神様に報酬付きで頼まれたお仕事
会社への通勤中に馬鹿な学生の馬鹿騒ぎにより線路上に付き落とされて電車に跳ねられ死んだ私は気がつくと真っ白な部屋で神様にお仕事を頼まれていた。
「神殿と王家の傲り具合を確認するための仕事を頼まれてくれないか」
「どんな仕事ですか」
「大聖女として転生して神殿と王家の対応を見て私が対策を考える為の情報が欲しいんだ」
「辛い仕事みたいで私に得が無いんですが」
「仕事が済んだ後の来世は平和な国の大貴族の令嬢として産まれ生涯楽しく暮らせる人生を約束しよう」
「反対しても無駄そうなので引き受けます」
「それでは転生して仕事を頼む」
そうして私は転生する。
意識を取り戻すとそこそこの規模の商店の後を継いだばかりの跡取り息子の娘として大切に育てられている記憶が受け継がれる。
しかし、暫くすると父の年の離れた弟が雇った悪人による押し込み強盗で母親の機転で隠された私以外の家族全員が殺され私は孤児として孤児院へ追い出される。
そして孤児院で暮らしていると聖女判定の年に為り判定を受けると大聖女の認定を受け神殿に入れられる。
すると大聖女は私なのに大貴族の数人のかすり傷を治すのが精一杯の令嬢が大聖女として発表された。
そして私は数人の新人聖女と一緒に先輩聖女と一緒に治療に行く。
食事などが済み部屋に戻ると同室の聖女と話をする。
「今日も貴族のお屋敷に治療に回って移動で疲れたわ」
「私は高位貴族の運営する孤児院だったから移動は楽だったけど数が多くて疲れたわ」
「大聖女様や貴族出身の聖女は王城で王様の腰痛や王子様のかすり傷の治療だそうだから楽そうね」
「そういえば私達平民出身の聖女は四人部屋だけど貴族出身の聖女は個室で侍女も付いていて食事も貴族用の食堂で豪華らしいわ」
「街に居た頃は聖女は市民の治療で街を回っているって聞いてたけど、私達は健康だから見たことが無いだけだと思っていたけど全く誰も治療に行かないわね」
これが神様の言っていた本当の情報かしらと思っていた。
そして神への感謝を送る儀式の日が来た。
まずは神官長が神への感謝の言葉を述べようとすると突然空にオーロラが現れ私以外の人が動けなく成ったようで神官長や王族に貴族そして一般市民の観客が騒ぎ出すと神の像から神の声が響き渡る。
《私は大聖女や聖女を授けている神だが何故全ての愛し子の為の聖女の力を受けられるのは多額の献金を出来る者のみになって居るのか答えよ神官長よ》
「・・・」
顔色を青くさせて一言も喋れない神官長。
《そして私が神託を下した上授けた大聖女が只の聖女扱いで聖女として失格な者が何故大聖女と言われて居るのか答えよ神官長》
「・・・」
更に顔色を青くして一言も喋れず息も乱れ出す神官長。
騒ぎ出す一般市民。
《答えれぬならここに私は悪意ある者に天罰を下す》
焦り騒ぎ出す会場の人々。
《まずは自分の懐を暖めている神官長と大神官の殆んどの者》
そして神官長と20人いる大神官の内の19人に天罰の雷が落ちる。
更に騒ぎ出す会場の人々。
《続いて大聖女や聖女の身分を肩書きの一部として大金を裏金として渡した大聖女と聖女にその親や教えた王に天罰を下す》
そして貴族の大聖女や聖女とその親に、そして唆した王様に天罰の雷が落ちる。
《これにて神の意思に逆らった者への天罰は終わるが今後はこの様な事を起こさぬ様に》
そう神が話し終えると同時に会場の人々が動ける様になる。
そうして清貧を貫いた大神官が神官長になり私を大聖女に任命して寄付を納められない一般市民まで聖女の力を受けれる様に改革をした。
天罰により亡くなった王の跡を継いだ王太子は正しい教えを貴族と市民に学ばせた。
次の聖女が選ばれるまで忙しかったが翌年から誕生する聖女は増えた。
それから月日は流れ私は能力が衰え出すまで大聖女として働きその後は孤児院の院長として働けるだけ働いた。
そして来世は楽しく暮らせるのだと思いながら笑顔で多くの人達に見守られながら旅立った。