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妻は泣くことが増えた。僕はそのことに苛立ち、不眠となった。睡眠薬は持っていないので、寝付くにはアルコールが必要だと思った。しかし泣いている妻の顔を見ると、罪の意識が湧いて来て、今日は飲まないと決意出来た。ただ妻の顔を見ると、煩わしさも感じて、それが飲まない日々の中で一滴、一滴と溜まっていった。
不眠と妻への苛立ちが溜まり、またある時酒場へと出向いた。
独楽は苛々しているようだった。どうやら好みのボトルが見つからないらしい。勘定もせずに店を出て行ったので、僕がたてかえることになった。僕は独楽に感謝される行為ができて嬉しかった。自分が社会的に思えた。少なくとも独楽よりは。