されたばかりの私は、カナリア令嬢にプロポーズされたようだ。

「どっ……どうしたら破滅フラグが折れるんだ……」


 ゆるふわキュルルンのカシューナッツが助けを求めているようだ。


▶︎★★★★★評価をする

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「こっ……これは……!?」


 選択肢の投票が行われた。


「全てよろしくお願いします!」


 どうやら評価をすると破滅フラグが折れるようだ。


「BLフラグは……?」


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