入学の日
朝起きると涙が出ていた。
またあの夢を見た。
胸を締め付けられる彼の夢。
幼い頃からずっと見続けている不思議な夢。
「セレスティア様!朝ですよ。おはようございます。」
侍女のアンナがやってきた。
「また目を赤くしてー。今日は悲しい方ですか?」
「そうなの。夢で泣いてた。」
幼い頃より付いてくれているアンナには、夢の事を相談していた。
『今日は一緒にお花畑にいた』とか『手をつないで歩いた』など誰かわからない彼との夢。楽しい日もあれば、悲しい日もある。
ぼんやりとシルエットだけがわかる、顔の見えない彼との夢。
「もったいぶって!顔くらい見せてくれたらいいですのにね!」
「あはは。夢なのにもったいぶるとかある?でも顔は見たいな。」
アンナのセリフに笑ってしまった。
「本当誰なんだろうね。顔見たいな。…あ、用意しなくっちゃ。」
今日から魔法学園に入学する私は慌てて用意をしだした。
「新しいお友達が出来るといいですね。」
「うん。リズがいるから不安では無いけど、新しいお友達出来ると嬉しいな!」
リズとは幼い頃からのお友達だ。髪と目が淡いピンク色のとても可愛らしい見た目ながら、好奇心旺盛な少し気の強い活発なタイプ。同じ家格の侯爵家で親同士も昔から親交があって、よく一緒に遊んでいた。
あまり前に出る事は苦手で冷たい印象の水色の髪と目を持つの私は、可愛らしく活発なリズが憧れで大好きなのだ。お互い魔法が大好きで入学を楽しみにしていた。
「お気をつけていってらっしゃいませ。」
「ありがとう!いってきます!」
私はアンナに見送られ新しい環境に胸を躍らせながら、馬車で学園に向かった。
「あぁ!ついに通うんだ!」
昔から憧れていた荘厳な大きい白い学校が見えてきて、とてもワクワクした。馬車を降り少し歩いていると
「ティアー!おはよう!」
リズが元気いっぱい話しかけてきた。
「リズ!おはよう!もうワクワクし過ぎて大変!」
「夢だった魔法学園だものね!私もよ!」
キャーキャー言っていると、案内の係の方が
「入学者はクラスを確認して、教室に入って下さーい。」と言っているのが聞こえた。
「「行こう!」」
「「…」」
笑いながら2人で確認に向かった。
「リズ!一緒!」
「え!嬉しい!」
2人で教室に向かった。
「そういえばリズ、アレン様は?」
アレン様とはリズの婚約者で1つ年上の公爵家嫡男の方。藍色の短髪で目がキリっとした印象のある彼は女子からも大人気だ。幼い頃から何度かお会いした事もある。
リズの事が大好きなアレン様は、リズをとても大事にしている。親が決めた婚約者同士ながらお互い想い合って上手くいっていた。
「あぁ、アレン様は殿下と一緒よ。心配だから私と一緒に行くってずっと言っていたけど、殿下からのお願いでは仕方ないわよね。」
殿下とは私の住むアリストン王国の第二王子ランドルフ殿下。金色の髪に金色の目を持ち柔らかく甘い顔で、とても人気の王子様だ。
「そっかぁ。それは仕方ないね。リズも楽しみにしてたのにね。」
「もうっ!からかわないでよね///」
少し赤い顔をしたリズはとても可愛い。
私もそんな想い合える婚約者がいいな。
我が家は『好きな人と婚姻していい』という方針なので、まだ婚約者はいない。
新入生達でとても賑やかな教室に入り指定されていた自分の席に座った。リズとは少し席は離れたが同じクラスだったので嬉しい。
周りをキョロキョロ見ていると
ガラッとドアが開いた。
「おはよう。担任のニコル=オルティスです。ニコル先生って呼んでね。」
怖い先生だったらどうしようと思っていたが、にこっと爽やかな笑顔で挨拶をしてくれた担任に安心した。金髪に緑色の目をしている先生はとても優しそうだ。
「はい。じゃ前の画面見てー」
前を見ると画面にヒゲを携えた白い衣装の学園長が映った。
「学園長のクロード=アンダーソンじゃ。色々な事があるだろうが、たくさん経験を積んで素敵な魔法使いになってください。楽しい学園生活を。入学者全員にコレを!」
学園長がパッと手を上げた瞬間、目の前に白色の一輪の花が現れた。
「皆、入学おめでとう!」
と言って画面へ切れた。
「はいー。学園長からのお話でしたー。花は持って帰ってね。明日から授業始まりますので頑張ってください。」
白色の花はアネモネだった。花言葉は【希望】。花を持ちこれからの学園生活に心をわくわくさせた。
「ティア!行こう!」
「どこに??」
「アレン様と待ち合わせしてるの。」
「そうなんだ。わかった。行こ。」
「お花嬉しかったねー。魔法早く使いたいな!」
「うん!うん!素敵だったね。明日から楽しみ!」
「あ!アレン様ー!」
アレン様を見つけ走り寄っていくリズはとても可愛い。
「リズ大丈夫だった?困った事無かった?」
アレン様はとても過保護だ。
可愛いリズのためなら仕方ないのかな。
「子供扱いして!大丈夫だよ。ティアがいるし!ね?ティア!」
「そうね。でもアレン様は心配なのよ。アレン様お久しぶりです。セレスティアです。」
「セレスティア嬢これからもリズと仲良くしてくださいね。」
「はい!もちろんです!」
可愛いリズとはずっと仲良くしたい。
「…/////アレン様!お父様みたい!」
「リズが可愛くて心配なんだ。」
アレン様はリズの頭をなでなでしながら優しく微笑んでいた。素敵な関係だわ。『うんうん。可愛いのだから仕方ない』と心で頷いていると
「入学おめでとう。」
え?急に後ろから声をかけられた。
「ランドルフ殿下。王国の若き…」
ランドルフ殿下が急に現れたので、慌ててカーテシーをし挨拶をしようとしたら
「もう。セレスティア嬢、学園では辞めてよ。ただの先輩だよ。」
「あ、申し訳ありません。ランドルフ殿下ありがとうございます。」
「改めて二人とも入学おめでとう。リズちゃんアレン借りちゃってごめんね。」
「いえ!いくらでもどうぞ!」
リズが慌てて殿下に返事をしていた。
「本当急に辞めてくださいね。おかげでリズに朝から会えなかった。」
リズの肩を抱きながらアレン様が殿下に小言を言っていた、
「ごめんって!急に隣国から留学生が来るって決まったんだから仕方ないじゃないか。」
「それは、わかりますけどね…」
「ランドルフ殿下、留学生が来るのですか?」
殿下とアレン様が話している内容が気になり、思わず聞いてしまった。
「そうなんだよー。隣国の公爵家の奴なんだけどね従兄弟でさ。昨日父上に急に言われて準備してたんだ。」
殿下の母である王妃様は隣国の公爵家出身で、王妃様のお兄様が公爵家を継いでいるとは聞いていた。
「今日は間に合わなくて、明日から来るから今度紹介するね。」
「ありがとうございます。楽しみにしております。」
「明日から頑張ってね。じゃまたね」
手を振って殿下は去っていった。
「では、私も帰ります。アレン様失礼します。じゃリズまた明日ね。」
「うん!また明日。」
リズとアレン様に挨拶をし解散した。
明日からに思いを馳せ帰路についた。
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