表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/49

赤い瞳

ミヤさんが浄化を行う日の前日に、私はミヤさんとネージュと一緒にパルヴァン辺境地へとやって来た。






「その後、森に異変はないの?」


「私達の感覚では問題ありません─としか言えませんね。」


ミヤさんの質問に、お父さんは少し困り顔で答える。


「それは仕方無いわね。でも、取り敢えずは、穢れはまだ出てないのね。それだけでも良かったわ。」


それから、明日の予定を確認していると、私達の居る部屋に魔法陣が現れた。パアッと黒い光が溢れる。


ー黒い光…リュウだよね?ー


その光が収まると、思っていた通り、そこにはリュウが立っていた。


「ゼン、急に来てすまな───」

「本当に、急に来るのね?」


リュウがお父さんに声を掛けるのに被せるように、ミヤさんがニッコリと微笑む。


「───ミヤ…様…いや、あの、ゼンの執務室は…急な転移も…ある程度許可を…もらってるんです。本当に!」


「そう?なら、私からは何も言わないわ。で?何しに来たの?」


ーリュウ、今回は良かったね?ー


「あー…っと、今回の森の異変の事なんだが…サリス。」


と、リュウと一緒に魔法陣から現れたもう一人の人物が、リュウの後ろからスッと出て来た。


「ハルとゼンは初めてだろう?こいつはサリス。魔導師であり、俺の部下の一人なんだけど、呪術に詳しいんだ。だから、今回の事で何か助けになるかもと思って連れて来た。」


「サリスです。何かお手伝いができれば─と思って参りました。宜しくお願いします。」


サリスさんは、長い黒髪を後ろで一つに括っていて、前髪も少し長め。瞳も黒色。黒髪黒目─日本人みたいだからか、何となく既視感?親近感?がある。


「私は、ハルです。宜しくお願いしますね。」


「ハルさん──は…魔導師なんですか?」


「魔導師…ではなくて、魔力が…()()()()強い位な感じかなぁ?」


「そうなんですね。」


()()()()どころじゃないけどー


と、ミヤとゼンとリュウは心の中で突っ込んだ。










*浄化当日*




「ここが…パルヴァンの…森。」


森へと入って行くと、サリスさんが嬉しそう?な顔で呟く。


今日の浄化は非公式の為、ミヤさんの護衛にティモスさんとルナさんとリディさんの3人が付いた。


ーうん。プチ三強(この3人)が居たら安心ですー


そして、同行メンバーとして、私とネージュ、リュウとサリスさん。サリスさんが居る為に、私は表立って魔法使いとして動かないようにしている。ネージュも、いつもは皆にも伝わるように言葉を発しているけど、今は私だけに聞こえるようにしている。


『主、何か感じるか?』


『ううん。何も。今日の森も、落ち着いているように感じる。』


私とネージュは、口ではなく、お互い頭の中?で会話しながら森の中を進んで行き、呪術を掛けられただろう大樹のもとへと辿り着いた。


「この大樹に呪いが?」


「呪いかどうかは分からないけど、何かが纏わりついていた─感じですね。」


サリスの問いに、ハルがふんわりとした答えを返す。


「それで、サリス。この大樹を見て…何か気になる事とかはあるか?」


「見ているだけでは…分からないので、大樹に触ってみても良いですか?」


サリスさんが、パルヴァンの騎士であるティモスさん達に視線を向けて尋ねると、「どうぞ、自由に調べて下さい。」とティモスさんからの許可を得て、サリスさんが大樹へと近付いて行った。












────だめだ─────



ーえ?ー


また、あの声が頭の中に響いた。


視線だけで辺りを見回すけど、ネージュも誰も、その声に反応している感じがない。


ー気のせい?ー


視線を前に向け直すと、丁度サリスさんが大樹の前で立ち止まり、その大樹に手を触れたところだった。



ゾクリッ──




「──っ!?」



身体全体に嫌なモノが纏わり付くような感覚に襲われる。


「なっ…に…!?」


『主?どうした?』


私の異変を感じたのか、ネージュが心配そうに私を見上げて来る。



ドクドクと、心臓が嫌な音を立て始める。


「──めて……」


声を発したいのに、思う様に声が出ない。


『主?』


サリスさんが大樹に触れている所から、また、あの赤色のモヤが広がっていくのが見えた。


「────止めて!」


「「ハル!?」」


何とか発した言葉に、リュウとティモスさんが反応する。


「──っ…リュウ…サリスさんを…止めて!」


「サリスを?」


私が言った言葉の意味が分からない─と言った様に、リュウが眉間に皺を寄せて私を見ている。そんなリュウを横目に


「リュウ殿、そこを退いてくれ!」


ミヤさんの後ろに居たティモスさんが、一気にサリスさんに詰め寄って行く。


「──ティモスさ──駄目!」


ティモスさんがサリスさんに一撃を入れようと、魔術を展開させサリスさんへと放つけど


バシンッ


と跳ね返された。


「「「っ!?」」」


ティモスさんは、パルヴァンの騎士で武に関しては勿論のこと、魔術に関してもそれなりの腕を持っているのに、それを軽々と跳ね返された。


「その程度の魔術で…私に勝てると思ってるの?」


「サリス?」


サリスさんは、大樹に手を添えたまま私達の方へと顔を向けた。



そのサリスさんの瞳は──







大樹に纏わり付く赤色のモヤと、同じ色をしていた。








評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ