十話 薬
佐藤 潤
経歴
中卒 職歴なし 頼れる先なし New 服従先あり
もうどうしようもないな俺。
10月26日 13:52
誓約書を書かされてから一応、解放(?)という形にはなり持ち物を返してもらった。まぁ、電柱に突っ込まれたからな今のいままでよくやってたよ俺。ある程度雪衣さんが治療してくれたことは手で頭を触った時にガーゼの感触でわかった。雪衣さんは「とりあえずここに住んでていいから。ゆっくりおやすみするといいよ」と言ってくれおそらく俺の部屋になるであろう場所に案内してくれた。その行為に甘えとりあえず寝ることにした。そういや今何時かなとスマホを取り出す「げっ、2日もたってるじゃねぇか!」
"気付く"気づくことが大事でそれがスイッチ
"2日"が経った。つまりは、
"気にしてしまったら"もう遅い
まずい、まずいまずいまずいまずい!ないポケットないないバックないないないないないないないない
"薬"がない。ついに、終わっちまったか
いやだ本当にもう嫌なんだよ
これからの先がどうしても見えて不安に思う。
ベットに入り目をつぶってみる。
強制思考
大切なのは自分だこれはきっと間違ってないあそこにいたらきっと俺は死んでた、だから逃げるのは正しかった、そのはず。
本当に正しかったのか他に道はなかったのか逃げてよかったのかな
中学の時、一人も友人がいなくあいつからされたいじめによって事切れたように不登校になっちまった。高校は、遠い同級生がいないところにした
高校に入って友達をたくさん作った。うまくいってたと思う、けど不登校だったことがばれた。中学の同級生が教えたらしい、友人は変わらなかった、不登校だといったやつは俺を不登校のくせにといじるようになったそれは繰り返し起こった。そこから歯車がずれた普段友人からされているいじりも悪意のあるものに感じるようになった。その時気付いた、俺が思っていた友人達は俺のことを思ってくれていなかったのだと。
これなら友人なんて作る必要なかったな。
中学の時に感じた孤独が俺に人と繋がれと耳に囁いてきたんだ。曖昧な孤独だろうと繋がりがあろうと俺は壊れちまった
俺に必要なのは全ての縁を切ることなのだとそう感じた
ずっと辛かった中学の時親に精神科に行きたいといったら嫌な顔をされたそれを見てやっぱいいといった高校の時に親に精神科に行きたいといったら嫌な顔をされたが説得して行くと約束をした1ヶ月が経ち親にいつ行くのと聞いたら忘れてたとさらっと言われた。精神科に行ったうつと診断された。
身体の傷は瘡蓋になって取れるが心の傷は瘡蓋になって取れない
俺に瘡蓋はいくつあるだろうか
鏡には何も映らない 見えたのは人だった
15:00
「やっぱ寝れないな」
起きよう起きた方がいい、そうだ雪衣さんと話そうきっと紛れる。部屋を出てもといたソファに座る、雪衣さんは見えない出かけたのかな
「はぁぁ」
ガチャと音が聞こえる雪衣さんだ。どうやら自室にいたようだ。雪衣さんと目が合う
「ん?少年もう寝なくてもいいのかい?」
「いや、もうどうしても眠れなくて」
言えない、言えることじゃない
雪衣さんは俺の顔を見て少し考えて察したように
「あぁそうかそうだったな失念していた」
「悪かったな、私はひどいやつだ」
ばっと、手を広げて優しく俺を抱擁してきたあったかいなんだか甘い匂いもする。
「何、何ええ何するんですか!」
「私はな昔から大事なことを見逃してしまうんだ仕事でもたまにそういうことがある」
「はい?」
「君をあの部屋から脱出させるために君のことを色々と調べさせてもらったんだ」
あぁそっか知られていたのか全部。何が好きでなにがきらいでどういう趣味を持っていて。うつ病で不眠症なんだと。この人はそれを知ってて俺に接してたのか
「そうですか、知ってたんですね」
「おろ、意外と反応が薄いな、自分のことを知られることよりも抱擁の方がびっくりするとはなかなかませてるな君」
「もしかして薬なくなっちゃったかい?」
「隠し事なんてできないですねあなたには」
「一応これでも探偵だからね」
「そうだなどうしよっかうーん」
どうせ、元気出せとか辛いのは君だけじゃないとか暗い顔するなよってことをいうんだろうなこの人も
「そうだおくすり手帳って持ってるかい?」
「はい?出かけた時に一応持ってきてます」
「保険証は?」「、、あります」
「じゃあ病院行こっか!」
「えっ連れてってくれるんですか?」
「なんでですか別に雪衣さんには関係のない話なんですよ」
「いや、なんでもなにも"助手"だから。困るでしょ、普通に。君の体調が悪かったら私の仕事にも障るでしょうが」
「それに、君のこと結構好きなんだぜ紳士的で冷静に物事を見れるところとかあとまぁ顔も好みだからかな。まだ日は浅いというかまだ始まって一日も経ってないけど君を助手に誘ったのもそれが理由」
なんだよこの人、そんな理由で俺を助手に選んだのかなかなかに不適任な気がするけど
なんというか、あんまり不快じゃないな
「はは!、そんな理由で僕を助手にしたんですか!」
下心で見え透いた親切心もない、至極私情な優しさが隠れて見える
わかりやすい、わかるこの人は大丈夫だと
「泣いていいよ、ちゃんと抱きしめてやるから」
「ありがとう、ありがとう」
涙が出る、自然とゆっくりに今まで人に見せなかった分全部を




