八話 ベネフィシャルズ
「潤君、神様って信じるかい?」
神?
「神ってのはまぁ日本に限らず世界中に何千といるんだけど。財運上昇、学業向上、開運、商売繁盛、五穀豊穣とまぁ役割があってこれ以外にもあるんだけど、日本においていうならまぁアマテラス、スサノオ、ツクヨミ、エビスら辺が日本ルーツで有名どころかな」
「いやいやいやちょっと待ってください」
ん?どうしたんだいと雪衣さん
「まるでそんな神様がいる前提みたいな話をされても困りますよそんなのフィクションでしょ?」
「それがね実際に神はいるんだよ。」
「なんでもかんでもきっちゃう剣士とか人の思考を読むテレパシーとか雨乞いとかこういうのを超能力っていうよね」
「こういうのはひとえに神が与えた力なんだよ、神の御業ともいうけど」
「それで君みたいに神の恩恵を受けた人間をベネフィシャルズって言うんだ」
ベネフィシャルズか。俺が神から恩恵を受けた?あれは、恩恵なのか?どちらかというと、、、
「まぁ大体においてその恩恵を受けた人は色々と君みたいに被害を受けてありがた迷惑だなんていうんだよ」
「だけどね、君、それを迷惑だなんて思ってはいけないよ絶対に」
真顔で笑顔ひとつなく
「それで迷惑を被ってもそれは君のせいだし君が悪いから」
「だって君が望んだことなんだから」
沈黙
「はい!ここで説明終わり♪ここからは有料プランだぜ⭐︎」
「さぁ潤君、君が助手になったらこれ以上のことも教えられるんだけどどうする?なっちゃう?」
笑顔で自信満々な顔だな
これ以上のこと。なぜ神様が人に恩恵を与えるのか。なぜ神様がフィクションだなんて言われているのか。なぜ雪衣さんは俺を助けてくれたのか。
気になるとても気になる。でも
「すみません今は、助手をやってる暇はなくて」
今はここから出なくては逃げなくてはどこだっていいどこでもいい。
「えぇーそんなこと言わずにさ、さきっちょだけでいいからさきっちょだけ」
卑猥なポーズをとるな、さきっちょだけってなんだよせっかくのイメージが崩れるよもったいない
「すみませんせっかく助けていただいたのに」
「はぁ、まぁいいさ」
にやっ
なんだかすごく怖い感じのする笑顔だ
「じゃあまた伺うからその時にまで考え直しておいて」
「はぁ」
「ではな、潤君」
ガチャと手を振って出ていった雪衣さん
「よしっ支度するか」
所持金三万円を貯金箱から財布へと移し替えスマホや本ヘッドホン、折りたたみ傘、何着か服をカバンに詰め込んだ
「さてどこにいくか」ふとリビングに紙がおいてあるのが見えた
「ん?京都旅行ツアー、京都、ねぇ」
昔中学の修学旅行で行った思い出が印象深いあの時はすっごく楽しかったな。でっかい清水の舞台にタイムスリップしたかのような街並み。そういや中学での1番の思い出だったな。
「あぁそういえば今読んでる本の舞台も京都だったか」
まるで京都に行けと神様が言ってるかのように。
"神様が"
雪衣さんには悪いけどこのまま京都に行こう、連絡先とか聞いておけばよかったな。
まるで何かに導かれるように俺は京都行きの新幹線のチケットを買いすぐに家を出たのだった。