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デート

「ハルさん!?」


「あ、レイラ様。お久し振りです。」



今日は、ディの視察前の連休初日。約束通りに街で美味しい物を食べた後、アクセサリー店“ビジュー”にやって来ると、そこにはディの兄嫁のレイラ様が居た。


「──ハルさん?」


レイラ様が、シュンとした顔で私の名前を呼ぶ。


「?────あ!えっと、こんにちは、()()()()!」


「あー、やっぱりハルさんに言われると可愛いわー!!」


「ぐふぅ──っ」


ーはい、ここでもやっぱり抱き枕なハルですー


「義姉上、落ち着いて下さい。ハルが圧死します。」


グイッ─と、今度はディに引き寄せられた。


「あら、ごめんなさい。ほら、前に…私にも義妹が居たと思うんだけど…()()だったでしょう?可愛いなんて思えなくてね…。その反動かしら?ハルさんが余計に可愛く見えて…我慢できなくなるのよ。エディもごめんなさいね。」



かつて、義妹だった()()とは…()()エレノアさんの事だよね?そう言えば、あれから何も聞かないよね?あれ?反省…したのかな?不思議に思って、チラリとディに視線を向けると、綺麗な微笑みを返された。


ーうん。これは訊いちゃいけないやつですね?はい、この疑問は流します。空気の読めるハルですー


「えっと、お義姉様もアクセサリーを買いに来たんですか?」


「ええ。使っていた髪留めが壊れてしまったから、新しく買おうかと思ってね。ハルさんとエディも?」


「いえ、私は、加工をお願いしていた物を取りに来たんです。」


「そうなのね。今日はデートのお邪魔はしないけど、今度は私ともお茶をしましょう?お義母様もハルさんに会いたいと言っていたから、邸に遊びに来てくれると嬉しいわ。」


「はい、喜んで行かせてもらいます!」


それから、私は加工された物を受け取って、お義姉様に挨拶をしてから店を後にした。


それから、屋台でクレープを買って、その足でカルザイン家所有の庭園へとやって来た。今日は、奥にある立入禁止区域の青の庭園ではなく、一般的に開放されている庭園のベンチに座り、庭園の花々を眺めながら買って来たクレープを食べている。


「青の庭園にも入れるが…いいのか?」


「はい。青の庭園の花も圧巻で素敵なんですけど、ここの花も色々あって好きなんです。」


「そうか。なら良かった。」


フワリと笑うディ。


ーバックに花を背負ってるから、普段の倍イケメンに見えるよね?ー



この庭園は、私にとってはとても大切な思い出の場所の一つだ。正しくは、この奥にある青の庭園だけど。

ここで、隣国から帰って来たディとデ…デートに来て、その時初めてディの私に対する思いを聞いた。てっきり嫌われていたと思っていたから、本当に驚いた。

それが、今では結婚して……だっ…旦那様とか!!


ー恥ずかしい!ー


「──くくっ……」


「ん?ディ?何を笑って……」


「いや…ハルが、クレープを食べながら百面相をしているから…くくっ…本当にハルは可愛いな。あぁ、クリームが…」


「クリームなんて、口についてませんよ!そんなベタな展開なんて───」


と、口を開くと透かさずキスをされた。


「“付いている”とは言っていない。“クリームが美味しそうだな”と言いたかったんだが…少し甘いな?」


と、ディがニヤリと笑って、もう一度触れるだけのキスをした。


「なっ!!!!!だっ…から…ここ、外だからね!?」


「外だな。」


「恥ずかしいから止めてって言ったよね!?」


「ハルが可愛いのが悪いのでは?」


「屁理屈!!可愛くないし!」


ー本当に!本当に!!そろそろ“手加減”と“遠慮”を覚えて下さい!ー


顔が真っ赤になっている自覚があったから、ディから顔を逸してクレープを完食した。


そんな私達の様子を、愛でる会の人達に見られていた─なんて事には、全く気付いていなかった。その為、後日、ディアさんとアリーさんに微笑ましい眼差しと共に、色々と根掘り葉掘り聞かれました。“恥ずか死ねる”とは、こう言う事を言うのだろう─と、学習したハルでした。










*蒼の邸にて*




「ハル様、クズ魔──リュウが来てますが、会いますか?」


「え?リュウ?何で?」


「あ、断りますか?」


「じゃなくてね?えっと、ルナさん、ちょっと落ち着いて?」


リュウが、突然先触れも無く蒼の邸(ここ)に来るのは別に珍しい事ではない。ないけど、直接私の所に転移せずに侍女(ルナさん)を通して会いに来る事が初めてで、そこに驚いた。


「あぁ、そっか…この前、ミヤさんにシメられたんだっけ。」


本当に、リュウはミヤさんには頭が上がらないんだなぁ─。


「会いますよ。何処に居るんですか?」


「エディオル様の執務室に居ます。」


「じゃあ、そこに行きます。」











「転移魔法陣を組み込んだ魔石?」


「そう。パルヴァンと王都の距離がギリギリでいける範囲だから、国内なら何処でも大丈夫だと思う。」


「攻撃ではなくて逃げる為─だね?」


「そう。ハルは…身をもって分かってると思うけど、()()を嵌められたら攻撃よりも逃げた方が助かる確率が上がるからな。まぁ…もう()()のお世話になる事が無い事を祈るけど…ハルは…巻き込まれ体質だから、念の為に持っておいた方が…な?」


と、リュウもディも苦笑している。


「ゔ─…反論できない自分が悔しい!でも、リュウ、ありがとう。なら、私も同じのを作ってリュウに渡しても良い?リュウだって魔法使いだから、()()を嵌められると大変だから。」


「ははっ。ハルは本当に…お人好しだな?ありがとう。」


と、リュウは少し困ったような、嬉しいような顔で笑った。





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