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彼方
僕は彼女の後ろを歩く。
君の座る車椅子のレバーを持って歩く。
「ごめんね」
と君は少し悲しそうに言った。僕は寒さでつまった鼻をすすり、別にと素っ気無く答えた。
木枯しで枯れた街路樹は土色に変色した葉を揺らしながらゆっくりと歩んでいる僕らを嘲っていた。
「まだまだこれからさ」
「うん……」
僕はマフラーに顔を深くうずめた。
溢れそうになる嗚咽を飲み込み、寒さで赤くなった鼻先を隠して僕は白雪のような項を見つめていた。
僕は彼女の後ろを歩く。
君の座る車椅子のレバーを持って歩く。
「ごめんね」
と君は少し悲しそうに言った。僕は寒さでつまった鼻をすすり、別にと素っ気無く答えた。
木枯しで枯れた街路樹は土色に変色した葉を揺らしながらゆっくりと歩んでいる僕らを嘲っていた。
「まだまだこれからさ」
「うん……」
僕はマフラーに顔を深くうずめた。
溢れそうになる嗚咽を飲み込み、寒さで赤くなった鼻先を隠して僕は白雪のような項を見つめていた。
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