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ユヴェールブラッティ  作者: 月島旭
抜け落ちた羽
13/41

授業参観日

-キーンコーンカーンコーン-

「今日は授業参観日かぁ…叶の家からは誰か来る?」

「う〜ん、わかんないけど兄さんが来るかも!」

「へ〜、どんな人?」

「性格は僕だけど見た目は祈を男性にした感じかなぁ」

「お〜、カッコ良さそう!」

「何それ、あんた私の事落とそうとしてるの?見た目なんか褒めちゃって…」

「違うよ!ごめんって!」

俺は初登校の日から叶と仲良くなってそこから祈ちゃんとはまぁまぁ仲良い感じだ。

席の近い人がみんな優しくてよかった。

でもあの日、凪が不知火をボコボコにした日から不知火はいつも何かに怯えていて俺たちには何もしなくなった。

「あ、そろそろ1時間目始まるよ〜!」

叶が時計を見てそう言った。

「やばい俺まだ教科書出してないや!」

そうして俺がロッカーまで行き教科書を取りに行くと誰かにぶつかった。

「わ、すいません!」

「いやいや、こちらこそすいまでん!」

俺が慌てて顔を上げるとそこにはどちらかと言うと祈にそっくりな顔のさっぱりした男性が立っていた。

「「あ、兄さん!

     お兄!」」

叶と祈が来てその男性のことを兄と呼んだ。

「あ、叶!祈!ちゃんと勉強してるか〜?」

「してるよ!祈は…」

「してる」

祈りが機嫌悪そうに答えた。

「あ、そうだ!この子は白尾伊織君、俺の友達だよ!」

叶が紹介するとその男性はこちらを向いた。

「いつもうちの叶と祈がお世話になってます!兄の狼部望(あわのぞむ)と申します!これからも2人をよろしくね!」

「あ、いえ、こちらこそ2人にはいつもお世話になってます!」

「いや〜、うちの伊織がお世話になってます〜、保護者の黒虎刹那と申しま〜す!」

「もう1人の保護者の角洞宙で〜す!」

「え、なんで2人とも来てるんですか!?」

すると座っていた翼と氷尾もやって来た。

「ええ、来られるのやだからプリント渡してなかったのになんで来るの〜!」

「ほんまや!もう恥ずかしいわ〜」

「三人の勇姿を見にきたのだよ!」

「そだよ〜!」

すると師匠は望さんの肩に手を置き何か囁いた。

「で、なんでお前がここにいる?」

望さんは表情ひとつ変えずに微笑んだまま師匠を連れ外に出た。


「いや〜、久々の再会なのに怖いじゃないか…刹那」

「で、今回は何が目的だ。ちなみに言っとくが当方の弟子に手を出したら…わかってるな?」

「ふふふ、相変わらず怖い怖い。ま、狙いは君の弟子だけどね……伊織君、すごくいい子だね。食べちゃいたいくらい」

「そうだろう。あいつはな…待てよ。お前もしかしてもう気づいているのか?」

「当たり前だよ。なんたって彼は僕らウェイバックの天敵だからね」

「あいつからはもう何も奪わせない。物も権力も金も友達も相棒も師匠も仲間も……家族も記憶もだ!!!」

「そうだね。君はそうやって守っておけばいいよ」

「守る?あいつは当方に守られなくたって大丈夫だ。当方は信じてるからな」

「そっかそっかぁ〜………相変わらずその透かした面はいでやりたいよ」


「あれ、ここどこだろう…」

休み時間、俺は校舎で迷子になってしまった。

ここ、狂華学園は敷地も広大で今日は授業参観日なので人も多く迷いやすくなっていた。

現に俺も翼と氷尾と歩いていたが逸れてしまいいきなり人気のないところに来た。

「ん?教室?1-Σ?数字じゃないのかな…」

「あれ?君どうしたの?誰か待ってるの?」

そういわれ振り向くとそこには僕とほぼ同じ顔の子が立っていた。

「え、か、顔…」

「……どうしたの?俺の顔に何かついてる?」

「い、いや、なんでもないです。あの…このクラスって…」

「あぁ、このクラスは狂華学園の特待生クラス、Σ(しぐま)クラスだ。」

「そうなんですか…あ、そうだ、俺友達といたんですけど逸れちゃって…」

「あぁ、今日は授業参観日だしね。多分僕の家からも何人か…あ、鷹野さん!」

彼が向いた方を見るとそこにはこの前依頼して来た男性が立っていた。

「あ、伊浪斗さん!授業がんばってますか〜?それと、あなたは昨日の……」

俺は震えた。

普通に考えておかしい。

娘が森に連れ攫われたはずなのに普通に知り合いの授業参観に来てこんなにニコニコしてるだなんて…!

それに師匠が言っていた。

「あいつには気をつけろ…」

がどうしても頭の中に残る。

そうして俺は足を一歩引きその男の子に声をかけさった。

「あ、ごめん、ちょっと急がなきゃ。じゃぁね」

「あれ、もう行っちゃうの?またね」

男の子は微笑んで俺に手を振ったが色々考えた後にその男の子の微笑みを見るととても不気味だった。


その頃翼は__

「あっれれ〜?2人はどこに行っちゃったんだろう…。この学校無駄に広いから疲れるしわからないしもうやだ〜」

翼は全く人がいない校舎の端っこまで来てしまっていた。

すると誰かが翼の目を手で覆い隠した。

「だ〜れだ!ヒント!君のことがダァ〜い好きな人!」

「珠羽…!?」

翼は手を振り払いその人物の顔を見た。

その人物は珠羽であった。

「ふふふ、本当はボスのこと見に来たんだけどまさかここに翼までいるなんて知らなかった!僕ってラッキーだね…!」

「やだ…やだやだやだやだ!!」

翼が逃げようとすると珠羽は翼の背中を思いっきり引っ張った。

「ぐわぁぁぁぁぁ!!!!」

途端に翼の背中から大きな羽が出て来た。

「痛い、痛い、痛い、痛いよ…やめてよ…!」

「ふふふ、翼、僕の羽見たことある?僕の羽はね、鳥のリーパーの中でも1番美しいっていわれてて連れ攫われて競売にかけられそうになったことだってあったんだよ。でもね、この羽は僕でも他の誰でもない。君だけの羽なんだよ。だから翼の羽は……僕のものってことでいいよね」

「やめろ!!!」

どこからか氷尾が現れ尻尾で思いっきり珠羽のことを跳ね飛ばした。

「チッ……いってえなぁぁぁ!!!」

すると珠羽から細長い尻尾が現れ氷尾を思いっきり壁に打ち付け、首を絞めた。

「ぐ、がはっ!!」

「氷尾!!!」

そこへΣクラスから逃げて来た伊織がやって来た。

「なぁんだ。エラ様か。エラ様でも容赦はしないよ。」

「な、なんだ…あの生き物は…!!」

珠羽の姿は四足歩行で白くなった髪にガラスでできたような翼、そして細長い尻尾が生えていた。

「いお…珠羽は…鳥のリーパーなんかじゃない…珠羽は……グルフォンのリーパーだ…」

「僕をとりごときと一緒にしないでもらいたいね」

そういい珠羽はニヤリと笑った。

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