この場所でしか会えないあなたへ
「ねぇなに寝てんのさ!」
そういわれ飛び起きるとそこに佐久さんはおらずブラットがいた。
「あれ、佐久さんは!?」
「あ〜、そういえばさっきもおんなじ場所にいたからわかんないよね。今君は夢の中。この前話した俺たちだけの世界。」
「あー、なるほど」
空を見上げるとこの前と一緒の綺麗な星空があった。
「なぁ、少し話していいか?」
ブラットがそういうと俺の隣に座り空を見上げた。
「俺の知り合いの話なんだが__
その少年はいろんな顔を持っていた。
元気で優しい顔、面白くて人気な顔、しっかりしてて真面目な顔、頼り甲斐のある顔。どれも全部自分の顔だった。でも本当の自分の顔は誰よりも弱くて泣き虫でヘタレでただのクズ野郎だった。そうしているうちに少年な段々どれが本当の自分なのかすらわからなくなっていった。そんなある日だった。少年の母親が家から出て行ってしまった。理由を聞くと少年の父親はとある組織の頭領をやっているのだがそれに敵対している組織の元幹部が母親であった。母親が元々幹部をしていた組織の今のボスは母親の弟だったのだ。弟は母親に帰ってこいと言いもし帰ってこない場合はお前の家族を全員殺すと言ったのだ。そうして母親は弟のところへ行ったらしい。だが、弟は母親以外の家族が来ても良いと言い始めた。すると父親は少年を母親の代わりに向かわせた。
弟の組織はとても大きなビルで少年はそこに連れて行かれ幹部をさせられた。まだ齢9の時の話だった。そうしてそこで働いている間に1人の小さな子供が捕まっていた。その子供の名前をAとしよう。少年はAを解放し自分の配下に加えた。そしてAと少年は友達になり仲良く暮らしていた。
2人には秘密の場所があった。綺麗な花畑の奥に少し古い屋敷があるひ場所だ。森の奥の奥にあり誰も寄ってこない穴場であった。2人はいつもそこで遊んでいた。だがある日、母親の弟がそこにやってきて花畑を燃やしAを殺したのだ。少年は雨が降った中一日中泣いた。そして涙が枯れた時少年は新たな異能をてにした。
「思い出の中のあなたを撫でるように…」
そういうと花畑が戻りAが生き返ったのだった。
「ここで話しはおしまいにしよう」
「ねぇ…ブラット…もしかしてその少年って…佐久さん…?」
「……さぁ、どうだろうね?…ねぇ、君。少しだけ僕と入れ替わってくれないかい?佐久と話がしたくてね…」
「え、そんなことできるの?俺はいいけど…」
「じゃ、行ってくるよ」
そういうとブラットは俺の瞳を手で隠した。
そこから俺はいきなりものすごい睡魔に襲われ眠ることになった。
「お、起きたか?伊織」
「あぁ、起きたよ。おはよう佐久」
「……なぁ、お前名前は?」
「ええ、僕だよ僕。白尾伊織さ」
「…お前伊織じゃないだろ?伊織は自分のこと俺っていうんだぜ?」
「……やはり君は頭がいいね。でも本当のことを言ったんだけどなぁ…っじゃぁなんて言おう…。あ!エラだよ…」
「…!?チッ…いきなり現れやがって…お前は本当に俺を泣かせるのが得意だな。」
「えへへ、そんなことないよ。……天寧さん…元気?」
「……あぁ」
「ならよかった!僕は今君と話すために少しだけあの子から体を貸してもらっていてね…」
「あの子じゃなくて自分だろ。」
「ま、そうともいうね!でね、佐久。君に伝えたいことがあるんだ。」
「なんだよ」
「……ありがとう、ごめんね。また…会おう!!大好きだ!」
「…くそっ…謝んなよ…俺があん時お前を守れなかったから…」
「ふふ、君は悪くないよ…。ねぇ、泣いてもいい?」
「チッ、今だけな…」
「優しいね…」
そうして俺が起きるとそこにブラットはおらず佐久さんがいた。
「伊織…ありがとな。あいつと話す時間くれて…」
「いや、全然です。逆に佐久さんは僕がいきなりブラットになってしまって嫌でしょう?すいません…」
「お前何言ってんだ。勘違いするなよ、お前はエラだ。別の人格なんかじゃない。紛れもない俺の大好きな伊織だ。だからさ…泣くなよ」
「え?」
気づかない間に僕は涙を流していた。
何だか懐かしいと思うことが今日は多すぎたからかもしれないな。
俺は少し佐久さんの顔を見ていたがやっぱり寂しっそうな顔だ。
「佐久さんこそ…そんな寂しそうな顔しないでくださいよ…」
「すまねえな。…さぁ、そろそろ行くか!」
佐久さんはそう言うと異能を解き俺たちは最初の場所へと戻った…がしかし。
そこには蘭悪腐がいた。
「伊織!」
「うわぁぁぁ!」
俺は急いで佐久さんの後ろへと隠れた。
「伊織!俺と話をしてくれ!お前が言ったんだろ!?またいつか咲くさって!お前が咲かせてくれるんだろ!?俺のこと!」
さぁ………どうしたものか。