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ユヴェールブラッティ  作者: 月島旭
どんな君でも思いは変わらず
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これは…誰の記憶だろうか…

「はぁ、ぐぁ、うぅ、ぐぅ!!はぁ、はぁ、食べ…たい…!食べた…い!食べたい!!!」

え…?俺…?

そこに写っていたのは化け物姿の自分。

血に塗れ逆だった尻尾、むき出しになった八重歯、びくびく動いている小さい耳。

建物のガラス越しに見た時それはハクビシンなんかじゃなくただの狂った化け物であった。

誰なんだ…これは一体…。

「伊織!!!目を覚ませ!!お前は何を食ったかわかっているのか!?」

夢だからか体言うことを聞かない。

ふと視線を落とすとそこには…

脇腹にぽっかり穴の開いた父がいた。

「え、え、え、ちがう、ちがう、俺はやってない、やってない、ちが、ちがう、父さん、父さん!」

「おいおいマジか…伊織…お前今の自分の顔見てみろ」

青葉さんに言われ自分の顔を見ると表情は満面の笑みであった。

「え、なんで、はは、ははは、ははははは、うっはははははは!!!!あはは!!う、うぅ、うぅ!」

「伊織…?伊織!まずい!伊露伴(いろは)!伊織が壊れてきてる!」

「伊織!」

この女の子は誰だろうか…俺は会ったことはないがどこか…。

俺は手が暴れるのを抑えられず青葉さん、伊露伴さんまでも傷つけた。


「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」

「そうしたのいお!?」

「大丈夫か!?」

悪夢から飛び起きるとそこには心配した表情の翼と氷尾がいた。

「すっごいうなされてたよ…」

「…なんかお腹が減ったとかいっとったけど大丈夫?」

「大丈夫…ねぇ、リーパーってヘルツを食べなきゃ飢餓状態になったりするの?」

「う〜ん、たまにあるらしいけどねぇ〜、でもごく一部のやつしかなんないよ!あ、でもブラッティは飢餓状態になってたよ!それで街を幾つか更地にしてそっから行方不明…って言う噂。いろんな噂があって殺されたとか自殺したとか行方不明とか警察の特殊部隊に捕まったとか本当はブラッティがやってないとか…」

「へ〜」

でも僕はなんであんな夢を見てしまったんだろう。

不思議だな。

「せや、今日であの事件から2年目やね。ブラッティの更地事件」

そういい氷尾はテレビをつけた。

テレビでは丁度ブラッティの事件についてやっており被害者の遺族たちは話していた。

『ブラッティのことをどう思いますか?』

『ブラッティ…名前も聞きたくないですが皆様にもリーパーの恐ろしさを知っていただきたい。ブラッティは私の母と兄を食べました。その日、私の家には母と兄と父、家族みんないました。ですがいきなり家が吹き飛びあたり一面が血の海になりました。私と父は幸い助かりましたが兄と母を見つけた時、ブラッティは母と兄のヘルツを眺めながら一気に食べました。あの時の光景が私にとっては地獄よりも地獄で、できることならブラッティを…!!』

『ブラッティを?』

『この世から消したい…!!』

すると氷尾がテレビを切り気まずそうに謝った。

「ごめん、なんや朝から重いわなぁ。さ、今日もがんばろか」


今日は依頼主がきていた。

「娘が森に連れ去られた?」

「はい…」

依頼主は40代後半くらいの女性でとあるたぬきのリーパーに娘が連れ攫われたらしい。

娘の名前は草壁美穂(くさかべみほ)ちゃん。小学に5年生、11歳だそうだ。

攫われたのは6日前、依頼主さんは話している間今にも泣きそうな表情をしていた。

「そうだ、伊織、お前今回1人で行ってこい。良い機会だしな。ちなみに無理は無しな」

「はい…」

そうして俺は1人で依頼をこなすことになり病院から出て指定された森に向かっているとどこからともなく背後に凪が現れた。

「うおっ!びっくりしたぁ!」

「依頼?俺も行くよ〜」

「え、いいの!?」

「いいよ〜!相棒の手伝いだしね!」


そうして俺たちは森に着き森を彷徨っているとチンピラのような男たちが数人現れた。

「おいおいお前ら、来る場所間違ってるんじゃねえかぁ?俺たちは本物のリーパーだぞ!?」

めんどくさいのに絡まれたと思い俺が困っていると凪が一歩前に出た。

「へ〜、君たちなんの動物?なんの能力?どう言う技を使うの?今まで幾つのヘルツを食べてきた?人のさき方は?今まで見て1番感動した花は?」

「は、え、え…っと……」

「………君たち本物のリーパーじゃないでしょ。本物っていうのはね、こういうことを言うんだよ」

すると凪からいきなりとてつもない覇気を感じ身体中に鳥肌が走った。

「う、う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!ほんものだぁぁぁ!!」

するとチンピラたちは尻尾を巻いて逃げていった。

「いや〜、お見事お見事。さすが私の弟子」拍手をしながら1人の男が現れた。

黒髪に白いメッシュ、茶色い瞳であった。

凪に肩を組み寄りかかった。

「あ、そうかそうか。俺のことは忘れてるのか。しょうがない、自己紹介だ。当方、黒虎刹那(くろとらせつな)ともうしてのう。記憶を失う前の伊織、君の師匠だ」



「……師匠?」

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