準備OKのおっさん?
馴染みの修理工場へと連絡を終えたおっさん、愛車での買い出しは諦め近所にあるドラッグストアに目的地を変更する。
徒歩僅か5分。極々ご近所さんにあるさほど大きいとはいえない馴染みのドラッグストア。そんな店の買い物かごは既に山盛りである。
非常食用のカップめんを筆頭に、本来の目的である砂糖の1キロの大袋。そして向こうの世界で世話になったドワーフや貴族達への土産としての各種酒類。手に持ったかご2つは山盛りとなっていた。
「あ、支払いはカードで。それと袋も2枚お願いします。」
『うん、こんなもんかな』レジで買った大きめの袋に品物を詰め終わったおっさん。大きく1つうなずくとパンパンの2つの袋を持ち上げた。異世界で体力のついたおっさん、2年前では確実に無理であったろう重い荷物も軽々である。
自宅への距離はほんの僅か。しかし…
「ヤバそう…持ち手、もしかして伸びてない?」
大量に仕入れた酒類に砂糖、どちらも相当な重量となっていた。しょせん一般流通のレジ袋、ある一定量の重量を越えれば耐えられはずもない。
「ま、まずいって…」
思わず足元へとレジ袋をおろしたおっさん。辺りをキョロキョロ。そしてまたキョロキョロ。
「アクティブソナー…。よし、周りには誰も…ん、接近者なし…」
1つうなずく怪しさ満点のおっさん。
「アイテムボックス!」
呪文を唱えた瞬間、おっさんの足元に2つの闇が現れると同時にレジ袋は一瞬で消滅した。
「よしよし、上手くいった。」
こちらの世界へと戻ったおっさんの最大の関心は、こちらの世界で魔法が使えるかどうか、それだけにしぼられていた。
帰ってきた堤防下。おっさんの最初の行動は、辺りの確認と魔力の感知。当然簡単な魔法の試しはその時に済んでいた。
「さて、とりあえずは、これで準備はOKと…転移魔法のクールタイムの一週間まではあと1日」
手ぶらになったおっさんは、ゆっくりと自宅に向け歩き出した。