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ウィッチ・コントラクター  作者: ねぎとろ


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27話 『奇襲』

「――これは、魔法少女の戦いの後かしら?」


「霧香、ちゃん......」


「瑠奈!? もしかして貴方が!?」

「......うん。私が殺したよ」

「そう。頑張ったのね」


「でもね、霧香ちゃん。私なんだか自分が怖くなってきてるの。魔法少女と一人で戦っているとき、途中から冷静に物事を考えられるようになっちゃって......。もしかして私って冷酷無比なんじゃないかって......」


「大丈夫。貴方は冷酷なんかじゃないわ。きっと戦いのセンスがあるのよ。だから、戦闘中でも冷静でいられる。これって凄いことよ? 大丈夫だから、ほら、私の手を取って立ちなさい。家に帰ってまずは血を洗い流すわよ」


 霧香に励まされ、殺し合いで冷たくなっていた私の心は暖かくなっていき、虚ろな目をしていた私の目にも光が戻った。


「――霧香ちゃん?」


 そして、伸ばされた霧香の手を掴もうとしたその時、霧香の手は寸前で消え、次の瞬間には地面を転がっていた。

 何が起きたのかは速すぎて見えず、結果として空を掴むことになった私は、痛む体を無視して霧香の元へと駆け寄った。


 (霧香ちゃんは変身してなかったし、さすがに今のは死んじゃったんじゃ......)


 自分の中に浮かんだ考えを取り除こうと私は首を振る。


「......はぁはぁ、霧香ちゃん! 大丈夫!?」

「えぇ、問題ないわ。そろそろだと思っていつでも変身できるようにしといたのよ。ただ、さすがにさっきの攻撃全てを受け流させたわけじゃないわ。――ごぼっ。はぁ、血を吐くなんて私らしくないわね」


「霧香ちゃん!?」


「心配無用よ。それよりも貴方はまだ戦えるかしら? さすがに今回の相手は私一人だと分が悪いわ」


「あっちゃー。生きてるよね、やっぱり。なーんか感触が違ったからさー。ま、でもある程度ダメージは与えられたみたいだし、うんうん。奇襲は成功ってことで!」

「えっ......」


 霧香の睨む先、そして私が何度も聞いた声。楽しそうに笑うその顔は紛れもなく私の会いたかった胡桃だった。


「んー。おかしいなぁ。瑠奈ったらもしかして私って気付いてない? おーい! 胡桃だよ~、瑠奈を殺しに来た胡桃だよ~」

「反応しては駄目よ。貴方とあの子は敵同士。ここで情を見せちゃいけないわ」

「で、でも、私のことを助けてくれたし、今回も本気で戦う気なんてないのかもしれない――だから、私少し話してくる!」


「――馬鹿! やめなさい!」


 霧香の忠告を無視した私は手を振る胡桃へと近づいていき、話しかけた。


「久しぶり、じゃないよね。胡桃は私のことを助けてくれたし。ねぇ、どうして胡桃は私のことを助けてくれたの?」


「えー、そんなの瑠奈が胡桃の友達だからに決まってるじゃん! 胡桃はねー、こうしてお互いに魔法少女になって良かった~って思ってるよ! だって、本気で殺し合いが出来るんだもん! 瑠奈も胡桃の言いたいこと分かるよね?」


「ごめん。私には分からないよ。どうして友達同士で殺し合うのに喜べるの!?」


「そんなの決まってるよ! 胡桃が瑠奈を殺せば一つになれるからだよ! ほら、瑠奈も胡桃と一つになりたいでしょ?」


 分からない。胡桃の言っていることは私にはなんにも理解できない。目は正常だし、狂っているようにも見えない。

 でも、本気で私を殺そうとしている事は分かる。


 (胡桃の篭手、少し変わってる)


「ねぇ、そんなに胡桃の事を見てくるならもう始めても良い? そろそろ待ちきれなくなってきちゃった」

「っ! 瑠奈、離れなさい!」


 服装に見合わずシンプルな篭手は、私に迫るその瞬間に姿を変え、間一髪霧香の声で避けた私に追撃を仕掛けてきた。

 その追撃は爆発。火花が散るように一瞬光り、人一人を簡単に飲み込む程の爆発が私を包みこんだのだ。


「あれ~? もしかして死んじゃった?」


 幸いなことに、なんとか胡桃の初撃を回避することが出来たが、それでもギリギリであったことに間違いはない。

 それに、当たっていれば確実に致命傷を負っていた今の攻撃を見れば、本当に胡桃が私を殺すつもりだと理解出来た。


「胡桃はやっぱり私を殺したいんだね。でも、私はやっぱり殺せない。だから! 胡桃の事は捕まえる!」

「はぁ......瑠奈はどこまでいってもお人好しだね!」


 まるで瞬間移動したかのように素早く移動した胡桃は、瞬く間に私の背後を取り、今度は篭手に雷を纏わせながら拳を振り抜いた。

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