戦国の日本
それから千二百年のときがながれ、日本は戦国の時代へと入った。鉄砲がきて戦はすっかり変わった。しかし、変わったのは戦だけではない。猟でも鉄砲を使うようになった。生きて捕らえる罠であれば、母子は逃がすこともできた。しかし、遠くから一撃で殺してしまう鉄砲では、当たれば最後、乳飲み子ですら助かることはなかった。万一、母親が死ねば子供は生きてはいけぬ。人間はかわいそうだと子供たちまでも殺したが、動物たちにとっては、そんな論理は理解できない。山に暮らす動物たちは、卑劣な人間達を憎んだ。
やがて信長が天下をとろうとする矢先、石となって眠り続けた妖狐玉緒と人間の青年博利は、日本を覆いい始めた、まがまがしい妖気によって目覚めた。
「博利様。獣達の怨霊がこの国の中央へと集まり始めています。」
玉緒は青年にそっと耳打ちをした。
「様はいやだな。博利と呼んでくれ。私も玉緒と呼ぶから。」
長い眠りの中で、玉緒は妖力を回復していた。妖力が増えるに従い、子狐だった彼女は大人へと成長していた。
博利は気にとめなかったが、二人きりでいるときは玉緒は人間の姿になった。ただこの時代、若い娘が男と二人きりで旅をすることなどないため、外では狐のほうが野党に襲われるることもなく、安全だった。
啓太たちがどの時代に飛ばされたかはわからない。幸い時間はたっぷりある。その時に必要な武器を博利が作る。そこに玉緒の妖力を加えれば、獣に対抗するに十分だろう。獣が弱れば、法海が封印できる。信長が第六天魔王と名乗りだし、異様な行動をとりだしたのは、獣の邪気にあてられたともいわれている。
博利は3種の神器を作ることにした。