教えてもらったもの
その日の夜。
俺はブラッティに会った。
「ブラット、久しぶり」
「久しぶり!!元気してた!?」
「…あぁ。ブラッティ」
「!!」
するとブラットの顔色が変わった。少し悲しそうな寂しそうな顔だった。
「…ばれ…ちゃったか…。ハハハ。……そうだよ、僕がブラッティだ。リーパーの王、ユヴェールブラッティだ。そして、君の父親を……自分の父親を!!…殺した!……………極悪人だ…!!」
ブラッティは泣いていた。
「……もう…早く…僕を殺してくれ!!!僕がいなければ…僕がいなければ、父さんも!!母さんも!!伊浪斗も!!伊露葉も!!みんなも!!天寧も!!僕がいなければみんな傷付いてなかったんだ!!!もうこんな僕……いらないよ……!!」
そう言うブラッティを俺は抱きしめた。
綺麗な星空の下。
今日はいつもより綺麗な気がする。
本当の君に会えたから。
「ごめんねブラッティ。俺は俺を愛してあげたい。お前が引きこもっている間俺は色んなことを学んだ。確かに最初は記憶のない、リーパーとすら知らないそんなやつだった。でも色んなやつに会って自分のことを知れた。
星乱さんにあってリーパーの生き方を教えてもらった。
宙さんにあって病院での暮らし方を教えてもらった。
妖にあって人の食べ方、殺し方を教えてもらった。
翼にあって愛の怖さを教えてもらった。
氷尾に会って失ったものの大切さを教えてもらった。
青葉さんにあって自分を教えてもらった。
兎天さんにあって近くにいる人の大切さを教えてもらった。
珠羽に会って壊れた愛を教えてもらった。
凪にあって人に頼ることを教えてもらった。
叶にあって協力することを教えてもらった。
祈にあって人と仲良くする方法を教えてもらった。
師匠にあってみんなのことを教えてもらった。
伊浪斗に会って敵の恐ろしさを教えてもらった。
寝露に会って相棒の使い方を教えてもらった。
佐久さんに会ってお前を教えてもらった。
鷹野さんにあって派閥の強さを学んだ。」
そしてこれで最後だ。俺が教わったものの中でいちばん心に残っているもの。
「お前にあって愛を教えてもらったよ!!」
するとブラッティは少し驚いた顔をしたがその顔は泣いていなかった。
「お前のことを知れた。どれだけ大変だったか、どれだけ苦労したか。そして……どれだけ愛されていたか。確かにお前はお前のことを殺したいくらい嫌いかもしれない。でも俺はお前が嫌いじゃない。お前を愛したい。……なぁ、お前が教えてくれたんだろ?俺はお前だって。お前は俺だって。ちゃんと自分のこと、愛してるんだよ。俺がお前でいる限りそれは変わらない。だからさ……そんなに泣かないでくれよ…」
ブラッティは涙を拭き取り俺に笑った。
「君もね…!!」
「なぁ、せっかくだし昔の話聞かせてくれないか?俺はお前の話が聞きたい。」
「………わかった。もう言わなきゃね。本当の君と僕を」
昔僕は…………
親に愛されていなかった。