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ユヴェールブラッティ  作者: 月島旭
第一章 これから
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シオン館

「今日からここが君の部屋だ。まだ家具入れてないけどごめんね」

宙に案内され俺がついた部屋は病院の端っこにある別棟だった。

二段ベットに二つの机に一つのちゃぶ台。

「あれ…もしかして同室の方が…」

そうして現れたのは俺と同い年くらいだとは思うが身長は小さめで金髪に緑の瞳をし羽の髪飾りをつけた可愛らしい男の子であった。

「あ!言ってなかったね!同室の子がいるんだよ!いい子だから仲良くしてあげてね!」

「は、はい」

「お、よろしく新人ちゃん!僕の名前は榎島翼(えじまつばさ)。シマエナガのリーパーだよ。好きなことはお茶会を開くこと!嫌いないものは礼儀のないやつ!でも君、礼儀もあって優しそうでいいね!気に入ったよ!」

「こいつは性格はこんなにガキだけど実力は確かだ。リーパーの中でもとても強い。そしてこいつには特殊能力がある。それは」

「はい!そこまで!全部バラしたら面白くないでしょ!あ、そうだ!君、名前は」

俺は緊張して声が裏返りそうになったが何とか自分の名前を言った。

「白尾…伊織です…」

「白尾か…!すごく珍しい苗字だね…!これからよろしくね!」

「は、はい!」

「敬語じゃなくていいよ!これから家族みたいなもんだし!」

「わ、わかった!」

「あ、あ、ともう1人いるんだ!ここは3人部屋なの!」

すると扉から1人の美少年が入ってきた。

赤色の髪に黄色い瞳、髪は少し結っていてかんざしを刺しており、まるで昔話に出てくる狐のようであった。

「新人はんですか?よろしゅう」

その美少年は綺麗な微笑みを見せた。

「よ、よろしくお願いします!」

「ありゃ、礼儀のええ子やなぁ。わての名前は狐乃夜氷尾(このやひお)。ひーくんよんでなぁ」

「は、はい!自分の名前は白尾伊織です!」

「白尾…?君もしかして伊月はんの親族?」

「は、はい!伊月は私の父に当たります!」

「そうかそうか!あ、タメでええよぉ。伊織君」

「え、わ、わかった!」

やばい、どうしよう。

同じ班の子達みんなあたりだ…!!


そのあと俺は病院の中を回っていた。

さっきあったやばいオレンジ髪のリーパーもいるかもしれないしな。

そんな感じで回っていると一つの別館に着いた。

「シオン…館…?」

その別館には看板がついておりそこにはシオン館と書いてあった。

少し古めだが綺麗な古風の平屋で縁側などもあった。

周りには色々な植物が咲いておりサザンクロス、サンスベリア、シオン、ジニア、ジンチョウゲ、桜、梅の木、楓の木、紅葉の木など綺麗に手入れされていた。

そうして俺は気になりそのシオン館にはいった。

「す、すいませ〜ん、誰かいませんか〜?」

だが反応はなく少し足を踏み入れると後ろから声をかけられた。

「あれ、お客さん?」

後ろを振り返るとそこには淡い水色の髪に緑の瞳、モノクルをつけた青年が立っていた。

「君…あ〜。噂には聞いてるよ。伊月の息子の伊織だね。俺の名前は陽辻青葉(ひつじあおば)。羊のキーパーさ」

すると青葉さんはくるっと回ると頭に角が生え服装が変わった。

「え、すご!?」

「ふふ、伊織は自分がキーパーって知ったの今日だもんね。びっくりすると思うけどこれがキーパーの本物の姿なんだよ。この服はほぼ体の一部でもあるんだ。そしてキーパーは皆異能を持っていてその異能を使って戦うんだよ。」

「異能…?」

「そう。伊織も持ってると思うよ。でもまだ知らないだけ。たとえば僕は…」

青葉さんは1つの紙に猫の絵を描き口でふっと吹き出した。

するとその紙に書かれた猫の絵が実際に猫として出てきたのだ。

「え!?」

「これは俺の異能のうちの一つ、紙吹(かみふき)と言う能力だ」

「へ〜!これって何でも出せるんですか!?」

「う〜ん、ものなら何でも出せるけどもう死んでしまった人や生き物は出せないんだ」

「そうなんですかぁ…。そういえば青葉さんは父と知り合いなんですか?」

「あぁ。何なら伊吹の親友だ。そして君の過去も知ってる。」

「え!?僕の過去を知ってる!?おしえてくれませんか!?」

「やだよぉ〜。そんなことしたら面白くないじゃん。」

「え〜」

「伊織、人生はね目標があったりするから前に進めるんだ。目指してたものや目標がなくなると人生はいきなり寂しくなる。僕もそうさ」

「そうなんですか…。」

「でも君には今昔の記憶を取り戻すと言う目標があるだろ!だからいいんだよ。で、伊織はどこまで覚えてるの?」

「えっと…父親の名前と父親がいたことだけですね…」

「そうかそうか〜。…ちなみに記憶があった時の伊織は自分がリーパーだって知ってたよ。」

「え、そうなんですか!?」

「あぁ。今のはほんの少しのヒントにしかならないと思うけど頑張って思い出しなね」

「わかりました」

「ちなみに先に言っておくけどさっき戦う時に使うとか言ったじゃん」

「あ、そうですね」

「リーパー同士の派閥で戦ったりするんだよ」

「え!?」

いや、そんなの聞いてない。

俺はただ単に警察から逃げてるだけなのに…!

「まぁでも大丈夫。伊織なら何とかなるよ。それに困ったときは俺を呼ぶといい。伊吹に伊織のことを任せられたからね」

「そうなんですか…」

「…ねぇ、他の家族のことは覚えてないの?」

「えっと…実は母親のことを覚えていなくって…」

「そっか…」

「お〜い!伊織君〜!どこ行ったんだ〜!」

外から宙さんの声がした。

「あ、宙さんだ!」

「お、じゃぁそろそろお別れだね」

「あの…!またここにきていいですか…!」

そうきくと青葉さんは少し驚いたような顔をしたがその後微笑みながら

「いつでもおいで。第二の家のように思ってくれて構わないよ」

と言ってくれた。

そうして俺は外に出て宙さんのところまで行った。

「どこに行ってたの?」

「あそこにあるシオン館です!」

「え、シオン館?そんなところあったけ?」

「え…でも目の前に…あれ?」

俺が振り返るとシオン館は跡形もなく消えておりそこに咲いていたのはシオンの花達だった。

「大丈夫?伊織君ちょっと休んだら?」

「…そうですね。そうします」

そうして俺は寮に帰り新しく置かれている自分のベットに入り寝た。

まだ2人は帰ってきてないようであった。

1日だけで色々なことがあったな。

考え事をしていると睡魔が襲ってきて俺は眠りに入ってしまった。


「おっはよ〜!いお〜!」

「うおっ!!」

そう言い飛び乗ってきたのは翼であった。

そしてその後あくびをしながら部屋にひーくんが入ってきた。

「いお、おはよ〜」

どうやら俺は知らぬ間にいおというあだ名ができたらしい。

「2人ともおはよう!」

「ねぇ、いお、ひーくん!朝ごはんにしよ!」

「せやね〜」

「ねぇ、朝ごはんってどこで食べるの?」

「寮のリビングにキッチンがあるからそこで食べるんよ!」

そうして僕らは下のリビングに行った。


「あれ?まだ誰も起きてないの?」

「ん?あぁ〜言ってなかったけどこの寮僕たちだけなんだよ!」

「そうそう〜」

「へ〜」

そんなことを話しながら俺たちは朝ごはんを作った。

作ったものはパンケーキと紅茶。

翼が好きらしい。

一口食べるとものすごく美味しくびっくりした。

だが…

「う〜ん、やっぱりヘルツじゃなきゃお腹減るねぇ〜」

「そうやな〜わいもヘルツ食べたいわ〜」

「…ねぇ、2人はヘルツを食べるのに拒否感とかってないの…?」

「「ん?」」

「あぁ〜、いおは元々人間やったからね〜。そりゃ食べたくないわな〜」

「たしかに!僕もリーパーのヘルツは食べたくないなぁ!」

「…でも、食べなきゃダメだよね…」

「「…」」

2人は顔を見合わせてきょとんとするとすぐににぱっとわらった。

「いお!大丈夫やで!ヘルツはリーパーにとってものすごく美味しいだけでリーパーも人間、ホモサピエンスやから普通の食べ物も食べれる!ただ普通の人間と違うのは異能が使えて寿命が長くてあと怪我しても再生するだけ、それと〜…」

「いや、ひーくん、それありすぎだから言わない方がいいよ!まぁ、リーパーでも普通の人間と同じ感じにスギしてる人いるから大丈夫!それにヘルツはいつか食べなきゃいけない時が来るかもしれないけれど今食べたパンケーキおいしかったでしょ?それはいおが普通の食べ物も美味しく食べれるって証拠だから心配しないでね!」

「う、うん!」

俺はそうの言葉を聞いてすごく嬉しかった。

そして2人いいやつなんだと心底思った。

「さてさて、今日はいつ食べれるのっかなぁ!」

翼はルンルンでスマホを見た。

「お!お昼頃だって!」

「ええなぁ」

「何が…?」

「「ヘルツ食べる時間!!」」

…やっぱり少し怖いかも…。


そして俺は朝食を食べ終わった後シオン館に行こうとしていた。

するとまた薄暗い道があり気になったのでシオン館に行く前に少し覗いてみようと思った。

するとそこにいたのは昨日あったオレンジ色の髪の男だった。

俺は昨日の体験がものすごく怖くあの男とはもう会いたくもなかった。

なので気づかれないうちに逃げようと思い後ろに足を出した。

「ねぇ、気づかないとでも思った?」

驚き振り返るとそこにはニコニコ笑った男がいた。

「う、うわ!!」

「驚かせてごめんね、シンデレラ!」

「シンデレラ…??」

こいつは一体何を言っているんだろう。

俺はちゃんと男だ。

リーパーになっても女にはならない。

「僕の名前は猫又妖(ねこまたよう)。名前の通り猫又のリーパーだ!」

「え、あ、はぁ…」

「ねぇ、シンデレラ!」

「いや、俺シンデレラじゃなくて伊織、白尾伊織」

「伊織って言うんだ!白尾って変な名前だね!あ…でも伊月さんの息子だから苗字もおんなじなのか!」

「…父さんのことしってるの?」

俺は妖に聞くのは少し怖かったが勇気を振り絞り聞いた。

「そりゃぁ、もちろん!白尾隊総隊長!白尾伊月なんて言ったらリーパーみんな逃げて行ったもん!僕は伊月さんの右腕だったやつの右腕だしね!」

「右腕の右腕って…」

名前だけ聞くと大層可哀想な感じに聞こえる気もするが相当な実力者なのはわかった。

今こうやってニコニコしているが何かしらの覇気を感じる。

恐ろしいやつなのだろう。

「ねぇ、伊織!僕らのボスに会ってみない!?」

「え…やだよ…怖いし……」

「伊月さんの子供ともあろうやつが何怖がってるの!!大丈夫、多分優しいやつだから!」

「多分!?」

「ほらいいから行くよ!」

そう言われ俺は妖に連れて行かれた。

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