九話 誓約
回想終了
「君には今ここで私の手で死ぬか、私に協力して死ぬかの選択肢があるわけだけど」
「どうされたい?」
最悪だ
「あーあー」
「なんだって?」
「あー"あー"あー"!!」
「あぁそうかそうか、そうだよね喋れないよね」
塞がれていた口がやっと自由になった。
「あぁ"やっと喋れる、誘拐と、、監禁ですかなかなかいい趣味ですね!」
「えぇそうでしょ私でもそう思うよ」
凶悪な笑顔でそう言う彼女に皮肉は伝わらないようだ
「こんなことして、すぐに警察に捕まりますよ!」
「そんなことになったら君は死ぬんだけどね」
すーっと背筋が冷たくなる、なんだか背中に何か当たってまるで刃物を突きつけられているような命の危機を感じる。俺は六分の恐怖と四分の好奇心でふと後ろを向こうとした
「後ろを向くな」
深く陰鬱そうな静かな声でそれは言った
「なんですかいったい後ろの、ここれは」
「気にすることはないさ君が後ろを見ないことにはたぶん何も起こらないんだからさ」
怖、、、
「で、どう?私の助手になる気になったかい?」
断る選択肢あるのかなこれ
「、、はい」
うんうん♪と雪衣さんは僕の後ろに回り手首の縄を解いてご機嫌そうに頷きこう言った
「じゃあここにサインお願いね」
古い年季のありそうな黄ばんでいるそれは、誓約書と書かれていた。
そのままなんとはなしに、流れるようにサインをしつつ内容を読んでいると「永井潤は共倒雪衣に絶対服従である。これは以下の条件に当てはまった場合のみこの通りではない」と読んでいるうちに署名が終わり、「サインありがとう潤君♪」と流れるようにその契約書を雪衣さんはくるくると巻いていってしまった。 そしてそれを白い紐で結び急に"自分の指を切った"。
静かな空気が突然変わった。まるで朝起きて窓を開けて空気の入れ替えをした時みたいなそんな気持ちの良さすら感じるそんな空気。
「我、共倒雪衣はこの契約に不義理がない限り、名のものを守護し、共に歩むことを誓う」と紐の結び目に血をたらし急に言い出した。
「じゃあ潤君のも垂らして!」
「いや、痛いの嫌ですよ」
はぁ仕方がないなとそう雪衣さんは言い左手で僕の手首を掴んだそして手のひらを今度は右手で、すっと爪で切った
「いっっつ!」
血が手のひらのから粒のように溢れ出し中心に集まりぽたぽたとこぼれ落ちる。あの時と比べると、比べるまでもないほどのましな痛みだったがそれでも痛いは痛い。
雪衣さんはそっと手を添えるように紙を握りしめさせた。
血が紐に紙にと染み込む、まるで紙が血を飲んでいるようにだんだんと赤く紅く赤黒く染まっていく。そして紙が完全に染まりきった後、雪衣さんは俺の手を離した。
「はい、これで契約成立ね」
「これからよらしく頼むよ潤君」
この誓約書が今後俺にとって重要な役割になることをまだ俺は知るよしもないのだった。
なんてね。
「あのー雪衣さん」
ん?なんだね潤くんと雪衣さん
「一応お聞きしたいんですが給料って、、、」
「月給なら、うーん、、35万にしよう」
おっと?
「もちろん休みなんてないけどね」
、、、、おっと