表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ウィッチ・コントラクター  作者: ねぎとろ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

18/47

18話 『異形との戦い2』

 カツン。カツン。と私たちの歩く音が響いていく。

 既に外は暗くなり、月明かりだけを頼りに私たちは廃工場を歩いていた。


「ぐすん......。まさか今日討伐する対象がこんなに遠いなんて思わなかったよ......」

「あの時間から移動を開始したのだから遠いことくらい理解しなさい。それと、先に言っておくけれど、今日の異形は前回とは比にならない強さよ。まぁ、その分魔力もある程度補充出来るから遠慮なく戦いなさい」


 霧香の言葉に頷いたあと、ようやく私たちは異形の元へと辿り着いた。


 さっきまでは真っ暗だった場所とは違い、広い空間に加えて、窓から入り込む月明かりでこの場所だけは明るくなっていた。


 そして、そんな明るい場所の中でも一際輝いていたのが、今回討伐する異形の存在だった。

 月明かりに照らされたその体は、タコのようにうねうねとしており、体は黒くテカっている。

 大きさは前回よりも面積的には大きく、生えている一本一本の触手は自在に動き回っていた。


「さ、後は貴方の出番よ。私は少し気になる場所があるからそっちを見てくるわ。もしも死にそうになったら私を呼びなさい。声が聞こえたら助けに戻るわ」


 それだけ言うと、私が返答するよりも早く霧香は素早い身のこなしで窓から出て行ってしまった。


「うん! 私も一人で倒せるように頑張る!」


 セリフで霧香に迷惑を掛けないように、私は恐怖であまり見ていられなかった異形の存在へと目を向け、指輪へと力を込めて魔法少女へと変身した。


 しかし、私の変身は途中で破られることになった。

「えっ?」


 そう。この世界はアニメなんかの世界ではないのだ。例え魔法少女という存在が非現実的であろうとも、この世界において変身中に攻撃をしてはいけないルールなどない。

 だからこそ、私は眩い光に包まれている中でも異形の触手による攻撃を受けてしまった。


「はな......して......」


 触手は私を絞殺さんとばかりに首を絞め続け、私は次第に声も出せず、全身に力も入らなくなっていった。


 (折角霧香ちゃんに心配掛けないように、頑張ろうと思ったのに......)


 声の出せない今、霧香へと助けを乞う事も出来ない。そして、徐々に徐々に強くなっていく触手の力にも抗えない。

 最早私の命はたった一回の油断による失敗で尽きようとしていた。


「ギャアアアアァ!」


 命が尽きる、そんな時だった。

 私を巻き込まないようにと、触手だけを狙った何かが私を掴んでいる触手を千切ったのだ。


「うっ......ゲホッ、ゲホッ。はぁはぁ。な、何が起きたの?」


 触手から解放され、地面へと投げ出された私は、息を整えた後に私を助けてくれた人を探した。

 けれど見渡す限りに人影はなく、私を助けた存在は分からなかった。


 (私に一瞬だけ見えたのは爪のような斬撃が飛んできた瞬間だけ。霧香ちゃんっていう可能性はあるけど、ううん。きっとあれは霧香ちゃんじゃない。でも、それじゃあ一体だれが私を助けたの?)


「ギャアァァア!」

「今は考えるよりも異形を倒さないと!」


 触手が千切れ、痛みによるものなのか、辺りを全て破壊しようとするほどに暴れまわっている異形の存在。

 しかし、これこそがチャンスだった。今の異形の存在は私に注意を向けていない。だから、私はこうして変身することが出来るのだ。


「次こそは失敗しないんだから! 助けられたこの命、無駄にはしない!」


 私は魔力を集め、手に収まっているキューブへと込める。

 やがて、集まった魔力によって肥大化したキューブは暗い夜を照らすかのように輝き始めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ