婚約破棄後の波乱
婚約破棄を告げてから早くもひと月が経ってしまった。
それでも僕の日常は以前と変わらなく過ぎてゆく。
シルビアとは、友人として前と同じく普通に接している。元々恋人ではなかったのだから、態度に変化がでる訳もない。
破棄する前も、今もただの友人なのだから。
ただ婚約者という肩書きが消えただけ。シルビアを僕へと縛るものが無くなってしまっただけだ。
何も変わらない日常といったが、僕をとりまく環境だけは変わってしまった。
エディスは深い息をつく。
呆れを通り越して、もはや不快である。
ルオークのサポートの為のいつもの昼食会にオーク、ナイル、カトリーヌと食事をしていたところ、ご一緒させて下さ〜い、と了承も得ず女子生徒が2人勝手に席に着いてきたのだ。
さすがに唖然としている3人を物ともせずに、キャッキャと騒ぐ女子生徒2人に怒りすら覚えてきた。
こうなっている原因は僕だ。
「ちょ、ちょっと突然何なんですか?」
カトリーヌが2人へと言うと、2人はカトリーヌを見てクスクスと笑った。
「あら、カトリーヌさん。いい男を3人もはべらしていい身分ですこと。変な噂にならないよう、他の女性がいた方がいいんではないかしら?そうでしょ?」
「私達、同じ教室の友達でしょう?まさか男性達を独り占めしたいなんて、はしたない考えはしてませんわよね〜?」
明らかな挑発の言葉に、カトリーヌはムッとする。
「あなた達となんて友達じゃないわ!こんな事して非常識なのはどっちよ!?」
「やだ、怖〜い。殿下〜…………」
エディスへとすがろうとした女子生徒は、自分に向けられた冷ややかな瞳に言葉を失った。
「気軽に話しかけないでくれる?こんな真似をして僕が君達を受け入れるとでも?良識もなければ、常識もないんだね。僕の婚約者の座を狙ってるんだろうけど、こんなやり方しか出来ない馬鹿を選ぶと本気で思ってるの?」
この昼食会に割り込まれたのはこれで3回目だ。前の2回はやんわりと断っていたのを知ってて、甘く見られたのかもしれない。
シルビアと婚約してた時と同じ僕のままじゃ駄目なんだ。
僕の生活にまで無理矢理入ってこようとする彼女達をこのままにはしておけない。その為には、優しさだけじゃ駄目だ。
「だいたいカトリーヌを目の敵にしてるけど、カトリーヌの可愛さに勝てると思ってる?身の程を知らないのはどっちだろうね」
わざとらしくため息をついてみせる。
2人の女子生徒は青ざめ無言になっていた。
「それによくその見目で僕の隣りにいようと思うね。頭も要領も悪いくせに、自己評価は高いのかな。差も明らかだし、恥ずかしくて僕は連れて歩きたくないな」
ニッコリと笑顔を向けると、2人はガタッと席を立った。
そして、何も言わず逃げるように駆けて行ってしまった。
「お〜、殿下辛辣〜」
ナイルが可笑しそうに笑う。
「あんな言い方して大丈夫か?」
ルオークは心配そうだ。
今まで僕が作ってきた優しく紳士なイメージと違うからな。
「いいんだ。非常識な令嬢達に気を使うだけ損だって分かったから。これ以上酷くなる前に歯止めをしておかないとね」
本当に食事くらいゆっくりさせてほしい。
「いいんじゃないか。殿下これまでも俺には辛辣だったよね?ニコニコ王子様みたいに微笑んでるより、そっちが素でしょ」
何故か嬉しそうにナイルが言った。
「本物の王子ですけど。僕は基本紳士なんですよ。ナイル先輩は敬う気持ちがなかったので、本音が漏れたんでしょうね」
「おい、俺の扱い酷いな」
ぶつぶつとナイルが文句を言い始めたが、それは無視して大人しくなったカトリーヌを見ると頬に手を当て顔を赤くしていた。
「僕のせいで気分を悪くしてごめんね。これからは、ああゆうふざけた真似が出来ないよう強く言うから」
「いえ、あんな失礼な人達の事なんて気にならないです。それより、あの………私可愛いですか?」
「うん、可愛いよ」
エディスはカトリーヌへと微笑む。
誰が見ても、他の女子とは別格の可憐で可愛いらしい女の子だろう。
「エディス様もそう思うんですね。皆んなの前であんな…………、でも嬉しい。ありがとうございます」
嬉しそうに頬を染め笑ったカトリーヌを見て、嫌な予感がした。
あれ?僕は対応を間違ったか?
これは、ちょっと……………。
「カトリーヌちゃんはすっごく可愛いよ。さっきの子達は全然普通で足元にも及ばないよね〜」
ナイルもカトリーヌを褒めたが、カトリーヌはしらっとした目でナイルを見る。
「先輩には聞いてないんですけど」
「皆んなして俺の扱い酷くない?」
嘆くナイルは無視して、ルオークに目をやると案の定もやもやとした顔をしている。
ナイルまで、とはいかなくても褒めたりとかもっと積極的にいけばいいのに。
性格上難しいのだろうが、少しもどかしい。
僕が仲を取り持つのもあまり良くないのかな………。
でも、そうでなかったらルオークから行動しないだろうし。それとも僕抜きで、ナイルにガンガン行かせたら、ルオークも動くのか?
けど、カトリーヌはナイルに好感抱いてるふうでもないからな。
あーもう、ルオーク!お前の事だろ、しっかりしろ!
自分の事だけで精一杯の時に、人の面倒を見ていられる余裕がない。
今でもふとした時に、嵐のような激しい感情が襲ってきて叫びだしたくなる。平静を装いながら、まだ心の整理が出来ていない。
ああ、1人になりたい…………。
――
「それでさ……………聞いてる?」
少し強めの口調にハッと我に返った。
ヤバい、ボーっとしていた。
「ごめん。最近眠りが浅くて…………」
いろいろ考え過ぎてしまうのか、寝付きも悪ければ眠りも浅く、こうして日中に眠気がきてしまうのが困りものだ。
僕を見る心配そうなシルビアに思わず見入った。
青い宝石のような瞳が僕を映している。僕だけを見つめるその凛とした美しい顔。
無性に抱きしめたくなって、伸ばしかけた手をギュッと握った。
未練がましい。全然心の整理なんて出来てないじゃないか。
「エディス、大丈夫か?」
「平気だよ、後で少し休む。それで、生徒会の話だっけ?」
シルビアの視線から逃れるように、目を逸らす。
「ああ、僕はエディス達より1年早く卒業するだろ。僕のいなくなった後、学園長に対抗できるくらい力を持ったのってどう考えてもエディスしかいなくて、生徒会長を引き受けてほしいな〜って話をしてたんだけど………」
言いづらそうにシルビアは言った。
この生徒会は確かにシルビアだから出来ていた面が大きい。生徒の為にはなるが、学園側との対立は必須だ。こんな生徒会の会長なんて誰も引き継ぎたくないだろう。
「いいよ、別に」
「えっ!?そんなあっさり………。自分で誘っといて何だけど、本当に大変だぞ。今すぐじゃなくていいから、もっとよく考えた方が…………」
「だから、いいよ。時代も変わってきたし、貴族や平民を差別するやり方も、学園側本位の考え方も見直した方がいいと僕も思うよ。シルビアがここまでやってくれたなら、残りは僕が引き継いでもいいかなって思ったまでだよ」
「エディス〜、ありがとう!卒業までは僕が会長でやりやすい流れを作るように頑張るからね!って事で2学年になったら生徒会に入ってほしいな〜、なんて!」
「いいよ」
「いいの!?もっとよく考えないで大丈夫!?」
驚いた顔のシルビアに、ふっと笑ってしまう。
シルビアはいつも全力で忙しそうだ。その姿さえも輝いていて、いいなぁ、今だにそう思ってしまう。
「ちゃんと考えてるから大丈夫だよ」
「眠くて頭働いてないんじゃないの?」
いくら何でもそれはない。
シルビアには悪いけど、これも打算だ。
教師の言いなりにならない、生徒の為の力を持った生徒会の基盤をシルビアが作ってくれた。それをそのまま貰えるのだ。
僕には王太子としての発言力と力もある。今後の実績作りや、いろいろと行うのに使い勝手が良さそうだからだ。
それに今後、役に立つ貴族や信頼出来る者をふるいにかけるのにも役立つだろう。
シルビアの掲げた生徒の為というのは生かしつつ、僕の代になったら好きなようにやらせてもらうつもりだ。
「僕もシルビアの力になりたいんだよ。じゃあ、2学年になったら生徒会に入るね」
ニッコリと微笑むと、シルビアは感動で瞳を潤ませた。
「エディス〜、もうギュウしたい!いい男過ぎる!」
バッと両手を広げたシルビアに、エディスは無言になった。
これは困る。さすがに平静ではいられなくなる。
僕の気も知らないからこんな事できるんだろうけど、今の僕には残酷すぎるよ。
「また近くなったら、詳しく話してね。僕はもう行くよ」
それだけ言うと、シルビアを残し逃げるように足速にその場を立ち去った。
欲しい。欲しくて堪らない。まだこんなにも欲しい、全然諦めなんてついていない。
足速に歩いていても、僕に気づいた女子生徒が話しかけてこようと近づいてきた。
「邪魔」
低く押し殺した声で言うと、女子生徒の足が止まる。
きっと今凄い顔をしてるだろう。
毎日毎日、うるさくて、鬱陶しくて堪らない。
僕の意志など関係なく、周囲を飛び回る小虫ども。
本当に欲しいものは手に入らないのに、どうでもいい奴らばかりが無理矢理に僕の側にいようとする。
心を落ち着けたいのに、1人になりたいのに、それさえも邪魔されていい加減うんざりだ。
ストレスが溜まりに溜まって不眠にもなってしまった。
外に出て、校舎の裏の奥の更に奥の方まで行った。
そこにあるベンチに座り、ようやくひと息ついた。
誰もいない空間。シンと怖いくらいに静まり返っている。
そこに静かに降る雪が地面に落ちては魔石の暖かさで溶けていった。
学園の外側では、膝くらいまでの雪が積もっている。
これから雪の降る量も増え、毎日の積雪で高い壁のようになっていくという話を聞いたが、まだ見た事もないので想像も出来なかった。
吐く息は白いけど、学園内のあちこちに埋められた魔石の暖かさで、そこまで寒くは感じなかった。
静かでとても落ち着く…………。
エディスは瞳を閉じ、周りの音に耳を傾けた。
雪の降る音、木の枝から落ちる雪の音くらいしかしない。
最近では、誰も来ない1人になれる場所をいくつか探して、こうして時々来ていた。
冬期休暇が明けてから、非常識な令嬢達が毎日のように強引なやり方で近づこうとしてくるのにはもう疲れてしまった。
他の男子生徒と話してても無理矢理混ざってくるし、わざとぶつかってこようとしたり、目の前で物を落とされたり、とにかくあらゆる方法で関わろうとしてくる。
こんな事されて好感なんて持つはずがない事も分からないんだろうか。関わりさえすれば、恋に落ちるような見た目でもあるまいし。
まぁ、関わらなければ何も始まらないと言えばそうなのだろうが、手段が悪い。
僕に関心を持ってほしければ、見ずにはいられない程の魅力でも身につけてきてほしい。
例えば、誰も見てなくたって、一生懸命に楽しそうに取り組む姿はとてもキラキラと輝いて見えるし、いつだって前向きで困難に立ち塞がっても、諦めない強い心と、道を切り開いてく姿は眩しいくらいなのに、強いだけでなく、ちょっと調子に乗って道を踏み外したりする可愛いところもいっぱいあって、すっごく楽しそうに笑う顔なんて大好きで……………ってこれはシルビアの事だな。
あー、もう、女々しい男だ、僕は。
「エディス様」
不意にかけられた声に、エディスは思い切りビクッとした。
誰もいないと思って、完全に気が緩んでた。
目を開けると、少し離れた所にカトリーヌが立っていた。
何でここにカトリーヌがいるんだ?こんな奥まったとこなんて、用がなければ普段来ないだろう。人を撒いてきたのもちゃんと確認した。僕はこの場所を教えた事もない。
「あの、隣りいいですか?」
そう聞かれ、断る理由もないので頷いた。
隣りに座ったカトリーヌは、じっと僕の顔を見つめてくる。
「何?」
「エディス様、最近皆んなに追いかけ回されてお疲れのようだから心配してたんです」
「そうなんだ、ありがとう」
お礼を言いはしたが、わざわざこんな所に来てまで言う事か?と思ってしまう。気をつかってくれるなら、そっと1人にしておいてほしい。
「婚約破棄になってから、貴族令嬢の方達の行動は酷すぎますよね。エディス様の気持ちなんて全く考えてない。自分勝手で恥知らずな人達だわ」
う〜ん、それも今ここで聞くような話じゃないかな。
昼食の時でいいよね。
こんな場所まで来て、1人でいたいって察してもらえないかな。
「私、エディス様の力になりたいんです」
真っ直ぐに、下から見上げる瞳が潤んでキラキラと輝いていた。
「私では駄目ですか?力になれませんか?」
ほんのりと頬を染め、僕を見る瞳には熱がこもっていた。
これは………マズい。
自惚れかもしれないけど、カトリーヌは僕の事を…………。
「私、もっとエディス様の事を知りたいし、私の事も知ってもらいたいです。私はこれからもあなたと……………」
「ごめん!今とても疲れてるんだ。悪いけど、少し1人にしてくれないか?」
言葉を遮り、エディスは視線をカトリーヌから逸らした。
何でこんなややこしい事になるんだ。
ルオークがまだ告白もしてないっていうのに。
「あっ………ごめんなさい。じゃあ、また今度にしますね」
カトリーヌはベンチから立ち上がると、エディスへと微笑んだ。
「愚痴でも、些細な事でもいいのではき出すとスッキリしますよ。誰にも言わないので私に力にならせて下さい」
それだけ言うと、カトリーヌはペコッと頭を下げてからタタタッとかけて行った。
いや、参った。どうするか、これ。
でも直接的な事を言われた訳じゃないから、気づかない振りでルオークの告白まで持ってくしかないな。
そう考えてると、ジャリと靴の音がし、ハッとしてそちらを見るとルオークが立っていた。
「ル、ルオーク!?」
何でここに?そんな分かりやすい場所じゃないだろ?
「……さっきさ、カトリーヌを見かけて声をかけようとしたらどんどん奥まった方に行くから思わず着いてきちゃったんだけど」
「えっ……そ、そうなんだ」
じゃあ、初めからカトリーヌはこの場所を知ってて迷いなく来たってことか?と、いうか………。
「聞いてた?」
尋ねると、ルオークは無言でコクンと頷いた。
あー、聞いてたのか。そうか、そうなのか…………。
でも、ハッキリと言われた訳じゃないから、鈍感なルオークなら誤魔化せたり………。
「まぁさ、誰が誰を好きになろうが自由だよな」
ああ、そこは察しがいいんだ。
けれど、ルオークは落ち込んでるふうでもなく、平然としながら僕の前に立った。
「誰を選ぶかは相手の自由だよな。でも今はこうでも、最後にはどうなるかは分からないだろ」
「ああ、ルオークにしては前向きな意見だな」
カトリーヌの気持ちが分かって、逆にやる気になったのか?
「凄いお節介でエディスが嫌がる事も分かってるけど、あえて言わせてもらう!シルビアに告白しろ!」
突然何を言うかと思えば…………。
驚き過ぎて言葉が出ず、唖然とルオークを見つめた。
「やっぱりいつも通りじゃない、お前変だよ!こんな中途半端なままじゃ、気持ちにも踏ん切りつかないし諦めもつかないだろ!」
「…………余計なお世話だ。もう終わったんだよ」
そうだ、終わったんだ。これ以上蒸し返すな。
「終わってないだろ、エディスの気持ちは!シルビアが他の奴と婚約しても平気なのか!?悔しくないのか!?お前は自分の気持ちにケリをつけてないだろ!」
「うるさい!シルビアが公爵家を選んだんだからそれが答えだろ!僕に出来る事なんてない!」
僕を選べなんて言える訳ないじゃないか。それにシルビアは王室にいる事なんて望まない。断られて気まずくなるより、このままでいられる方がずっといい。
「それはシルビアだけの答えだろ!エディスの気持ちを伝えた上で選ばせてないじゃないか!」
「伝えたってどうせ同じだ!なら、波風立てずに今のままでいい!」
エディスはベンチから立ち上がり、ルオークを睨む。
「伝えてもないのに、どうして分かるんだよ!?決めるのはエディスじゃなくてシルビアだろ!」
「僕の事を言う前に自分の事をどうにかしろ!傍観ばかりしてないで、もっと積極的にアピールしてけよ!そんなんだから僕の方に傾くんだよ!」
言い合ってるうちに頭に血が昇ってきた。
こんな言葉を言いたいんじゃないのに。
「これが俺なんだから仕方ないだろ!それでもな、最後には駄目でも告白するって俺は腹を括ったぞ!」
「僕とルオークじゃ立場も条件も違う!」
「そんなん言い訳で逃げてるだけだろ!友達でいいなんて、あいつに恋人ができて結婚しても言ってられるのかよ!?どうせ手に入らないなら全部ぶっ壊しちまえよ!同じでいたいなんて逃げるな!」
「お前に……何が分かる……」
学園に入って、ちょっと恋したくらいで。
僕なんて、昔からずっと何年も思ってきたんだ。失うなんて、側にいられなくなるなんて考えられないくらい思ってきたんだ。
「分からねーよ!可能性すら自分で無くして逃げるような奴の考える事なんて!振られたって、友達ではいられるってお前も本当は分かってんだろ!ずっと一緒に育ってきて、1回の告白で駄目になる訳ないだろ!数年経てばそんな事もあったって思い出話だ!お前が終わらしたくないだけだろ!」
その瞬間、ルオークの体が揺らぐ。
振り上げた僕の拳。
気がついたら、力任せにルオークの事を殴っていた。
ずしゃっと、バランスを崩したルオークが尻もちをつく。
僕は今何を…………。
それでもルオークはキッと僕を睨んできた。
「こんなんじゃ、いつまで経っても終われないだろ!キッパリと振られて、どん底まで落ち込んでスッパリ諦めろ!お前は未来の王様なんだ、いつまでぐだぐだやってんだよ!」
「うるさいっ!!」
お願いだからもう黙ってくれ。
「お前には関係ないだろ!もう僕に話しかけるな!!」
それだけ言うと、ルオークを見ずに踵を返し歩き出した。
分かってる。分かってるんだ、ルオーク。
全然諦められていないし、このままじゃいけないって事も。
僕は意気地がなくて、女々しくて、情け無い奴だ。
終わったなんて言って、まだ諦めたくないって、好きでいたいって思ってるんだ。
いつまでもこのままでなんか続く訳ないのに。
ずっとずっと思ってきたものを、壊す勇気がない情け無い奴だ。
年々と大きくなっていく、この想いを隠して、でも隠しきれなくなってきて、欲しくて堪らなくなってきた。
終わらせるなんて出来ない。したくない。
でも……………もう終わらせなきゃいけないんだな。
僕が前に進む為には、これで最後にしなきゃいけないんだ。




