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第三十九話【歴史的大剣豪が家に居る。それも二人】

「で? 結局どうするんだよ」

 小次郎が風呂に入っている間、俺とムサシは居間で今後の事について話していた。

「どーするもこーするも、来ちゃったんだからしょうがないっしょ」

「……しょうがないって、そんな楽観的な」

 歴史的ライバルが令和にやってきたというのに、ムサシは『あたし関係ないも~ん』オーラを放っている。なんて奴だ。

「一応さ、同じ時代からタイムスリップして来たんだし、同じように女体化しちゃってるし、ある意味同郷って事で、もう少しちゃんと考えてあげないと……」

「大丈夫だって。今、ウイッキーペディアで歴史調べてみたけど、改変されてないし、やっぱあたし達が居ようが居なかろうが、関係ないんだよ。やっぱ歴史なんてもんはいい加減だよね~」

 確かに、俺も少し調べてみたが、宮本武蔵と佐々木小次郎の巌流島決戦は行われ、武蔵が勝利したと史実にはある。当の本人たちがタイムスリップして行方不明になっているにもかかわらずだ。

 そんなディスカッションをあーだこーだと繰り広げていたその時、ゆっくりと襖が開いた。

「お風呂、お先に頂きました」

 ぐほっ! 

 現れたのは、絶世の浴衣美人姿と化した小次郎だった。黒髪を纏め、セクシーなうなじが露出しているその姿に、俺は目を奪われてしまった。

 小次郎はムサシの目の前に座り、「宮本殿、先程は取り乱してしまい誠に申し訳ございませんでした」と頭を下げた。

「いーよいーよ。そんなにかしこまらないでよ。あたしも悪かったからさ。ゴメンね」

 う~ん、凄いな。歴史的剣豪の二人が、俺ん家の居間にいるなんて。現在、俺は世界一贅沢な時間を過ごしていると言っても過言では無いな。

「あのさ、俺がこんな事言うのもおこがましいんだけど、二人共、ある意味大変な状態

に身を置いていることを踏まえて、ここは一旦停戦してみては?」

 おお……大剣豪二人に対して、歴史的意見を述べてしまった。

「う~ん、あたしはもう元の時代に戻る気はサラサラ無いし、そもそもこっちでガチの決闘なんてやったらソッコーで捕まっちゃうっしょ。とりま、白紙にするって事で良くない?」

 流石は現代っ子ムサシ。すんなりと提案を受け入れたな。問題は小次郎の方か?

「……私は、戸惑っております。色々ありましたので」

 色々……うん、色々あったよね。一ヶ月間、放置プレイ食らって「ハイ、そうですか」とはならないよね。

 彼女は更に続ける。

「ですが、この状況下に身を置かれた以上、抗う意味も見出せません。私も拓海様の提案を受け入れます」

「マ……マジすか? いーんすか?」

「はい」

 小次郎がこれ以上ない素敵な笑顔を俺に見せてくれたタイミングで、母さんの声がした。

「はーい、お待たせ~。ご飯出来たわよ~」


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