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違和感

「こんにちは」


「ハル、おかえり」


「あ、ただいま─です。」



今日は、私が作ったポーションを、お父さん─ゼンさん─に鑑定してもらう為に、パルヴァン辺境地の邸へとやって来た。


“おかえり”と言って出迎えてくれるお父さん。嬉しくて、心がホッコリします。


「あ、ハル、おかえり。」


「あれ?ロ─お兄さんも居たんですね!」


いつもは王都のパルヴァン邸に居る筈のお兄さんも、今日は辺境地の邸に居て私を出迎えてくれました。


「今日は、ハルが辺境地(こっち)に来るって聞いたから、私もこっちに来たんだ。久し振りに、庭園でお茶でもどうかな?」


「はい!したいです!」


パッと手を挙げて返事をすると、お父さんもお兄さんも笑ってくれました。







「相変わらず、森にはまだ穢れは出てないんですか?」


「あぁ、まだ出ていない。本当に、ミヤ様達には頭が上がらない。」


3年経っても穢れが出ないと言うのは、過去にも一度も無かったそうだ。お姉さん達は、一体どれだけのハイスペだったんだろう?確かに、朝早くから遅く迄、毎日聖女としての訓練を頑張っていたよね…。


と、お姉さん達の事を思い出していると


『主、最強執事─少し良いか?』


そう言いながら、今日、パルヴァンに一緒に来て、森に散歩に行っていたネージュとネロが帰って来た。


「ネージュ、どうしたの?帰って来るの…早かったね?」


私の側迄やって来たネージュを、ワシャワシャと撫で回す。


『ネロもー』


と、頭を出してくる可愛いネロの頭も遠慮無く撫で回す。


『最強執事、最近…森で何か変化は無かったか?』


「変化…とは?」


『それが、我にもハッキリとは分からぬ故…何かあったのか?と。』


ネージュはそう言うと、目を閉じて俯いた。


ネロを撫でながら、森の方へと視線を向ける。


「確か…リュウ達の視察って…」


「来週の予定だが…森をよく知っているネージュ殿が言うのなら、放っておく事はできないから、グレン様に相談した方が良いだろう。」


そう言って、お父さんがサッと椅子から立ち上がる。


「お父さん、グレン様の許可が得られたらで良いんですけど、ネージュと一緒に森に確認に行っても良いですか?」


ーこのまま知らないフリも放っておく事も、私にはできないー


お父さんは眉間に皺を寄せたまま少し思案した後


「本当は、危険があるような所にハル─娘を行かせる事はしたくはないが…ネージュ殿と一緒に、魔法使いとして…こっちからお願いしないといけないかもしれないな。」


「森は勿論の事、パルヴァンは私にとっては第二の故郷ですからね!私に出来る事はさせて下さいね!」


「分かった。取り敢えず、残念だが、今日のお茶はこれで終わりだ。このまま、グレン様の所に行こうか。」


そうして、お父さんとお兄さんとネージュとネロも一緒に、グレン様の居る執務室へと向かった。









「穢れは無くとも、毎日森を観察していますが…今のところ変わったところや問題があるような報告は上がっていません。」



あれから、急遽ティモスさんも呼び出し、毎日記録している森の巡回記録を持って来てもらった。


「ネージュ殿は、一体どんな変化を感じたのだろうか?」


『それが、我にもよくは分からぬ。ただ──以前とは森が纏う空気が違う様な…感覚だろうか?』


森を一番よく知っている筈のネージュでさえ、ハッキリと分からない違和感。きっと、私達人間では、もっと分かりにくい事なのかもしれない。


「来週には、隣国からの視察団と共に王太子殿下と聖女様も来る予定だが…今回の森の視察は中止した方が良いかもしれないな。ゼン、取り敢えず、手紙を飛ばすから用意してくれるか?」


「分かりました。」


「それと──ハル殿、すまないが、ネージュ殿と一緒に森を見てくれるか?」


「はい、魔法使いとして…させていただきます。」


「ありがとう。ただ、何か危険だと思った時は、直ぐに森から離れてくれ。ティモス、お前も一緒に行ってくれ。」


「分かりました。」



そうして、ネロは邸でお留守番をしてもらって、私はネージュとティモスさんと3人で森へと向かった。









「ハル、何か…分かるか?」


森に入ってから暫く歩いた後、ティモスさんが口を開いた。


「──何かは分からないんですけど…確かに、ネージュの言う通り違和感はありますね。」


前に来た時は、浄化された後のような澄んだ空気?が漂っていた。でも──


『何かは分からぬが、何かが纏わり付く様な感じがあるのだ。』


「うん。それも、何となく…嫌な感じだね?」


森全体的には、穢れもなく淀んでいるような所もない。

コレは、感覚的なモノで説明し難い程の違和感。


分からないまま歩みを進めて、ネージュが眠りに就いていた大樹迄やって来ると


「大樹に…何か…纏わりついてる。」


「大樹に?俺には…分からないな…。」


『我にも見えぬが、何か違和感があるのは分かる。』


私の目には、その大樹に赤色のモヤのようなモノが纏わりついているように見えるけど、どうやら、ティモスさんには見えなくて、魔獣であるネージュにも見えてはいないみたいだ。




魔獣の、しかもフェンリルのネージュでも見えない赤色のモヤ─。




ー調べる必要が…あるよね?ー






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